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違いの分からない男

作者: 山田助兵衛

「出来ました!」

 と、例によって何の前触れもなくドアが開け放たれる。

 そしてその手にはほかほかと湯気を立てる何かが。


「で?それは何かね?」

 こちらも突然の(ちん)入者に驚く事もなく落ち着いて煙草を揉み消す椅子の男が。


「これは、食べるコーヒーです!」

 ドン、とテーブルに置かれた容器には確かに黒い何かが香ばしい香りと湯気を立てているが……。

「これは、コーヒーゼリーを温めただけかね?」

 椅子の男は訝しげに目を細くするが。

「いえいえ、普通のコーヒーゼリーは温め過ぎると溶けてしまいますがこれは本来のコーヒーのように熱々でも形状を保てるのです。ささ、熱いうちにどうぞ!」

 椅子の男はど真ん中にぶっ刺さっているスプーンを黙って掬い上げ━━そのままの姿勢で何故か固まってしまった。

「おい…………」

 見る間に椅子の男の額に青筋が浮かび上がる。

「どうか致しましたか?」

「発想は悪くない。が……」

 椅子の男が更にスプーンを持ち上げると。

「……何故ご飯の上に乗せた?」

 スプーンの上にはほかほか湯気を立てるコーヒーゼリーと白い米が。

「はあ、日本人は何でも(どんぶり)にして食べるのが得意なので乗せてみたのですが?」

 椅子の男の手からスプーンがポロリと落ちた。


 結局これは一応の商品化はされた(勿論ご飯は付かない)が、熱すぎて口に放り込んだ途端に火傷をする事故が相次ぎ、販売中止になった……。

温かいコーヒーゼリーなら実在しますが……。

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