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閑話っぽいやつ

いつもの文字数関係のやつです

「エレカちゃんっ!!」


 俺たちが学院に戻ってくるなり、ある人物たちが学院前で待ち構えていた。

 サラとジェシカである。


 ジェシカは俺たちを見つけるなり、一目散でエレカに向かって飛び込んできた。


「ジェ、ジェシカ!? ど、どうしたんだそんなに……」

「エレカちゃん……心配したんだよ……!」

「心配……?」


 するとサラが歩み寄って来てこう言った。


「……教会の司教から聞いてね。あんたたちが瀕死の状態のクシールとゼルゴを協会に運んだって。それを聞いたジェシカがそりゃもう血相変えて飛び出して……」


 と、ジェシカを見る。


「だ、だって……ひどい怪我だって言うから、もしかしたエレカちゃんもって思って…………ひくっ……」


 ジェシカはエレカに抱かれながら泣いていた。

 よほどエレカのことが心配だったのだろう。


「そうか……随分と心配をかけてしまったようだな。だがもう安心してくれ。私は見ての通り傷一つない」

「ほ、ほんとに……?」

「ああ、本当だ」


 そう言って、エレカは柔和な笑みを浮かべてみせた。


「よ……良かったよぉ……」

「ふふ……ジェシカは可愛いな」


 安心したのか、ジェシカは再び泣いてしまった。

 頭を撫でながら、エレカは一層強くジェシカを抱きしめた。


「……セツヤ、ちょっとだけいいかしら」

「……ん?」


 後ろからサラに小突かれた。

 ちょっとばかり微笑ましい場面に潤んでいた目を拭い、サラの方を向く。

 するとサラは何を言うつもりなのか、少しだけ言いにくそうにしていた。


「こんなことをここで言うのもどうかと思うんだけど……」

「何だ、いつになく謙虚だな。サラとは思えない」

「あ、あたしとは思えないとは何事よっ! ……はぁ、あたしがこんなに悩んでるのがバカみたいじゃない……」

「で、用件はなんだ?」


 俺が促すと、サラはその重たい口を開いた。


「……今回の件で、エレカを、謹慎処分にすることが決まったわ」

「え……」


 謹慎処分……?


「どうして! エレカはただ……!」


 俺の抗議を、サラは手で制した。


「分かってる。ほんとはあたしだってこんなことしたくはない。エレカが友達(ジェシカ)のために彼らを止めようとしてこうなってしまったのも十分承知してる。でも……」


 それからサラは少しだけ俯いて、そしてこう続けた。


「……クシールの全身火傷に、ゼルゴの左足欠損。司教によれば、二人とも全治三ヶ月だそうよ。……これは、見逃しで済む問題ではないわ。もしこれが多人数の目に入ってしまっていれば、王国騎士に捕まってしまう恐れだってあった」

「……」


 それは、サラの言う通りだった。

 どこからどう見たって、エレカの彼らに対する行動はやりすぎだった。

 俺が止めていなければ、恐らく命までも奪っていただろう。

 そうなればエレカは一生蔑まれ、そして貶されながら生きていくほかない。


「この学院には噂に耳ざとい生徒がたくさんいる。このままじゃ、その生徒たちにもすぐに気付かれてしまうわ。だから体裁を取るためにも、ここはエレカを謹慎処分にして、一旦事を収める必要があるのよ」


 サラは悲痛な表情でそう言った。

 ……だがその目は、決して冗談じゃないと俺に訴えかけている。


「でも安心なさい。何もエレカがこの学院からいなくなるわけじゃないわ。それに、年度末にある進級試験までには謹慎も解除される」

「そ、そうなのか……?」


 俺はそれを聞いて少しだけ安心した。

 エレカがもしこの学院からいなくなるようなことがあればどうしようと、勝手ながらに考えていた。


「ええ。……学院側だって、あんな規格外な生徒をそうやすやすと手放したくないってことよ」


 サラはそう言いながらエレカの方を見やった。

 彼女(エレカ)はジェシカと何かを話している様子で、時折笑顔を見せている。

 同年代の女の子と話す一人の女の子の笑顔が、そこにはあったのだ。


「……このことをエレカに伝えるのは、休暇が明ける頃にしないか?」


 俺はサラにそう提案してみた。

 するとサラは一瞬驚いたような顔をして、


「ふふ、そうね」


 微笑みながら、そう言うのだった。

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