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バグ#06 境界混同



 その一言を聞いた俺はその娘、仁科さんの席まで近付いていった…璃空も含め周りのクラスメイトは無視で。


「ちょっと外行かない?ここじゃアレだから」


 仁科さんの返事も待たず手を取って教室から出る。


「あっ、ちょっ、零二…っ」


 璃空が何か言いかけてたみたいだけど、今はこっちが最優先。

 そのまま手を引いて一番近い階段の踊り場まで向かった。

 幸い誰もいなかったからここで話をすることに。


「あっ、と…ゴメンな、いきなり」


 事情が事情だけにいきなり手を掴んで強引に引っぱって来たことを謝って、少し勢いよく手を離す。

 仁科さんも手を繋いだこととか全く気になってないみたいで、今はただ呆然と俺の顔を見上げてる。

 見上げてるっていうのは、身長差が大体20センチ以上はあるから。

 くりっとした瞳で小動物を思わせる小柄な身体、まさに全身で可愛いを体現してると言えるんじゃないかと。

 そんな彼女がよもや……。


「…クリム、なんだよな…?」


「……やっぱり、空閑くんが…ゼロ、なんだね……」


 そう言った途端、俺に抱きついてきた仁科さん。


「夢みたい…まさか現実でもゲームみたいにハグ出来るなんて……っ」

「ちょっ、待ってっ、確かに俺はゼロだけどっ!」


 それはゲームの中の話であって現実では空閑零二っていう人なんですがっ!仁科さんってアレか、現実とゲームを混同するタイプの人かっ。

 思いのほか抱きつく力が強くて引き剥がそうにも簡単にはいかない…いや、けどこの娘が俺の嫁だったのか……素顔見たこと無かったから分からなかったが、背格好は確かにクリムとそっくりだな…。


「でも、どうして空閑くんがゼロの姿に…?」


 抱きついたまま顔だけ上げて俺を見ながら話し掛けてくる…離れる気は全くないんですね。

 こんなところ見られたらいろいろマズいと思うんですが…。


「俺もよく分からないんだけど、昨日あの後すぐ寝たんだよ。で、朝起きたらこの姿になってたわけで…」


「そうなんだ…。でも同じクラスメイトだったなんて…運命感じちゃうね……ふふっ」


「そ、そうだなぁ…スゴい偶然だよなぁー、アハハハ………」


 いや、朝起きてゼロになってたり変な表示が見えたりしてた時点で、いろいろおかしな事になってるのは分かりきってたからな…こうしてゲーム内の嫁に会えたってのも偶然じゃなくて、作為的な何かがあるような気もする…。


 まぁどんなに考えてもどうしてこーなったのかはさっぱり分からないから、ムダなことは極力しないようにして、とにかく今はこの状況を何とかする方が先決というか……



 [緋依]

 喜:■■■■■■■■■□

 怒:□□□□□□□□□□

 哀:□□□□□□□□□□

 楽:■■■■■■■■■□ 

 恥:■□□□□□□□□□

 驚:■■■■■■□□□□



 驚きより嬉しい楽しいの方が勝ってると言うことは…メッチャ愛されてますね、ゼロ……。


 あー、すんげぇ複雑っ!この娘が好きなのはゼロであって零二ではないワケで、そのゼロはゲーム内だけの存在だったはずなのに今はこうして現実に存在する俺であるワケで…。

 零二としてはほぼ接点が無かったのにゼロになった途端こうやって人目も憚らず接触してくる…どうしても素直に喜べないっ!


 ただ一つだけ確実に言えることは、仁科さん…あなたは決して現実では嫁じゃありませんからねっ!


「と、とりあえずさ、ちょっと離れない?ここ、学校だし…」


「…?(コテっ。どうして?」


「どうしてって…仁科さん、恥ずかしくないの…?」


「…?(コテっ。何が恥ずかしいの?」


 メーター見て恥ずかしくないのは分かってたけど、ホントに恥ずかしくないんだ…これもう完全にアレデスネ、俺の事を…。


「昨日だってこうしてたでしょ?旦那さまっ♡」


 ああああーっ、やっぱりいぃぃぃーっ!!





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