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さよならは始まり
ここから新たな日記を書いていこうかと思う。
俺の見たもの、俺の感じたもの。
そして俺の望んだものは…
ここは15年前の俺の家。
正確に言えば今26歳に戻った俺の15年前だから…35年前の俺の家。
まだまだ古風な日本の家だ。
縁下があったり、玄関が裏口と合わせて2つある。
大きな窓から見えるのは暖かな光。
子供の笑い声がたまにするくらいのごく一般的な家。
どうしても信じられない。
俺は今何を見ているんだろう?
一体いつまでこの光景を見ていられるんだろうか?
異世界に飛ばされ、監禁され、体力も精神力もギリキリの俺はなぜか今穏やかな空気に包まれている。
気味の悪さも少し感じながら少し遠くから【俺の家】だったものを見つめる。