バグ#02 義妹の本性
「ちょっとなに人の顔マジマジと見てるのさっ」
いや違う違う、この謎の表示を見てただけなんだって…目線で分からないものかと。
確かに我が義妹、愛鈴紗はマジマジと見惚れるだけの美貌をお持ちだ。
俺の一つ下のコイツはその学年で一、ニ位を争うほどの美少女だっていうのは誰もが認めてるところではある。
かくいう俺もそれは認めよう、けど今はそれどころではないんですよ……ん?待てよ?もしかしてこれ、この謎表示を確かめてみるチャンスなのでは?
よし、少し恥ずいが今は容姿がゼロで三割増しになってるし、ここは一つまた驚かせてみるか、一度も二度も大して差はないだろ。
「あ、いや、別に顔を見てたわけじゃないんだけどな……。ところで愛鈴紗、今日も可愛いな」
「は、はぁっ!?いきなり何言ってんのっ!?バッカじゃないのっ!」
あ、はい、案の定いつも通りの罵声が飛んできましたが……
喜:■■■■■■■□□□
怒:■□□□□□□□□□
哀:□□□□□□□□□□
楽:■□□□□□□□□□
恥:■■■■■□□□□□
驚:■■■■■■□□□□
……予想通りどう見ても感情メーターですね、本当にありがとうございました。
見事なツンデレ…まさかここまでとは。
え、じゃあもしかして今までのもそうだったってこと?てっきり本気で嫌われてると思ってたんだが…お兄ちゃんちょっと嬉しいぞ。
っていや、そうじゃないな、今はゼロの容姿だからこうなってるのか…そう思うとなんか複雑だ。
しかしまぁ、こんなの『ファナテクシア』には無い仕様なんですけど、ホントどうなってんの?マジで改造されたんかな、俺…。
「あー、すまん、つい本音が」
「っ!?もっ、もういいから早くどっか行って!」
「えぇー…俺まだ顔洗ってないんだけど……」
「わたしのが先に決まってるでしょっ!」
「いや、だってお前の方が使う時間長「う、うるさいっ!いいから黙って譲りなさいよっ!お兄ぃのくせにっ!!」…………」
昨日までの俺なら理不尽!とか思うのだが……
喜:■■■■■■■■□□
怒:■□□□□□□□□□
哀:□□□□□□□□□□
楽:■■■□□□□□□□
恥:■■■■■■■□□□
驚:■■■■■■□□□□
これ見ちゃったらなぁ…このやり取りすら嬉しいのかと思うともうね……。
「はいはい分かりました、退きますよ」
口調は荒いが怒メーターが一向に増えていないところを見ると、マジで怒ってるわけではなく照れ隠しなのが丸分かりである。
いいんですかね、これ…って、見えちゃうものはどうしようもないんだけれども。
せめてオンオフ切り替えくらいは出来て欲しいんだが、どうやら常時表示らしい。
洗面所から出るのに愛鈴紗を視界から外したら消えたけど、もう一回振り返って愛鈴紗を視界に入れたらまたすぐ表示されたし。
「なんなのよもう…その顔と声でいきなり可愛いとか言わないでよ…っ(ボソボソっ」
何か頬に手を当ててボソボソ言ってたみたいだけどよく聞こえなかった。