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高校に入学してから3日後の事である。華恋は放課後、2年生の先輩3人に、体育館倉庫に呼び出された。
体育館倉庫なんて…呼び出しはやっぱりお決まりの場所なのね。と思いながら目的地に向かう。
体育館倉庫に入ってみたが誰一人といない。
その時
「―いい気になってんじゃねぇよ!!」
と後ろからいきなり声がした。驚いて後ろを向いたときにはもう遅かった。
―鍵が閉められている―。「ちょっと!!そういう事して良いと思ってるんですか!?」
華恋は叫ぶが、外からは先輩達の小さな笑い声しか聞こえない。その声はどんどん離れていった。
―なんで私がこんな目に…―
―かなりの時間が経っただろう。もうお腹がなりはじめている。叫ぶ気力はなく、ただただ助けを待っていた。
その時、
「ガンッ!!」
と、突然ドアが振動して揺れた。誰かが鍵のかかったドアを外から蹴り倒そうとしている。
4、5回蹴っていたら、ドアが外れ倒れた。ホコリが舞い咳をした。ドアを蹴っていた人の顔を見た。
「…!!」
そこにいたのは、如月悠也だった。意外さに声が出ず、ただ唖然としていた。
「……なんだ、アンタか。」
「…………あ。…どうも…」
やっと声が出た華恋は礼を言った。悠也は
「別に」
と呟いた。
「な、何かお礼するよ!お金がかかるモノはダメだけど…」
「……礼?」
「…う、うん……」
華恋の声は少し震えていた。緊張していたからだ。相手が意外で、声をずっと出していなかったので尚更だろう。
「…じゃあ」
視界が突然変わった。唇には温かい何かが触れていた。
それは一瞬の事だった。直ぐに視界は元通りになり、唇には何も触れていない。華恋は今の出来事を理解するのに時間がかかった。
「……っキ…」
「キス位良いだろ。挨拶代わりだ」
そう言って如月は帰ってしまった。
―わ、…私のファーストキスが…挨拶に……!!しかも最低な男に……!!