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「難攻不落の氷姫」と呼ばれる他校の美少女に傘を渡したらなぜか養ってもらうことになった  作者: 星宮 亜玖愛


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第17話 奔走メイドの乃亜ちゃん

 大慌てで始まった学校祭2日目。


 最初こそ大変だったもののある一定の時間が過ぎるとそれも慣れてくるものである。


 と、周りの人間は言っている。


 俺はと言うと相も変わらず激務である。


 というのも思った以上に俺の女装姿が人気だったのだ。


 いやなんで?


 おかしいだろぉ!!!と叫びたい気持ちもほどほどに抑えて俺はお客さんの対応に追われる。


「お帰りなさいませご主人様♡」


 なぜこんな可愛らしい口調でこんなことを言っているのか、なぜ語尾に♡が着いているのか、それらの疑問は全てこの案を発案した山下さんに聞いてくれ。


 本当に何をさせてくれちゃってんだ山下さんは。


 それでなんで山下さんは俺の接客を見てにやにやしてるんだ。


 仕事をしろ仕事を。


 と、心の中で愚痴を零しつつも笑顔を振りまくのは忘れない。


「すみません……」


「どうしましたか?♡」


「しゃ、写真撮ってください…!!」


「チェキは1枚200円になります♡」


 俺のクラスながらなぜこんな写真にまでお金を取るのか不思議でたまらん。


 こんな女装野郎と写真を撮りたいやつなんているのだろうか。


 いや、実際いるのだが…。


 そもそも200円て高すぎないか??


 いや、それもどうやら俺だけが200円らしい。


 ほかの女装野郎共は10円らしい。


 なんでだろうね。


「は、はい!お願いします!」


「チェキ1枚入りまーす!♡」


 目の前にいた女の子の了承を得てから俺は奥にいたチェキ係(?)の人に声をかけた。


 それも全て裏声の萌え声でやれと指示されている。


 そろそろ俺の喉が死んじまうぞ。


 俺の声に反応して出てきたチェキ係(?)の人は手際よく準備をして俺達ふたりを誘導した。


「こちら来てくださーい」


 そこに大人しく移動すると女の子とハートのポーズを取る。


 それも普通にではなく互いが作った半ハートと半ハートでひとつのハートを作るというもの。


 なかなかにきついものがあるがこれも仕事のうち……。


「はいチーズ!」


 と言って撮られた一枚の写真はその女の子に手渡されると大事そうに抱えて去っていった。


 もちろん200円を払ってね。


「あ、乃亜ちゃん指名入りましたー!!」


 なんだよまたかよ。


「はーい!♡今行きまーす!♡」


 しかもどうやら指名料は500円するらしい。


 これ価格設定した奴ぼったくり商売の才能あるだろ。


 まぁ山下さんだろうけど。


 てか、なかなかハードな仕事だよこれは。


「あれ、乃亜じゃん」


「はい!♡乃亜で……す」


 ちょっと待て、夜宵が来るなんて聞いてないぞ。


「可愛いじゃん」


 しかも乃亜じゃん、とか言ってるけど指名入ってるから分かって言ってるよねぇ?


「あれ?これが例の?」


「うん」


 例のって何!!もしかして変な噂たってない!?


 しかも友達引き連れて…


「ご案内しますお嬢様♡」


 知り合いにこの姿を見られるのは恥ずかしさの極だが我慢してここは冷静に萌えを意識してしっかりと接客しよう。


「声もほぼ女子じゃん」


 あー、恥ずかし。


 ちなみに高木は午後からこの地獄を味わうこととなります。


「メニューはこちらになります♡お決まりでしたらお呼びください♡」


 と、言い残してそそくさと逃げる。


 と言っても指名されてるから逃げれないんだけどね。


「決まりましたー!」


 と声が聞こえたので急いで向かう。


「お待たせしました♡」


「この全力萌え萌えオムライスで」


 っっ……、よりによっていちばん高くていちばん意味のわからない全力萌え萌えオムライスをチョイスするなんて…!!


 これはメイド側への負担がすごい料理なのだ!


 要するに全身を使って全力で「萌え萌えキュン!美味しくなぁれ!!!♡♡♡」というのをやらなきゃ行けないのだ。


 恥ずかしすぎてお嫁に行けない。


 誰だよこのメニュー考えたの。


 山下さんか。


「かしこまりましたぁ♡少々お待ちくださいっ♡」


 山下さん覚えておけよ……。


 まぁ話しかける勇気もないから何もしないけど。


 そして俺はその場を去って簡易厨房にメニューを伝えに行く。


 すると厨房の奴らはニヤニヤして頑張れよ、と肩を叩いて激励してくれた。


 なんか複雑。


 そして数分後出来上がったオムライスとケチャップを持って席に向かう。


「お待たせ致しましたお嬢様♡」


 と、前置きをしてから続ける。


「今からこのオムライスが最高に美味しくなる魔法をおかけ致します♡」


 夜宵は何が起こるのか目を輝かせている。


 そんなにいいものは見られないぞ。


「お描きする文字は何がよろしいでしょうか?」


 とオムライスの上にケチャップで書く文字の内容を尋ねる。


「大好き♡で!」


 なんだそりゃ、目的は映えってやつか?


「承知しました♡ではお描き致しますね♡」


 大人しく俺は「大好き♡」と書いた。


 なかなか会心の出来だ。


「ではさらにさらに美味しくなる魔法をおかけ致しますね♡」


 あぁ、キツい。キツすぎる。


 周りの人達そんな興味深そうに見るなよ。


 男が萌え萌えしてるとこ誰に需要あるんだよ。


 意を決して俺は右手を振り上げ左足を折り曲げる。


 そして右手で星を描き言葉を紡ぐ。


「美味しさ100倍キューティクル♡」


 そして全力内股でハートを天に捧ぐ。


 それをおろし左胸の前に掲げる。


「萌え!♡」


 そして右胸の前に再度掲げて言葉に思いを込める。


「萌え!♡」


 そして目の前のオムライスに突き出し全力で。


「キュン!!!」


 そしてまだまだ終わらない。


「美味しくなぁれ!!♡♡♡」


 やっと終わった……辺りは静寂だ。


 なぜ?


 周りを見渡すと全ての客が俺の方を向いていた。


 へ?


 そして自然と巻き起こった拍手。


 なんで?


「良かったぞ乃亜ちゃん!」


「可愛かったよぅ!」


「頑張れよこれからも!!」


 いや、これからもって今日だけだよ。


 てか、予想外な反応すぎる。


 俺は「では、」とだけ言い残してその場を去った。


 そしてそのまま簡易厨房に行くなり「休憩入ります」と言い残してそのまま逃げ去るように教室から出ていくのだった。

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