深い森へと続く道（WEB試し読み & 草稿）

小国プーリアには秘密があった。言葉をしゃべる烏がいること。人語を理解して労働する熊たちと暮らしていること。熊たちの採掘する魔法石によって、他国よりも利便性の高い生活を営んでいること。

プーリアは選ばれた民だが、そのぶん世界の秩序を保つための役割も与えられている。そのひとつが数百年に一度ともいわれる魔王の到来に、ふたりの光を派遣することだ。

プーリアの東端、国境地帯の草原にぽつりと建つ城塞都市トツァンドに、ふたりのうちのひとりである「賓」の到来が告げられた。都市国家ブガルクの台頭が目覚ましく、大湖沿岸地域が揺れ動いたある年の、夏の始めのことだった。


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同人誌発行に伴い、本編の最初から「北見の塔」までを試し読みとしてアップしました。草稿版は引き続きお読みいただけますが、本編と内容が異なることもあります。ご了承ください。