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プロローグです。話数がまとまり次第まったり投稿していきます。よろしくお願いします。
「ふぅ……こんなもんか」
端末の画面を見て、俺は満足気に頷いた。
縦長の液晶の中にローブや鎧を着て剣や杖を装備したキャラクター達が映し出されていた。各キャラのレベルやステータス、スキル、必殺技等の横には、『Max』という単語が表記され、それ以上の強化はできない。
この一週間、キャラと装備のレベルを上げ、曜日ごとに来るクエストをクリアし強化、進化用の素材を集め、やっとこ今日、目標を達成した。
属性はバラバラだが、リーダーにしているキャラのリーダースキルの効果に合わせた結果なので何の問題も無い。
「おっ、そういや、貯まってたな」
各クエストをクリアすることで貰えるゲーム内通貨が、まとめてガチャを回せるほど貯まっていた。課金をしない訳ではないが、学生故に、その額は僅かだ。
レベルアップなども合わせて序盤こそ直ぐに貯まるが、進めるにつれその効率は下がる。なので、たった一回だけだが、やはり期待は大きい。
ガチャページに飛ぶと、新キャラに合わせ丁度フェス期間らしく、確立倍となっている。
ランクの割に俺の所持しているレアキャラの数は少ない。最高ランクのSSRキャラは5体で、ランクは110。
端末を片手から両手に持ち替え、いざ……!!
「はっ!」
キラキラと画面に星が浮かぶ。その数10。
ここでこのキラキラの色がノーマルの白から金に変われば確定演出に入り、銀であればそのまま結果が出る。
「はぃ……」
画面には銀のキラキラ。一体ずつキャラが紹介される。
「まだ慌てる時間じゃあない……」
来ないわけじゃない。来る確率もまだ残っているのd
(あダメだこれ)
最後に出たのはSRキャラで、可もなく不可もなくなキャラだった。
ダブった。寝よう。
*
「やあ」
「……うおぁ!?」
「初めまして」
「な、なんっ……」
目を開けると、少年とも少女とも言えない子供の顔がドアップで迫っていた。周囲一面真っ白な空間で、ふわふわと浮かぶ子供は何なんの説明も無しに、指を鳴らした。
「さっ、挨拶は済んだね。じゃあいってらっしゃーい」
「は? ちょ……」
足元に無数の模様が浮かび、俺の体を包んだ。
――ピロン。
そして、頭の中で軽快な音が鳴った。
『荘司凛。適合。マスター登録。人格の構成を開始。構成完了』
『――――よろしくお願いします。マスター』
「は、はは……」
一体どういう状況なのか、理解できないなぁ……。
俺の意識はそこで途切れた。