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変態と守護獣

更新大幅に遅れて申し訳ありません

 それから、俺たちはダウナートの外へと駆り出した。

 ダウナート郊外はやはり騎士団の影響力が強いのか、いわゆるゴロツキやならず者、あとはハリアブルーのときに受けた依頼の討伐対象であったようなモンスターなどは全く見かけなかった。

 普段から騎士団が都市周辺を見回りでもしているのだろう。





 それでも、"守護獣"に関しては問題なく生息していた。

 理由として、そのどれもが人目につかないであろう奥地に生息していたからだと考えられる。

 例えば森の奥や、小さな湖のほとりに出来上がった小さな空洞、はたまた整備の全くされていない隠された細道の奥などだ。

 守護獣たちはそういった場所にいて、ひっそりと身を隠しているようだった。

 戦う際は広い場所までおびき寄せ、それで戦う。

 基本的には人気のなくなる夜にしのびながら守護獣とは戦った。無論、通行人に見られることを配慮した結果だ。





 倒すべき守護獣は八体。

 大きさは様々で、体長二十メートルを越えるものから小さいものは一メートルもないものと、本当に様々だ。

 ただひとつ共通して言えるのは、全ての守護獣は何かしらを"守護しながら戦っている"ということと、複数体いることはなく必ず一体のみ、という点だった。

 俺たちは司祭から受け取った素材の情報を頼りに、守護獣を順調に倒していった。





 エレカを救うために司祭に頼まれた素材はどれも王都からほど近いところに生息しているらしく、一体の守護獣を倒して素材を手に入れてはダウナートに戻り、また次の日に出向く……といったことが可能だった。

 司祭が気を利かせてくれた結果なのか、はたまた偶然のなのか定かでは無いが、どちらにせよ俺たちにとっては好都合だった。あまり王都から離れすぎていると、帰還する際に時間を取られてしまっていただろう。

 そうして俺たちは約二週間強の時間をかけて、最後の八体目の守護獣にまでたどり着いた。





「――はぁっ!」


 最後の守護獣は、鋪道から外れた細い獣道の奥に居る、全長十メートル程の翼を持たない龍だった。

 全身はコケのような緑のウロコで覆われ、まるでカメレオンの舌のようによく丸まる尻尾が特徴的な守護獣だ。

 モンスターとの戦闘経験は未だ浅い。しかし一緒に来ていたパーティメンバーの内、ネロとアレンだけはモンスターとの戦闘にキャリアがあるらしく、その二人を中心にして俺、そしてジェシカは立ち回っていく。


 俺は強化魔術で腕を強化すると、そのまま足元を切りつける。

 それによって体制を若干崩した守護獣は、前方に接近してきていたアレンの短剣によってさらなる追撃を受ける。ネロもそれに続き、絶え間ない波状攻撃を完成させる。


「やっぱりアレン、本気を出してないよな……」


 俺は目の前で機敏に動くアレンの姿を見てぽつりと漏らした。

 かつてアレンは、俺に対して模擬戦を申し込んできた。

 それまでアレンの戦闘をほとんど見たことがなかった俺は、特になんの警戒もすることなく、模擬戦ということもあって気楽に臨んだ。

 しかし、その模擬戦は一瞬で決着がついた。

 あの時のアレンの動きはまるで人じゃないようで、魔術を行使した痕跡すらも感じられないのが更なる恐ろしさを俺に与えた。

 でもそれからというもの、アレンが戦う機会があっても、あの時のような規格外れの動きは見せていない。

 ――果たしてそれは、意図的なのか。もしくは、何らかの条件があって、それを満たしたときでないとあの動きはできないのか。

 それは、今の俺にはよくわからない。

 それから少しして。


『ググウゥゥゥゥ……』


 ズシンと、龍が地を揺らしながらその身を伏せさせた。


「やっと倒れてくれたか」

「ふぅ~、意外と粘り強かったね!」


 今回、というか守護獣戦において中心だったアレンとネロは、どこかすっきりしたような表情をしていた。

 俺とジェシカは守護獣戦中、この二人におんぶされる形となってしまっていた。


「セツヤくん……」

「ジェシカ。みなまで言うな」


 やはり、ネロとアレンは戦闘において年相応ではない。

 ジェシカはそもそも戦うというより回復援護専門なため比較できないが、俺はそうではない。

 エレカから強化魔術を教わって以降、様々な場面でできる限り強化魔術を使っていたが、やはり実践でとなると色々と思うようにいかない場面が多々あった。

 ……また、エレカから強化魔術の手ほどきを受けるべきかな。

 ふと、そんなことを思った。

 気づけばこの二週間強、エレカのことが頭から離れていたことを思い出す。


 アレンが、倒した龍の護っていた茂みから、白く仄かに輝く花を採取した。

 レンベレルホワイト。それが、この花の名だ。

 そして俺は、メンバーに向かって言った。


「……帰るか。学院に」

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