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003 ダンス!ダンス!ダンス!

003ダンス!ダンス!ダンス!


「無理ですご主人様」

「ご主人様それは魔法ですか?」

「気持ち悪いですご主人様」


散々な言われようである。

とはいえ、砕けた言葉を掛けてもらえるのは有難い。

奴隷なんて使ってた事ないから距離感がわからない身としては、こうして普通に接してくれた方が助かる。


広場での一件以降、彼女達も自信が付いたらしく、僕に感謝しつつ、普通に接してくれるようになった。


苦い顔で辛辣な言葉を浴びせてくるのは、今だけのことだ。

いつもは三人とも普通だよ? ほんとだよ?


発端はダンスである。


見本として僕が某高速ダンスを踊って見せたらこの反応である。

三人に手拍子を叩いてもらいながら踊ったら、途中で手拍子も止み、苦い顔で見つめられ、僕も踊りをやめた。


『◯村にできるなら僕にもできるんじゃないだろうか』

と思い立って練習を始め、上手い下手はともかく通して踊れる様になったのは一ヶ月後。逆に『ヒ◯子すげぇええ!!』ってなった。


ステップやターンだけならまだしも、こんだけ手をウニョウニョ動かすダンスは見たことないらしい。



 とりあえずお蔵入り。




 □



通しのダンスより、まずいくつかのステップと振りを覚えてもらって、その組み合わせで一曲通すのを目標に設定した。


彼女達はヤル気に燃えている。

だって、あの初公演の時のお捻りが半端ない額になったんだもの。

午前に広場行って、その後1時間おきぐらいに歌っていた。

入れ替わり立ち代り連れ添いなどもあって、お年寄りで広場があふれんばかりだった。お年寄りネットワークパナイ。


娯楽の少ない場所での、これもチートだろう。



ぎこちないダンスはいい。そのうち上手くなるだろう。

歌とダンスを合わせるのはかなり難しい。呼吸が関係してくるからだ。機材無いから口パクというわけにもいかないし、僕がギター弾いて歌いながら彼女達が踊るだけなら、それはただの踊り子である。

目指すのは歌って踊れるアイドル。


そして、彼女達以外にも問題があった。


「楽器が足りない……」


夜、ベッドの上で呟いた。

いつまでもフォークソングというわけにはいかないし、ギターの伴奏だけで激しく踊って歌ってもらっても、それは歌うフラメンコである。それはそれでアリだけどアイドルとは違う気がする。


リズムが取れる打楽器と、ベースや主旋律のための弦楽器も欲しい。

特殊な音が出せる楽器とかないだろうか。

もし僕がチート能力とか持っていたら、音響魔法とかそんな感じの魔法を創造して、僕が覚えている原曲そのままの音を出せる様に……

などという妄想はやめよう。

現実的ではない。


現実とはすなわち金である。お金を稼がなければ。


僕は横を向いた。

宿屋は引っ越してある。ツインのお部屋である。

貴族街が近く、治安も良い場所だ。今のところ窃盗は無い。

僕は床でも眠れると言ったのだが、さすがにそれはやめてくださいと言われて、ベッドを1つ使っている。

もう1つのベッドには三人が寄り添って眠っている。

わずかに開いた窓からさしこむ月明かりでも部屋はぼんやり明るい。今夜は月が三つも出てるし。

安らかな寝息を立てる三人の顔が照らし出されていた。


ベッド2つを二人ずつで使う事を考えなかったわけではない。

狭いベッドを女性と二人で使う事を考えなかったわけではない。

毎日日替わりで交代しながら添い寝してもらう事を妄想しなかったわけではない。

しかし、言い出せず、なんかこんな感じ。


愛玩奴隷なわけで、購入した時点でそういう事も込みではあるのだ。


三人とも歳いった愛玩奴隷だし、だから非処女だし、そういう事への抵抗も無いみたいだし。

日本のアイドルとしてはまずい事かもしれないが、そこまで求めてはいない。僕は処女厨じゃないし。


童貞だからどうしていいのか分からなくて手が出せない、というのはもちろんある。

それに、この世界、どんな病気があるか分からない。自分はともかく、性交渉が元で彼女達が病気や怪我などしてしまったら大変だ。僕が病気を持ってなくても、どこかで雑菌がつく恐れはあるし、実際付いてもいるだろう。怖い。


だがそれ以上に、手を出してしまったらもう戻れない気がしてダメだった。


僕もいずれは結婚したいけれど、それは今じゃ無い。

今は彼女達にアイドルとして活躍してもらいたい。

恋人はファン! バレないところで本命とか作ってもらって、いつか卒業したら幸せになってくれればいい。

こっちの感覚でも、男性は20過ぎてから結婚しても遅いわけじゃないらしいし。

自分の事は後で考えよう。お金があるうちは平気。



寄り添って、抱き合って眠っている三人。

ベッドが一人用だから仕方無い事だけど、割と美人の女性が三人もくっついているというのは、なんとも胸にくる光景である。

寝顔も最初の頃よりずっと柔らかくなっている。

良いことだ。



彼女達の寝顔を見ながら、僕は安らかな気持ちになっていた。




この時僕は違和感を感じることができなかった。

めちゃくちゃ体を引っ付けあって、抱きついているというより絡み合っている様な三人の姿に……






一週間が過ぎ、三人とも簡単なステップを踏める様になっていた。

手の動きはまだだ。


「周りから胸に集める? なにをですか?」

「投げキッス? キスを投げるというのがよくわかりません」

「なんでこんなに脇を擦るんですか?」


言われてみればわからない事だらけである。

『KAWAII』というのは無形文化財なんだな。


三人は僕に買われるまであまり話をした事が無いらしく、なるべく会話するようにしようと言ったところ、現在は質問が多い感じになっている。


 この世界にも暦はあったが一般的ではない。

 だいたい冬至夏至春分秋分の日。または、祭りの前になると自治体が公布する感じだ。

 住民はなんとなーくで時期を察している。


でもやっぱりカレンダーは欲しい。

だって、ホワイトボードに予定いっぱいって、アイドルっぽいじゃん。わからんけど。

そんなわけで、板に墨で線を引いて、一ヶ月分のスケジュール板を作った。


現在の予定はひたすら練習である。


ステップと手の動きを覚えてもらえれば、後は自主練もできる。

その段階にいけば、僕は仕事を取るための営業に出るつもりだ。

現在『エスレラム川』の大ヒットにより懐はそんなに寂しくないが、いかんせん一般住民からの投げ銭なので、儲けとしては大きいわけではない。何より心苦しい。

エスレラム川の公演は3日に1度として、その他を練習に当てることにした。


身長も体型も揃っているので立ち姿はピシっとしているのだが、動き出すとグダグダである。

何でこんなに合わないんだろうか。

日本人が合いすぎるのか?

海外のダンサーもちゃんと合っているが、素人レベルだと違うという事なんだろうか。

いや、ここ異世界なんだけどさ。


現在ダンスを始めて必要を感じるのは二つ。

『鏡』と『衣装』である。


鏡の方は金属鏡があった。

しかし、それで姿見となると鉄量が増えて値段もヤバイ。

学校の実験でやった事があるガラスと硝酸銀による鏡は地球でも一般的だし、加工自体は凄く簡単なのだが、ガラスが高級品で硝酸銀も一体どこに行けば材料が手に入るのか分からない。

だいたい、ガラスと銀は現物あるからわかるけど硝酸はこっちの言葉で何と説明したらいいものか。酸、溶剤は色々ある。魔法でも溶かせるらしいし。

一般市民は水鏡や、ちょっと奮発して購入した金属手鏡を使っている。


鏡の件は解決しそうにないので、とりあえず三人を前中後並ばせて踊らせている。

前の人を見て踊る様にしてもらって、何回かおきに順番を入れ替える。

これで感覚が鍛えられて均一になってくれたらいいのだが。

今のところ成果は少しずつだけど出ている。


次に『衣装』である。

これがかなり悩ましい。

『鏡』は最初から望み薄なのでとりあえず諦めてもいいのだが、『衣装』は手に入るからこそ悩ましい。


ここの人達の服装は、重ね着が多いけど、基本的に中古の服を着ている。

何度も着まわし、補修し、大事に使っている。

服を一から作るとなると、まず布の代金が高く、手縫いゆえに時間がかかり、お針子さんへの支払いも高くなる。

手元にあるお金で作れない事もないが、生活全て投げ打ってのギャンブルなんてできない。

お金だ。お金が欲しい。


目標は大好きだった坂道グループの様な、シュッとした制服である。

高級宿で貴族を見かける機会があるのだが、煌びやかさであの人たちに勝てるとは思えない。

だからこそこの路線である。

ここの一般人というのは、中古の服なせいもあって、あまりシュッとした服を来ている人はいない。

帯などで調整している。

衛兵などはシュッとしたシルエットなのだが、彼らの場合は皮鎧や籠手、すね当てなどで上から押さえているためそう見える。


薄手の生地で可愛らしいワンピースというのも考えたが、無理だ。

まず、現状で三人一着ずつしか注文できない。

そして、可愛らしいワンピースで踊る様な曲は手持ちの楽器ではうまくできない。

乃◯坂も初期は色々可愛らしい服を着ていたが、こっちに転生する前にメンバーが着ていた制服が一番好きだ。欅◯とも揃っているし。

なにより、これから冬になる。

雪は降ったり降らなかったりするが、寒い中でワンピースはちょっとした拷問だろう。

そこまでシビアに「アイドルなんだからやれ!」とは言えない。


貴族ほど煌びやかではなく(下手に煌びやかにしたら顰蹙かうかもしれんし)、むしろシックに質素でシュッとしたカッコいい服装。

女子からもカッコいいと思ってもらえる様な衣装を作りたい。

裁縫は少しぐらいなら僕でもできる。ミシン程優秀じゃないけど。こっち来て一年以上。繕い物は多かった。

学校で裁縫を習わせてくれた事に感謝している。こっちで結構役に立ってるし。

地球では、真面目に雑巾縫って学校に持って行ったらほとんどのクラスメイトが買って済ませていてなんか寂しかったけど。

問題は布だ。シャトル型の機織り機はまだ発明されていないんだろうか。発明されていてこの値段なんだろうか。

今度どこかで見学できないものか。


ともかく、お金である。





夕方になり、四人で一緒に食事をとった。

異世界奴隷テンプレみたいに『奴隷と一緒に食事するなんてステキ!』みたいな事も無く、最初の頃はじっと見られていたけど、現在は普通に食べている。

宿屋一階に食堂があるけど、うちは基本的に部屋で食べている。

奴隷三人と食事を共にするのはやはり一般的ではないし、そもそも奴隷を三人も連れている様な人間は普通、すぐ隣の貴族街にある高級宿に泊まっている。

この宿は庶民的には高級な方でセキュリティもしっかりしているけれど、やはり貴族様が泊まるのを前提としている宿には敵わない。

思えば身の丈以上の買い物をしたものです。


「じゃ、僕の残りは皆んなで分けて」

あまり食べると動けなくなる。これからまだ予定があるのだ。

僕の言葉に、三人がスケジュールボードへと視線を移す。

三人とも文字を知らなかったので、僕もいっしょに勉強した。現在はそこそこ読める様になってる。いかんせん識字率が低いからか街中に文字自体が少なくてあまり活かせる機会が無いんだけども。


スケジュールボードには、『夕方 隊商宿 流し』と書いてある。


『流し』という言葉はなかったので、カタカナで『ナガシ』と書いてある。

三人は、僕が1人で何処かへ行って稼いでくる行為を『ナガシ』と理解しているみたいだ。実際説明難しいんだけどさ。


「「「いってらっしゃいませ」」」

「はーい」


かくして僕は、商人ギルド直轄の商人優遇宿、隊商宿に向かった。




「おお、来てくれましたか」

「はい。失礼します」


さすが隊商宿で、暦もスケジュール管理もしっかりしている。

今日僕が来る事は事前に約束してあった。


この仕事は市場で歌っている時にオファーを受けた。たまたまここの宿の主人が買い物してて声を掛けられたのだ。


『◯が◯であるために』は冒険者だけではなく商人にも受けていた。

今日歌う予定の曲5曲の中にも入っている。


隊商宿の食事時間は他より遅い。

というのも、ここは主に行商人が集う宿のため、明るいうちはひたすら働いている人が多く、移動スケジュールを詰めに詰めて城郭門限の日没ギリギリに街に入ってくる商人もいるからだ。

腕時計が無いこの世界でも分刻みのスケジュール管理ってあるみたい。


日没後、贅沢に灯魔石を使っての晩餐である。

灯魔石代よりも日没ギリギリまで働いている分の儲けが大きいんだろう。

僕はまだまだ太陽とともに生活している。

沈むまえに夕食を終えなければならない。


そんな商人様達の晩餐に一席設けてもらっている。


投げ銭も期待できるが、基本給は宿屋払いなので有難い仕事だ。


「今日は新曲あるんですが、よろしいでしょうか」

「む? そうか。じゃあちょっと裏で聴かせてくれないか」


なんでもかんでも歌って良いわけではない。

冒険者ギルドで『◯か◯く』が禁止になったように、場の雰囲気を管理するのも宿屋主人の仕事である。


新曲、というか替え歌を披露した後、

「うむ。いいんじゃないかな」

と承認を得た。



外はもう暗い。

灯魔石がいくつも壁に掛けられ、天井にもシャンデリアの様な灯魔石と金属細工が絡み合った一品がぶら下がっている。

明るい。

三人は今頃眠っているだろうか。

今日は月一つの夜だ。流石にダンス練習は難しい。

夜に歌のレッスンも近所迷惑だし。

ああ、家も欲しい。

お金だ。


食堂の隅の小さなステージに座る。

並ぶ食卓を囲む商人達は、チラチラと僕を見てはいるが、口では商談や情報共有を続けている。

この隊商宿はそのためにあるのだ。

行商人達が集まって、それぞれの情報を共有し、より多くの稼ぎを出して、商人ギルドに貢献する。


僕のナガシはその添え物だ。


自作ギターを少し鳴らし、音を確認。

深呼吸を1回。

まずは新曲から。失敗しても後の曲はお墨付きだから持ち直せる。


原曲よりも落としたコードで前奏をスタート。

聞き慣れない楽器の音、メロディに、商人達の視線が一斉に集まった。

中には待ってましたという感じの人もいる。多分僕のナガシを見たことあるんだろう。ありがとうごさいます。


さぁ、いくぞ!


「街道の途中で不安になる この空いつまで晴れているんだろうーー」


僕も大好きな曲。『きっ◯け』


行商人には駆け出しが多い。

商家の出身でも、家を継げない次男三男が、それでも商人になりたくて始める。

商人は計算が命だ。だけど、計算不能なものが人間にはある。

リスクも多いし、不安も多い。実際、何が正解かなんて分からない。人生何が起こるかわからないのだ。

だけど、それでも商人になりたかった。

それは完璧な計算によるものではなくて、心を突き動かすなにかから始まる。


人生には膨大な選択肢があって、けれど、たった一つを選ばなければ生きていけない。

流通がそんなに整備されていないこの世界では、運ぶ量にも限界があって、そういう選択も必要になる。


晴天に感謝し、突然の雨を恐れ、賊に怯えながらも、自分の荷物、または馬車の手綱をギュッと握り、街から街へと旅をする。

儲かったり損したり、笑って、泣いて、そして時に後悔しながらも頑なに選んだ道を、選択肢を信じて、前に進む。

流行りの品や周りの意見に流されそうになりながら、なんとか自分で考えて、自分の意思を、自分の選択をできるように。


強くなりたい。強い人になりたい。




それは、叶えたい夢ができた僕の願いでもある。






隊商宿での仕事はアンコールも含めて7曲だった。

おひねりもお手当もたくさんもらった。


治安が良い区域ではあるが、じりじり警戒しながら帰宅した。


三人はもう眠っているだろう。

部屋のドアにはちゃんと鍵がかかっていた。

そう、この宿には閂だけではなく鍵がある。しかもドアに埋め込める程の物が。外からは鍵、内側からはツマミ式。それぐらいの細工を作る技術はあるのだ。

スピーカーも頑張ったら作れないだろうか。


とかぼんやり考えながら、音を立てない様に鍵を開ける。

僕が帰ってくるので閂は掛けていない。

ゆっくりとドアを開いたのだが……


「っ! ごしゅじんちゃま!」

「おっ、おかへいなはい!」

「えっ? いつの間に!?」


めっちゃ噛んでるし、時間経つのも忘れていたみたいだな。


そこには三人の女性が絡み合ってる光景。


ベッドの上、良し。

裸、まぁ良し。寒い夜は裸で布団入った方が暖かい事もあるし。

裸で抱き合ってる、のもまぁ良い。温まるし。


だけど、なんか濡れている。全体的に。

月一つの暗い夜だが、わずかな月明かりに汗ばんだ肌が輝いている。

手や唇から微妙に光る筋が垂れているし。


こいつら、僕がお仕事している間に何してんだよ。

いや、別に僕が仕事していても自由時間なわけだから彼女達が何していようとそれは彼女達の自由だけれど。でもさ、ナニしているとは思わないじゃん……


「いつから…… だ?」


僕は何を言っていいのか分からず、そんな言葉を口にした。


「えっと…… まだ…… 3回目です……」


いや、そこどうして真面目に答えたんだよ。



百合営業どころかガチじゃねぇか……



この世界で同性愛はどういう扱いだったんだろうか。


不覚にも勃起してしまった。

しょうがない。自分の好みで選んだ彼女達なんだし。

レズモノは嫌いじゃないけど、


「えっと…… ご主人様もいっしょにいかがですか?」


「……いえ、結構です」


下半身はともかく、とてもそんな気分じゃなかった。

この勃起は多分疲れチ◯コだな。


「あ、僕、下で少し食事してくるから…… 邪魔してごめんね」


「あ、いえ、はい」


僕はそっとドアを閉め、しっかり鍵を掛けて、階段を降りた。

暗い階段をゆっくりゆっくり降りて、カウンターの夜勤さんに軽く挨拶。

さっき上がっていった僕がすぐに下りて来たもんだから不審がっていた。問い詰められなかったのはありがたい。

夜勤さんに了承を得て、食堂へ。

鎧戸窓を一つ開けると、月の明かりが食堂の中をぼんやりと照らし出す。


僕は持っていた袋から干し肉を出した。

隊商宿で買ってきたものだ。

明日の朝ごはんの足しにしようと思って持ってきたのだが、ここで少し食べよう。


干し肉を、わざわざ細かく割いて時間を稼ぎ、一つ一つじっくり噛む。

噛みながら、鏡の事、衣装の事、そしてやはり家が欲しいなとか、いずれは巡業とかもしたいので馬車を購入したいし、その護衛も要るな等、色々考えていた。


窓から差し込む月明かりの角度がだいぶ変わってきて、冴えてしまっていた僕の頭もだんだんと重くなってきた。


窓を閉め、夜勤さんに挨拶して、ゆっくりと階段を上がり、部屋に戻った。


三人は服を着て、いつもの様に一つのベッドで絡み合って眠っている。


いや、これ寝たフリだな。わかるよ。少し鼻がヒクヒクしてるし。


僕は特に何も言わず。自分のベッドに入って目を閉じた。

思ったよりもすんなり眠れた。






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