勇者は強き者が選ばれる
魔物のはびこる黒き闇の世界にそびえる魔界城。
そこで全ての人類と魔物の運命を揺るがす最大の闘いが今、決着を迎えようとしていた。
魔王「ぐっ・・・、さすがだな勇者エルよ。お前ほどの力があれば、世界制服は容易いことだろう。どうだ、私と手を組まないか?」
勇者「断る!俺はここに来るまでずっと、この世界の平和だけを願いながら戦って来たんだ!」
勇者は伝説の剣を構え、思いの丈をぶつけるように振りかざした。
勇者「これで終わりだ!魔王ファランス!」
魔王はすでに弱りきっていた。よける余裕も、耐えきる力もない。
もはやこれまでと、思った瞬間。剣から溢れる光に全てが飲み込まれたのであった。
・・・・。
光が消えた。
おかしい。自身は勇者によって倒されたはずではなかったのか。
不信に思いながら、魔王はゆっくりと目を開けた。
そこは知らない場所。明るい広間。
そして、数人の人間。
「ゆ、勇者様だ。伝説の勇者様が、ついにご光臨なされたぞー!」
「「お待ちしておりました、勇者様!」」
魔王「なん、だと。」
人間達からの歓喜の声。
思いがけない光景に、魔王はただただ目を丸くしているのだった。