変態と爽やか編入生
数日後、授業を終えた俺たちの下にサラがやってきた。
「あなたたちに紹介する人間がいるわ」
そういって、俺・エレカ・アレン・ネロ・ジェシカの5人は、ケリスのいる学院長室へと通される。
中に入ると、俺たちの他に先客がいた。
「やぁ。久しぶりだな、セツヤ」
憎たらしいほどに爽やかな表情でこちらに手を振ってくるのは、相変わらず高身長高学歴イケメンのトリスだ。
どうやらパーティメンバーごと呼ばれているらしく、久しぶりと言わざるを得ない顔ぶれが揃っている。
「揃いましたね」
奥の学院長机に座っていたケリスが立ち上がる。
彼女を見たのも久しぶりなきがする。
水色の美しいロングヘアーがゆっくりと重力に逆らった。
「今日みなさんをここに集めたのは、ある人を紹介するためです」
ケリスはいつもの済ました表情のままそう言った。
「紹介?」
トリスが首をかしげる。
どうやら彼はなにも伝えられていない様子だ。
すると、とてて、と近寄ってきたジェシカが耳元で囁く。
(ねえ、学院長が言ってる"ある人"って……)
俺はジェシカの言葉に頷きで返す。
たぶん、ケリスの言うある人とは……、
「ラグナくん、入っていいですよ」
「失礼します」
ケリスの言葉に呼応して、背後の扉ががちゃりと開かれる。
そして中に入ってきたのは、黒髪をさらりと横に流した爽やか風男子だった。
ケルティック学院の一年生が着用する制服を着ており、しかしてその佇まいには幼さが微塵も残っていない。
見た目からの年齢は……いや、ラントやミルと同じくらいだと思えた。
「初めまして。先日より一年生としてこちらに編入させていただいた、ラグナ・レウです。今日は優秀な先輩方のお力を拝見できると聞き、楽しみにしていました」
「よろしくお願いします」そういって、ラグナと名乗った少年は少しだけはにかんでからぺこりと頭を下げた。
「彼の言ったとおり、みなさんにはこの後少しお時間をいただいて訓練場へ向かってもらいます」
「僕たち二パーティで、ラグナくんに模擬戦を見せるんですね?」
トリスが言うと、ケリスは彼の瞳を見つめ返しながら頷いた。
どうやら、やはり彼がサラの言っていた編入生のようだ。
……しかし、またイケメンですか。
トリスの存在といい、正直学院前などで見せた顔はもう見たくないが……あのリーブマルだって十分にイケメンの部類だ。
どうしてこうも俺の周りにはイケメンしか揃わないのか。あのチート能力、代償でもあったのかよ。
俺がそう心の中で毒ついていると、ふとエレカの顔が目に入った。
「っ!」
俺は、息を呑んだ。
何故なら、俺の視界に入った金髪の超絶美少女が。
普段ならありえないほどの険しい顔で編入生を睨んでいたからだ。




