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Rainy Day Blue  作者: 皇雄
6/7

第五話:新学期五日目

ふと目を覚ます。

時刻は6時02分。

目覚ましより先に目を覚ましてしまった。

足が痛い、あぁ昨日は柄にもないことしたからな・・・。

目はすっきりしている。

二度寝は出来そうにはないな。

俺はそのまま朝の支度をするために起き上がった。

今日で朝の掃除も最後だ、今日が終われば楽しい二連休が待っている。

ウキウキワクワクなどと考えてはみたものの、やはり昨日の事が頭から離れない。

今更ながらあの方法で良かったのかと考え直してしまう。

だが、やってしまったからには後は様子を見るしかない。

あぁ・・・、なんて優柔不断なんだ俺は、まぁあれこれ考えてもしょうがない。

今日は7時にでも登校してみるか、と時計を見ると6時34分。

意外と早く支度ができた。

俺は学校公認となった自転車にまたがり登校する。

結構登校してくる生徒がいる。

部活の朝練か、頑張るな。

ただお菓子を食べてるだけの奴らじゃないのか。

校門を通ると、今日は体育会系の教師が見回りをしていた。


 さて、今日は最後の戦いだ!!いざ戦地へ!!

どうせ部室が一番汚いだろうとふんで部室の周りから掃除を始める。

相も変わらずお菓子の袋が・・・袋がぁぁぁぁぁぁぁあああ!!

これは教師に言いつけてやるか。

などと考えていると、声をかけられた。

タカと薫だ。

「いよぅ、おはよ、朝から精が出ますなぁ」

「おはようコウ、頑張ってるね」

「おう、早いなお前ら」

見ると、タカはスポーツバックを持っている。

「おう、体が鈍るから朝練だけでも参加させてもらってんだ」

ん?部活か?確か来週のテスト明けから仮入部のはずだが、しかも正式の入部なんて来月からじゃないのか?

「あはは、難しい顔してる、タカちゃんと説明してあげなよ」

できればこの馬鹿に状況を説明してくれ。

「おぉそうか、俺スポ薦でこの学校に入ったんだよ、因みにサッカーな、んで推薦で入った奴は来週のテスト明けから部活に参加できるんだけど、特別に朝だけ自主練の許可もらったのよ」

なんとまー、頑張り屋さんだな〜〜。

「僕はやる事ないけどこの時間に一緒に登校してるだけ」

なんとまー、こいつのためにこの時間に登校なんて・・・馬鹿だな〜〜。

「あ、今お前馬鹿だろって顔したでしょ!!」

ぎくっ・・・。

「い、いやしてねーよ」

薫は本当か?と俺の顔を覗き込んできたがとっさに逸らしてしまった。

「あーっ!いま顔逸らしたーー!!」

とまーいつも通り他愛のない話に華を咲かせた。

ハッキリ言って、この間の事があるからしばらく話をするのは止めておこうと思っていたが、いらない心配だったようだ。

というより少し救われた。

あのまま距離が遠くなってしまわないかと内心不安だった。


 二人と別れて他の場所を掃除していると、男子二人がやってきた。

「おい、お前が1年の大藤か?」

何ともまぁ唐突に、というかなんか切羽詰まった感じだ。

「そうだけど、あんたは?」

「昨日、俺の弟からカツアゲした金返してもらおうか!!」

見るともう一人の男が後ろに隠れて様子を窺っている。

というか何だそれは?身の覚えがない。

そして名を名乗れ。

「失礼ですが人違いじゃないですか?」

「さっき教師に確認してきたけど1年で大藤なんてお前しかいないそうだ!!」

大藤なんてとは何だ。

「今返したら教師には黙っておいてやる!お前今停学中らしいじゃねーか!」

「気を使ってくれて悪いが身に覚えがないんで」

胸倉を掴まれた。

「自分で名乗っておいて今さらシラを切るなよ!!」

なるほど俺は名乗ったのか。

「そっちにいるやつがあんたの弟?ちょっと話させてほしいんだけど」

「あ?何の話だよ」

「本当に俺だったか確かめたいんだよ」

そういうと怒れる男は手を離した。

「なー、よく見てみ、昨日あんたから金を取ったのはこの顔か?」

「ほら隆司、確認しろだとよ」

隆司はもじもじして一向に話そうとしない。

「もじもじしてないでハッキリしろこのボケェ!!」

ガッと両肩を掴むと、うわぁと両腕で顔を隠す。

こら!!と隆司兄に背中を掴まれ剥がされた。

「なに脅してんだこの野郎!!」

「い、いや、ハッキリしないからつい」

そうこうしていると、隆司がやっと口を開いた。

「あっ、えっと・・・、違う」

ほら見ろ人違いじゃねーか、と隆司兄を見る。

「で、でもそいつら、文句があるならこの1年の大藤が相手になってやるって・・・」

なんとまー、丁寧に自己紹介しやがって、バカ野郎が、普通に不自然だろ。

しかし、まさかあいつらじゃねーだろうな。

「そいつらまさか三人組じゃなかったか?」

その問いに隆司は頷いた。

「その中の一人は鼻を怪我してなかったか?」

その問いにも隆司は頷いた。

「やっろう・・・」

「なんだ、やっぱり人違いか?」

隆司兄が申し訳なさそうに聞いてきた。

「金を巻き上げたのは俺じゃないが、心当たりはある」

「なんだ知り合いかよ、誰だよ」

「2年の今停学中のやつら」

隆司兄は、あいつらかと顎に手を当て考え始めた。

「知ってるのか?」

「ん?まーな、同じクラスだし、たぶん高橋と池沼と板垣だろう」

同じクラスかよ、しかしあいつら約束した次の日からこの様か。

「で?いくら取られたんだ?」

隆司は相変わらずもじもじと・・・、腹立つな。

「に、二万」

おぉ出ました二万!高校生にしては大金だなおい。

「わかった、俺が取り返してやるから少し待っててくれないか?」

隆司は何も言わず頷いた。

「おい、取り返すってお前喧嘩すんじゃないだろうな?」

「時と場合と気分による」

「気分ってお前、いーよ俺が自分で行くから!」

と、隆司の手を取り去ろうとする。

「ダメだ!」

そのひと言で隆司兄は止まった。

「なんだよ、間違って疑ったのは悪かったと思ってる、が、犯人がお前じゃないなら関係ないからな」

関係ないわけあるか、勝手に人の名前を語ってんだぞ。

「たぶん俺のせいであの三人は調子乗ってるから、俺が責任持って片付けるよ」

俺はじっと二人を見つめた。

「だから心配せずに待っとけ、月曜日には渡せると思うから、何なら色付けるぞ」

「いやそこまでしなくても・・・、分かった取りあえずお前に任せるが、無茶はするなよな」

隆司兄はそれだけ言うと校舎に戻って行った。


また厄介なことになったな、めんどくせぇ。

しかしあいつらロクなことしないな、人との約束も守らねーし、まぁあんまし期待はしてなかったけど・・・、ここまで早く期待を裏切るなんて・・・。

しょうがない早く掃除を終わらせて探しに行くか。

そして俺は掃除を終わらせ職委員室まで足を運んだ。

さっき来る時に授業の終了のチャイムが鳴っていたから片瀬は居るはずだ。

失礼しますと中に入る。

片瀬は・・・、いない。

なぜだぁぁぁぁ!!

なぜ居ないんだお前はぁあぁああ!!

俺はそのまま保険室に行き報告を済ませた。

校門のところで会うかなと思ったが今日はいない。

まぁあいつに会いたいとも思わんが文句は山ほど言ってやりたい。

そんな事を考えながら俺は昨日のパチンコ屋に向かった。

流石に制服を着たまま中には入れない、居るとしたらあっちから出てくるのを待つしかない。

待つこと30分、一向に出てこないな。

今日はいないのか?

一応昨日の公園も見ていくか。

うろ覚えだがなんとか昨日の公園までたどり着いた。

そこにあの三人ともう一人知らない男がいた。

楽しそうに話す四人、どうやら今日は違うパチンコ屋に行き、勝ったみたいだ。

俺が近付くと三人は俺に気がついた。

「おっ、大藤君じゃないかどうしたんだい?」

白々しい、どうしたんだい?じゃねーよ。

「昨日カツアゲしたやつの金返せよ」

三人は笑う。

「一日もしない内に約束破りやがって・・・」

「おぃおぃ何言っちゃってんの?俺ら手は出してないし」

他の二人が、なーと相槌を打つ、屁理屈こいてんじゃねーよ。

「終わってんなお前ら・・・」

俺が一歩前に出ると、もう一人の男が俺を阻む。

「おっと、何だお前、俺らとやる気か?」

「あんたには関係ないから邪魔すんな・・・」

「関係ない?なぁお前ら、俺がこいつをやったら飯おごれよ」

後ろの三人は、いいぜと言いベンチに座り始めた。

「俺は1年の頃は空手部でエースだっっ!!」

男は顔面に蹴りを喰らったが、一瞬の事で何が起きたか把握できなかった。

皇太は左足を振りぬく。

男は後ずさり、すぐさま敵を確認する。

が、目の前いっぱいに靴の裏が見え、男は意識を失った。

後ろで観戦していた三人がどよめく。

「今日は容赦しねーぞお前ら・・・」

皇太は少しずつ三人に近寄る。

「おぃ待てよ!かっ、金なら返す!!だからまっ!!」

皇太はそのまま三人を殴り倒した。




「よしよし二万はあるな、迷惑料でもう五千円貰っとくか」

カツアゲされた分と迷惑料を抜き取り財布を返す。

「カツアゲしたのはこれだけだろうな?」

一人だけ意識があり、何も言わず頷いた。

「今後、お前らが俺絡みで何かしでかすつもりなら、その度にこうして会いに来てやるから・・・覚えとけよ」

俺はそのまま公園を後にした。


最初からこうしとけばよかった。

この方が楽だ・・・。

あぁ小泉悪いな、俺もあいつらと同じで一日も約束守れなかったよ。

と気づくと神社の前だった。

少し寄ってくか。

自転車を止め、石段を上がると昨日と変わらない神社があった。

とりあえずベンチに寝そべってみる。

風が気持ち良いな・・・。



「おい、おい、にーちゃん風邪ひくぞ!」

俺は力強い声で目が覚めた。

「えっ、あっ、あー・・・」

どうやら寝てしまったようだ、辺りはすっかり暗くなっている。

「もう日が暮れちまうぞ」

「あー、んー・・・あぃ」

頭は起きているんだが体が動かない、一般的に言う低血圧なのだ。

「おい大丈夫か?」

俺はとりあえず頷いておいた。

「一人で帰れるか?」

とりあえず頷いておく。

「んー、まぁ大丈夫そうか、じゃー俺は行くからな、寝るなよ」

俺は頷きその男を見送った。

神主さんかね・・・。

まぁ、いいや。

いやしかし、まったく動く気がしない!!!

しばらくグダグダしていると日もすっかり落ちてしまった。

と、不意に後ろから押され、俺はベンチから落ちた。

「いってー」

「やっほー、何やってんの?」

小泉だ、そうかここは小泉の家が管理してるんだっけ。

「寝てた」

「風邪ひくよ?」

小泉は呆れたという顔をしている。

「しかも制服って、朝から寝てたんじゃないでしょうね?」

「昼から」

「あんま変わらないよ、風邪ひく前に家に帰りなね」

頷いておく。

「分かってんのかな?まぁいいや私行くからね」

俺は手をひらひらさせ小泉を見送った。

体に大分血が回り、動けるようになってきた。

と、奥にある門が目に入った。

あそこの先はどうなってるのかね?

見た限りでは外に繋がっているようだ。

門をくぐると生い茂る木々と、小さい池と大きな池が見えてきた。

小さい池からは湧水が出ており飲めるようだ。

大きな池には橋がかかっており向こうの道路に出れるようだ。

その橋で小泉が鯉に餌をあげていた。

「よぅ」

「やっほー、帰るん?」

「おぅ、神社の奥ってこんなんになってんのな」

俺も橋に寄りかかり池を見下ろした。

「水が綺麗でしょ?湧水なんだよ」

ちゃぽんと鯉が跳ねる。

「んー、そだな」

しばらくの沈黙、鯉が跳ねる音だけが響き渡る。

「なんだよ」

気がつくと小泉が俺の方を見て何か言いたげな顔をしていた。

「別にー」

小泉はそう言うと残りの餌をばら撒き袋を丸めた。

「そうかい、じゃーな」

俺は入ってきた門に向い歩き始めた。

「喧嘩・・・したでしょ」

一瞬大きい脈を打ち俺の鼓動は少し早くなった。

「ばっ馬鹿、してねーよ」

俺はそう言うとかまわずその場を後にした。

なんだあいつ、超能力者か?俺が何してたとか分かっちゃう人なのか!?

この物語は、そういう人が出てきちゃう物語なのか!?

水晶とかで俺の事を監視してたりしてるわけ!?水晶って何?おいしいの?

やばいかなり混乱している。

落ち着くんだ俺!!

家に着くまでには何とか落ち着いてはいたが、俺が喧嘩したことをズバリ言い当てられたのは驚いた。

今度聞いてみようかな・・・、いや、やめておこう、何か怖いし・・・。


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