幽霊?!
ただ呆然と立ち尽くしていた俺に気がつく人がいない。
俺には存在感はないようだ。
ふと気がつくと、今までと違う点があった。
今までの光の移動では実体があった。
感覚もあった。
なのに今回はひとつもない。
今ここで立っているのに足の感覚もない。
ふと自分の手を見ると透けている。
『あ、、 』
ついに死んだのか?!
俺は透けていて実体がないらしい。
俺は俺の体を触れるのに、周りにある草、木、柵にも触れずに通り抜けてしまう。
少し、自由になった気がしたのと初めての死の恐怖が這い上がってくる。
今、ここで俺は幽霊になってしまったのかもしれない。
透き通った肌、気づけば暑さも寒さもない。
お腹も空かない。
ただ、、、込み上げてくるのは人の温もりに触れたい衝動だけだ。
とりあえず人目につくことは心配しなくても良さそうだな。
日が暮れて影が消えていく地面。
この瞬間が俺は好きだったりするのだけど、今日は少し恐怖との戦いになりそうだ。
暗くなるにつれて、俺の身体も暗くなっていく。
まるで真っ黒い人形になるかのように。
…ガサガサッ
【!?!?】反射的に振り返る。
あ、でも俺今は見えないんだっけ。。。
少しの安堵と寂しさを同時に感じながら音のした方を見る。
すると…亡くなったはずのじぃちゃんがいた。