【10】おいでよ!メラ忍の里3(アプリ坊主外伝10)
とある日本では利き手を使って作業をすることが多い。物を書くこと然り、箸を持つこと言うに及ばず、棒切れを振り回す時も同じくしてながらに在る。
ただそれは常識と利便さという範疇においてにしか過ぎず、とある日本では釣り竿も股間、チャンバラも股間、空を自由に飛びたいのも股間なのである。
そして今ここに、バウムクーヘンを股間チャレンジする外人が現れた!!(ナレーション風味)
「オー、マイゴッド…」
バウムクーヘン伯爵が嘆く。なぜならば彼の股間がホコリまみれになってしまったからである。今まで丹精込めて階層を重ねてきたバウムクーヘンが、長老と謎の旅人によってホコリクーヘンになってしまった。どんな造語か知らないが。
彼らは最初は穏便に話を進めていたようである。ただ、芸者をつけるとかつけないとかで揉め出してから、お互いにののしりあうような仲になってしまった。
旅人は長老のヒゲにつかみかかり、長老は涙を浮かべて旅人のちょんまげに食いかかる。
「オー…オフタリトモ…」
「ヤメテクダサーイ…」
『うるさい!!』
{すっこんでろ!}
「……」
伯爵の目に涙が浮かぶ。
「…ブツブツ」
「(…サーイ)」
わなわなと拳を震わす。彼は修行時代のつらい日々を思い出していた。
― 以下回想 ―
「ウォッ!ウォッ!」
「イ”ィッ!」
「e"ぃスボーヅッ!」
『すげえ!あの兄ちゃん、股間でゲームしてるぜ』
『しかもあの表情』
『気持ちよさそう』
『目ェ、ちょっと逝っちゃってるしな』
『ほんとだな』
「(フフッ)」
「(ガキどもよ)」
「(素晴らしかろう)」
『でもあの兄ちゃん』
『あまり複雑なコマンドはいれられないみたいだぜ』
「(なんだとクソガキ)」
「(おおガキどもよ…)」
『天破出せねえとかダセェよな』
『なー』
『帰ってプレステやろうぜ』
「オオ”ッフォンぬ!」
「ガキども待ちたまえ」
「今からお兄さん…」
「天破出しちゃうゾっ☆」
『マジすか?』
『ちんちんで天破出しちゃうんすか?』
『すげー』
「…ガキどもよ。少しは言葉を選びたまえ」
「股間と言いたまえ、股間と」
「コンプライアンスとかがだな…」
『うるせー』
『さっさと出せー』
「ぐぬぬ…」
「みてろよガキども!!」
「今ひとときの股間に」
「わが生涯の3万分の1くらいを懸けるぅ~↑!!」
「食らえぃッ!!神技ッッ!!」
やめておけば良い物を空中で逆さまになりながらきりもみして振り下ろした股間はレバーと筐体との隙間に複雑に入り込み、その機能を男性的に喪失させた。そして、そればかりかあちこちの骨を複雑に破壊せしめて彼を重篤の身と変貌させてしまったのだった。
ガキは逃げ、カラスがつつき、転売屋がマスクを転売する等、一様に辺りを地獄とさせた。
彼はその件以来、Eスポーツから手を引いたという。




