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004 それは罪なのか

004それは罪なのか


別にレズビアンは嫌いじゃない。

そこに混ぜて欲しいとか、そんなキモい事も考えていない。

女の子が好きならそれでいいと思う。自分以外の事に口出しできる程の力があるわけじゃないし、自分の身の丈を知り、控えめに生きるというのはSNSもネットも無く命が軽いこの場所では大事な事だ。


奴隷三人がレズビアンになっていたとしても、それに文句を言う気は無い。

彼女たちが激昂して僕を殺す、なんて事はないとは思うけれど、これから仲良くやっていくわけだし、僕自身レズビアンに負の感情はないから、特に何も言う事はない。

負い目を感じているんだったら、別に良いよと言ってあげたいけど。

リスクマネジメントは大事。


だが、問題はある。


地球では、女が男の格好をしたという理由で宗教裁判に掛けられた例がある。もちろん有罪火あぶり。

処女は処刑できないから強姦してから殺すという、性犯罪者と同じ流れの処刑もあったらしい。

男装女子とかある現代の地球の日本では信じられない話だが、時と場所は違えど同じ地球の話である。

また、ゲイが私刑で惨たらしく殺されてしまう様な地域だってまだ存在する。


この世界はどうなのか。


教会……に、聞きに行くのはまずい。

口にするのも禁忌だったなら僕の身が危ない。

レズビアンを容認するのも罪とかで僕もまとめて処刑されたりするんだろうか。


この世界全体はどうか知らんが、この都市で命は軽い。

だけど、僕の周りでは善人が多かった。悪人は善人の側でしか生きられないから当たり前だけれど。

犯罪者が公開処刑されても、知り合いが強盗に殺されても、ショックを受けてはいたけど、自分は警戒しているし、周りはいい人ばかりだし、関係ないと思っていた。


まさか購入した奴隷三人がレズビアンで悩むなんて予想外過ぎる。

警戒とか無理だろこれ。



百合営業はするつもりだった。


街行く女性の方々を見ていると、非常に仲良さそうだったのだ。

普通に手を繋いだり、肩を寄せ合ったりしている。

女同士のオキシトシンスキンシップである。


広場で三人が手を繋いで歌っていても特に何も言われなかったし。


しかし、ガチとなると違う。

ぴったりくっついている仲良しさん達でも、お互いのマ◯コを舐め合うなんて全く考えていない。せいぜいがおっぱい品評会止まりだろう。


うちの女奴隷達は……

月明かりに輝く濡れた唇とか指先とか……



バレて殺されるとかあるんだろうか。

不安でしょうがない。




解決法はある。

しかもスゲー簡単。

彼女達に聞けばいいのだ。

女同士の姦淫が罪かどうか。

しかし、それを問う事で彼女達を責める感じにならないかが心配でなかなか踏み切れない。




とかなんとか言いながら。


「女性同士の姦淫は…… 法的にはわかりませんが、私刑に遭う事はあると思います」

「偉い方々は男娼同士を絡ませて楽しむ方もいましたけど、自分以外の誰かや奴隷自身が楽しむと怒ります」

「バレなきゃ大丈夫」


 という三人の話。

 僕は結局三人に聞いた。

 

 法で明確に罪として決まっているわけではないが、民衆のストレス解消のために石でボッコボコにされて殺されたり、偉い人にウザいと思われたら公開処刑で胴体と首がサヨナラするか、偉い上に変な趣味の人に目をつけられたら中途半端な首吊りで苦しみもがいて死ぬはめになる。


 公開処刑は好きじゃないけどたまには見に行かないといけない。処刑自体が公務だから、それを否定するような行動を取ると目を付けられる。

 処刑場に集まった八割ぐらいは嫌々見ている。一割ぐらいは既に達観している。

 処刑台の周りにいるもう一割前後は楽しく騒いでいる。

 デモや暴動になったら目的なんか関係なく物を強奪したり壊して回ったり女性を捕まえて強姦するのはああいう人達だと思う。偏見だけど。

 だいたい顔や身なりは覚えて、街中で会ってもなるべく距離を取って関わらない様にしている。

 彼女たち三人が惨たらしい私刑で殺されるとしたら、あの連中が関わってきそうなので、彼女達にもちゃんと教えておかないと。

 

 そんなわけで。

 つまり、犯罪というわけでもないけど、大っぴらにしちゃいけない事らしい。

 もしもの時、下から順にスケープゴートにされていくなら、結構早い段階で殺される程度には認められていない。

 

「そっか。僕は別にいいと思うけど、ホントバレない様にね。お願いね」

 僕は念を入れてお願いした。

「「「はい」」」


「なんていうか、君達だけ大変かもしれないけど、我慢してね」

 という僕の言葉に、

「結構お仲間いますよ?」

 などという返事が来た。

 

「…………え? どういうこと?」


「街中を歩いていると、そうじゃないかなーって人結構います」


 レズセンサー? レーダー?

 ゲイもゲイが分かるらしいが、レズもわかるんか?

 なにそれこわい。

 

 

 □

 

 

 三人の内二人は村の口減らしで売られ、下級貴族の所にいたらしい。

 10歳と12歳の時に、そこの子供の相手をさせられ、それがそれが初体験とかなんとか。その後もしばらく専属で愛玩奴隷として扱われて、新しい処女が入ってきたら入れ替えで売られたという。

 

 お互い初めての方が、とかそんな理由じゃないと思う。

 多分、感染症を恐れての事じゃないだろうか。

 

 1人は割とハードで、村を野党に襲われ、その後野党に飼われてやられまくった後、奴隷として売られたらしい。

 何歳ごろで村を襲われたのか、何歳ぐらいからやられていたのか分からないそうだ。

 誕生日はわからないがいつの年に生まれたという年齢は魔法でわかるらしく、奴隷商のところで始めて自分の年齢を知ったらしい。

 

 えぐい……

 

 本人達は、まぁよくある事ですよと既に乗り越えているみたいだが、日本の中でも治安が良い方の地域で育った身としては、先輩の親が借金苦で首を吊ったという話が最大レベルの恐ろしい話だった。

 

 頭を抱えてしばらく唸っていたが、考えてもしょうがない。もう過ぎた事だし、彼女達もそう思っている。

 ならばこそ、僕が彼女達を輝かせる事に意味があるのではないだろうか。

 

 男に手酷く扱われてレズビアンになったのだろうか?

 いや、ガチでなったのは僕に買われてかららしいけど。

 

「やっぱり、男に不信感とかあるのかな?」

 この質問はすべきか悩んだけど、これからの関係においても重要なポイントだ。

 

「どうなんでしょう。よくわかりません。ご主人様みたいな変な人もいますし」

 という答えもまた、特に嫌そうな顔もせずスルリと返ってくる。

 気にしているのは僕だけか。

 

「僕、いつかは君達に、だれかいい男の人と結婚して欲しいと思っていたんだけど……」


「男はもういいです。乱暴なだけで全然気持ちよくなかったし」

「そうそう。私達もこんなに気持ちいいと知ったの最近なんです。やっぱり女同士がいいですね」

「マ◯コをただの穴と勘違いしてる奴らに合わせて反応するのも声出すのも疲れました」


 えぐいのう……

 

「私さ『どうだ? 気持ちいいだろ?』とか凄く言われてた。痛いっつーの」

「ああ、私の前の主人も、なんか自分うまいって思ってたし。私がそういう演技頑張ったんだけどさ。その方が早く出してくれるんだよね」

「私のとこフツーに野蛮人の集まりだったからさ、とにかく数がやばかった。他の女の子いなかったら死んでたよマジで」


 などなど、いつのまにか僕を置いてきぼりで雑談を始めた。

 

 多分、僕が部屋に居ない時はいつもこんな感じで話をしているのだろう。


「あ…… そうですか。なんかすみませんでした」


 まぁ、気持ちが和らいできた証拠だよね。

 きっとそうだよね……

 

 

 □

 

 

「と、いうわけで、外では必要以上にベタベタしないようにしてください。

 抱きつくとか腕をとるとか別にいいけど、なるべくノールックでお願いします。

 見つめ合ってやるのと、見つめ合わず自然に手をとるのとでは見ている人が抱く感覚が違います」

 

「「「はーい」」」


 そういう事になった。

 

 

 □

 

 夜になると、僕が眠っている横で始める。

 多分眠ってないのもばれてると思うんだけど、なんかそういうのも興奮材料みたい。

 荒い息使いと水音の合間に、「ご主人様が起きちゃう」とか聞こえてくる。

 起きてますがなにか?

 

 さすがにこの至近距離でオナニーするわけにもいかず、悶々としていたが、人間何事にも慣れるもので、三人がイチャイチャし始めると自動的に眠れる様になった。

 人間すげぇ。

 

 しばらくすると、眠る女の子が僕の隣に来る様になった。

 いつも三人で、というわけではないらしい。

 

 つまり、僕のベッドは眠る人用。

 もう一つはヤる用である。なんだこれ。

 

 最初はドキドキしたが、それにも慣れてしまって、誰か1人と眠るのにも慣れてしまった。

 顔もスタイルも僕の好みで選んで来た奴隷だというのに。

 

 自分の人間強度がメキメキ上がっていくのを感じる。

 

 しかし、この、一人が僕と一緒に眠って、やりたい同士が二人でやる、というのが一つのきっかけだったのだ。

 この時もう少し会議をしておくべきだった。

 

 ……いや、今後のガチレズ行為についての会議とかやっぱ無理だわ。

 だけどせめて気付いていれば。

 

 

 

 □

 

 

 

 

 

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