装備条件達成
***
俺達は3人は、グングンと大空を進む戦艦の、船首にほど近い甲板にいた。
「うひゃーっ。強制スクロールステージってオレ初めてっス!」
そうだろうな。ロボワではそもそも強制スクロールステージ自体が少ない。
4年後でも18種くらいだったからな。
今実装されているのはおそらく3種、ジャングルの中を濁流に乗って川下りするステージと、貨物列車に乗って山岳地帯を走り抜けるステージ、それに今俺達が入っている大型戦艦のデッキが舞台の空中戦ステージだろう。
ただなぁ、このステージ……。
「この艦が向こうの空中都市に着艦すればステージはクリアです」
アサギの言葉に、ゼンがはしゃぐ。
「乗ってるだけでクリアなんスか? 楽勝じゃないスか!!」
「敵の中に、艦を狙ってくる敵がいますので、それは優先的に倒してください」
「了解っス!」
ディスプレイに敵機との遭遇を示す『接敵』の警告が出る。
それと同時に、遥か向こうに敵影が見え始める。
銀の翼を持つ怪鳥シルビルと、それぞれの強化素材に合わせた属性カラーの怪鳥達だ。
「来ました!」
「ああ」
「うぃっス!」
高速で空を進む空中戦艦。周囲を流れる雲の速さも半端ない。
だから当然、接近して来る敵の速度も今までの比じゃなくて……。
「いくっスよー!」
と元気に撃ち始めたゼンが、敵のHPを30%も削れないうちに敵機を見失った。
「ぅえっ!?」
そーなんだよ。目の前に来た敵を叩くようじゃ遅いんだよな。
近づきつつある敵機に向けて銃を構えようとするゼンに俺は叫ぶ。
「ゼン! 右奥狙え!!」
このステージは、目視できるギリギリくらいの距離から構えて、照準を合わせて、通り過ぎるまでに撃ち落とせる火力がなきゃ、ただただ通過する敵影を見送るだけで終わっちまうんだよな……。
この艦を狙ってくる敵は7機くらいだったか?
そいつらはちゃんと俺達のいる甲板に降りてきてくれるから十分倒せるが、肝心の強化素材を落とすのは全部素通りする方の敵だ。
ゼンがまたも半分ほど削った敵に逃げられる。
「む、難しいっスね!?」
「無駄なく撃てば何とかなりますよ」
答えるアサギはライフルを3発ずつでコンスタントに撃ち落としている。
ライフルだとリロードが長いから一発でも外すとアウトだが、そこは流石のコントロールだな。
俺もそろそろ始めるか。
やっと強化が半分まで進んだ中長距離用大型レーザーを右肩に構える。
これで遠くから狙って、手前に来たら実弾だな。
左手にはサブマシンガンを構える。
一番遠くにいる敵に照準を合わせて、最速リロードでレーザー!
くっそ、まだ強化が足りない、この速度じゃ2発が限度か!
敵機がレーザーの攻撃可能範囲から出るあたりから、サブマシンガンで追撃する。
敵の残りHPは、6%、4%、2%……っ!
俺はぐいと機体を逸らして通り過ぎるギリギリまでダメージを入れる。
0%!
俺の後ろで敵機が爆散する。
はー……。俺の今の火力じゃ、これでギリッギリだな……。
「あああーっ、待ってくださいっス!!」
ゼンはまたも撃ち残した敵機に逃げられている。
その様子を見て、アサギが謝った。
「……すみません。まだお二人にはちょっと難しかったようですね……。僕の判断ミスです。一度戻りますか?」
こういうミスを素直に認めて謝れるってのは、アサギのすごいとこだよな。
「いや、俺とゼンで一緒に叩けば倒せるだろう。アサギの取り分は減るけどな。ダメ元でランダムバフをかけてみるよ」
「分かりました」と答えたアサギが、より集中力を増して確実に敵機を撃墜してゆく。
真面目ないい奴だよな。
俺がポンポンを取り出すと、ゼンが叫んだ。
「うおーっ、攻撃力と機動力が欲しいっス!」
そう都合よく出るといいんだがな……。
「出るように祈っててくれ」
月曜に出たポンポンで、2人には既に何度かポンポンのバフをかけている。
が、まだ一度も5%のバフすら成功したことがない。
大抵1~3%なんだよな……。4%が出たのだって3度きりだ。
俺はポンポンを振るために左手に装備したマシンガンをおろそうとしてから、ふとカニバサミが暇そうなことに気づく。
投石は流石にこの速度で動く敵には当たりそうにないからな、今日はカニバサミにはポンポンでも振らせとくか。
カニバサミでポンポンを掴むと、突然目の前にウィンドウが開いた。
!?
【装備条件達成】
[カニバサミに装着されている間、アネモネは刺胞弾を発射できます]
[カニバサミに装着されている間、アネモネの特性《応援》のランクが2段階上がります]
は……?




