ダイアモンドと宝箱
ある資産家の娘が、親から貰った大事なダイヤモンドの指輪を家へ遊びに来た友達に盗まれてしまいました。その事を両親に言うと、二人は笑いながらダイヤモンドの指輪が入っていた箱を指差して言いました。
「盗まれたのは玩具さ。本当に大事なのは箱だよ」
しかし、箱の蓋を開けても何もありません。
「箱の底を見てごらん」
言われたようにすると、金色の文字が見えました。
――愛する娘へ――
「その箱重いだろ? 内側に金が入ってるんだ」
「これからは、友達というお宝の価値がわからない子を家の中に入れてはいけませんよ」
「はーい」
一方、玩具のダイヤモンドが本物だと思っていた悪い友達は、豪遊しすぎて後で多額の請求が来て払えなくなり、資産家の娘の家へと泣きすがりますが、それを助けようとするものはいませんでしたとさ。