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俺。
ガチャ…
じいちゃんが家の玄関のドアノブに手をかける。
…―ダダダダダダダダ…
『くらえっ!』
カチャンカチャンッ
おもちゃのピストルの音が鳴る。
俺だ。
小さい頃の俺がいる。
お気に入りだったトレーナーを着た俺がじいちゃんとのいつものやりとりをしている。
一瞬混乱するが、なぜか映画でも見ているかのような気分になる。
俺はじいちゃんの後をついていく。
ドアを開けなくても入れた。
透けた身体は物を掴むことも出来ないが、通り抜けることが出来るという利点があるようだ。
なぜだろう?違和感だらけなはずなのに少しの不安も感じない。
痛みも、眠気もない、空腹もない。
俺は死んでしまったんだろうか…?
じぃちゃんの後をついていく俺。
今のドアをカチャリと開けて入っていくじぃちゃん。
そこには…あの光景があった。