大きな壁
黒い液体は何人目か分からない勇者や賢者を飲み込んでいた。
富裕層の家は一通り飲み込み、めぼしい物は城しか残っていない。
黒い液体が城へ動き出そうとしたその時
体が2つに裂ける。
と言っても液体なのですぐにくっつく。はずだったのだが中々再生が始まらない。
「どこから来た、このバケモノが…」
目の前に立つのは複数の兵士を携えた、今までの勇者等とは格の違う荘厳な男が立っていた。
2つに裂けた片方を兵士達を喰わせ、もう片方が男に飛びかかる。
「不浄を滅せよ」
男が喋ると男の持っていた大剣が光り輝く。
そして目にも止まらぬ早さで斬られる。斬られた箇所から蒸発し、このままでは残らず蒸発してしまうだろう。
なので蒸発した部位を喰った。
蒸発は止まり、体を広がせて空に飛ぶ。
そのまま無数の矢の形になり男に降りかかる。
「邪気を排せよ」
光り輝く結界が男を覆う。
だがその結界は意味をなさず、矢はすり抜ける。
男は少し動揺した顔をしたが、すぐに回避し矢から逃れる。
男の後ろから黒い槍が音速を超えて貫こうとする。
しかし、男は大剣で槍を弾き後ろに居た兵士の無事を確認する。
「貴様…どうやって」
男は距離をとり、様子を伺ってくる。
黒い液体は白いものの姿に戻り、手には黒い剣を持っている。
白いものは剣で斬りかかるが、男とでは技量が違う。
「光よ、闇を払え」
大剣を横に薙ぎ、白いものに大きな傷をつける。
白いものは悶えだし、膨張し、口から何かを落とす。
それは10歳位の少女だった。
「…っ!エルラ…なのか…?」