表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Mono  作者: 秋野美月
3/7

孤独

孤児院には、時々大人が子どもたちを引き取りにやってきた。昨日も、2歳の女の子が1人、善良そうな仕立て屋の夫婦に引き取られていった。

そういうことが、だいたい2か月に一度くらいのペースであった。だが、老若男女がやってきても、誰1人天使に見向きもしなかった。


そういう時期だったのか、孤児院では次々と子どもたちが引き取られていって、最初15人ほどだったのが、この時には既に6人くらいまでに減っていた。引き取りやすい幼児が人気だったので、残っているのは物心のついた10代くらいの少年少女と天使くらいだった。

こうなると、人間は焦り出す。

なぜ自分はまだなのか、自分も「引き取られる側」に行きたい。焦りと怒りと戸惑いが入り乱れて、その矛先は一番向けやすい存在に集中砲火する。仲良く遊んでくれた子は、その品性を買われ、ほとんど引き取られていった。


1人の少女が、遊んでいた天使を押し倒す。


「あんたみたいな気持ち悪いのが来たせいで、

 私たちのところに人が来なくなったじゃない!」


すると、触発された他の子どもが野次馬になる。


「そうだよ!」


「変なの。悪いモンスターみたい。」


「みんなでやっつけちゃえー!」


子どもたちはワーワー言いながら、天使に乗り掛かった。天使は何も言わず、とりあえず丸くなって怪我をしないようにした。

慌てて、数人のシスターが駆け寄る。


こういうことが、たまに起きるようになって、

天使はすっかり孤独になった。


「あんな子、絶対誰も貰ってくれないよ」


「気持ち悪いな!

 病気うつされそうだからこっち来んなよ!」


その日から天使は1人で寝るようになった。

時々シスターが心配して交代で一緒に寝てくれた。天使を可哀想に思った年配のシスターは、皆に内緒でぬいぐるみをくれた。少し大人びた子や元々1人が好きな子も数人、天使と友達になってくれたので、さほど悲劇的な状況にはならなかった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ