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変態と編入生の不可解な行動

「あれは……」


 ある日の昼休み。俺が一人で中央広場を歩いていると、つい最近知り合った姿があった。


「ラグナか?」


 中央広場の人気のない角辺りにあったのは、この間この学院に編入してきたラグナだった。

 物陰に隠れるようにして、一体何をしているのだろうか?


「おぅい」


 声を掛けると、ラグナは驚いたように振り向いた。


「ど、どうしてここに?」

「いやぁ、偶然通りかかっただけなんだけどさ」


 適当に返しながら、俺はなんとなくラグナを観察した。

 しかしラグナは完全に手ぶらなようで、何をしていたのかさっぱり読めない。

 周りに誰かが隠れているような気配もなく、ラグナ一人でここまで来ているようだ。


「ラグナは、ここで何をしてたんだ?」


 察しようがなかったので直接聞いてみることにする。

 すると、ラグナは少し答えにくそうに苦笑いを浮かべてこういった。


「えっと……まあ、人間観察ってところですかね」

「人間観察?」


 俺は首をかしげた。

 人間観察といっても、周囲には誰もいない。

 つまり、ラグナが嘘をついているというのだろうか?

 だが、なぜ嘘をつく必要が……


「それじゃあ僕は、これで」

「ちょっと」


 いって、ラグナが俺の横を通ろうとする。

 それに俺は待ったをかけた。


「……急いでいるんですが」

「人間観察をしていたにしては、誰もいないようだけど」


 少し鬱陶しそうに俺を見上げてくる少年は、つい数日前に学院長室や訓練場で見た爽やかそうな印象が薄れていた。

 ……俺は、学院長室で見た、あのエレカの顔を思い出す。

 あの、歪な存在を睨む瞳。

 それがなぜか、唐突に脳内にフラッシュバックする。

 ラグナは俯いて黙るばかりで、何も言おうとしない。

 しかし、ぐっと握った拳をゆっくりと開くと、その顔を上げた。


「――仕方ありませんね。あなたには少し、"夢"を見ていてもらいましょう」


 言葉とともに、俺の意識は途絶えた。

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