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彼女は左利き
彼女は左利き。
右利きの私は、左利きというだけでその器用さに感心してしまう。
毛先をカールさせるようにブラシで髪を梳く。一筆一筆ていねいにアイラインを描く。柔らかなふくらみに桜色のルージュを塗っていく。真剣なその目は透き通ったブラウンだ。
ブルーな月曜の朝も、疲れ切った木曜の朝も、みだれ髪の気怠い土曜の朝も最高の笑顔を作って微笑んでくれる。
そんな彼女に私は挨拶する。
おはよう。
鏡の中の彼女は静かに微笑む。
ありそうなネタです。かぶっていたら教えてください。