バグ#05 出逢うべくして出逢った二人
三人で登校なんて初めてで、内心ではかなり喜んでる俺…自分の感情メーターが見えてたら間違い無く喜メーターが最高値をマークしてるんじゃないかと。
まさに両手に華状態、右隣には愛鈴紗が、左隣には璃空が、かなりの至近距離で並んで歩いている。
なぜ急にこんな…って、どう考えてもゼロの容姿のおかげですね、分かってます、分かってますとも。
やはり世の中外見が一番だということをたった今身を持って体感しているところですよ。
「なぁ愛鈴紗」
「…なに」
「今の俺って…どう思う?」
「…別に。お兄ぃはお兄ぃでしょ」
「…あ、はい、そうですか……」
[愛鈴紗]
喜:■■■■■□□□□□
怒:□□□□□□□□□□
哀:□□□□□□□□□□
楽:■■■■□□□□□□
恥:■■■□□□□□□□
驚:■□□□□□□□□□
いや、うん、何となく嬉しいんだなってのは分かった。
「じゃあ璃空は?」
「じゃあってなによ、次いでみたいに…。まぁ、いいんじゃないの?」
「………」
[璃空]
喜:■■■■■■□□□□
怒:□□□□□□□□□□
哀:□□□□□□□□□□
楽:■■■■■□□□□□
恥:■■□□□□□□□□
驚:■■□□□□□□□□
二人とも素直じゃないなぁ…もっとこう、嬉しいんならそれを前面に出していこうぜっ!なんて口が裂けても言えないな、もっと反撃喰らうのが目に見えてる…ガクブル。
っていうかやっぱり二人ともこれがいいんだ…こうなった今では、ゼロの容姿になる前の俺をどう思ってたのか気になるところだが…まぁ今程喜んだり嬉しがったりしていないのは確かかな。
言ってて悲しくなってきた…。
「ねぇ愛鈴紗」
「…なんですか、璃空先輩」
「気が付いてるでしょ」
「………」
「愛鈴紗みたいな娘がいっぱいいるねぇ(ニヤニヤ」
「うっ、うるさいです、璃空先輩」
学校が近付いてくるにつれ、生徒の数が増えてきて…俺達を見る目も比例して増えてきている。
璃空の言い分だと女の娘たちは俺を見ているらしいけど…それより俺は男共の視線がめちゃくちゃ気になる。
なんだその敵を見るような目は…視界に入るやつほぼ皆怒メーター上がってるし。
あ、そうか、愛鈴紗と璃空がいるせいか、二人共モテるからなぁ…なんか告白とかしょっちゅう受けてるとか聞いたことがある、そっち方面の情報通の友達から。
で、尽く撃沈されてるそうな。
本人達からはそんなこと全く教えてもらえてないけど…ちょっとだけ寂しい。
これはあれか、さしずめ「そんないい女独り占めしやがって…」ってところか。
いや、だって義妹と幼馴染なんだから一緒にいてもおかしくなくない?俺何も悪くないよね?ってか俺、二人には逆らえないから…怖くて。
君達には罵声が飛んでこないんだから俺より仲良くなれるんじゃないのかなぁ、と思うんだけど。
そんな様々な視線に晒されながら学校に無事到着、下駄箱で愛鈴紗と別れ、俺と璃空は自分達の教室…2―Aへ。
教室の後ろ側のドアを開けて二人で教室に入ると…挨拶もしてないのに何故か一斉にクラスメイトの視線がこっちに向いた。
『『『『『(……誰?)』』』』』
「え、なに?」
「なにって…零二のせいでしょ」
「あ、あぁ、そうか。ちょっと浮かれてて忘れてたわ」
「浮かれてって…調子乗ってると痛い目みるよっ」
「そうだな、気を付けるわ」
なんて会話を璃空としてたら…突然ガタガタっ!と音を鳴らして席から立ち上がったクラスメイトがいた。
「え…っ!?……嘘っ、なん…で…………っ!?」
結構な音だったからこっちも思わずそのクラスメイト─仁科緋依の方を見たら…もの凄く驚いた顔をして俺を見てた、それはもうこの世界では出逢えるはずもない人と会ってしまったみたいな…そんな表情がしっくりくるような感じで。
「どう…して……『ゼロ』が、ここ…に………」
あー………そりゃそんな表情にもなりますよね………。