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竜の到来 2

 一部始終を見ていたルークは激しい胸焼けがしていた。

 クロトはニヤニヤ笑う。

 ルリは寂しそうに二人を見ていた。

 二人だけの空間に業を煮やし、ルークが冷やかしに行く。

「やっぱ、お前ら同盟とか国家間のなんチャラとか全部ひっくり返してとっとと婚約しちまえよ」

 眉毛がぴくぴく動いているあたり平常心とまではいかなかったがいくらか落ち着いて言えていた。

「いえ、僕たちそういう関係じゃないので」

 レストは真顔で返していた。

 ルークは視界が狭くなるような感じがした。

 動揺するルークの姿を見て、レストはほんとに不思議そうに聞く。

「君はどうしてハーウェイが僕と結婚すると思ってたの?」

「それ本気で言ってんのか?」

「僕はいつも真面目だよ」

 レストはルークの瞳をまっすぐ覗く。

 ルークはほとんどにらんでいた。

 数秒して、

「あー、もうめんどくせえ」

 ルークが頭をかきながらそっぽを向く。

 そして、今度はハーウェイに振る。

「姫はどうなのよ」

「何がどうなのですか?」

「レストと結婚しなくていいのか?今ほど自由に会えなくなっちまうかもしれないぞ」

「私は大丈夫です。レストとは確かに会う機会が減ってしまうかも知れませんが、彼は今も、そしてこれからもこの国の中核を担う人です。

 私と結婚しなかったからといって接点がなくなってしまうことなんてないと思っています」

 ハーウェイはにこやかに笑った。

「それに私たちそういう関係ではないので」

 これにはクロトが白けた視線を向けた。

 ここにきてルリの頭に血が上ったようだ。

「このニブチン」

 ルリは魔法を使い、手に収まる程度の水球をレストに向かって投げる。

「っぶね」

 紙一重でレストはかわした。

レストの直線上に立っていたルークのズボンに着弾する。

「このヤロー」

 ルークが手のひらに水の球を作り、魔法でルリへ飛ばす。

「キャッ」

 ルリが悲鳴を上げ、しゃがんだ先にはクロトが…

 クロトの顔にこぶし大の体積の水がかかる。

「ヒッ」

「何するんだ」

 ルークが悲鳴を、レストはルークへ鋭い抗議の声を上げた。

 クロトが顔をぬぐっている。

「ご、ごめんよクロト。君に当てるつもりじゃなかったんだ」

 すばやくルークが謝る。

「ク、クロちゃん大丈夫?」

 ルリが焦った様子で尋ねる。

 事態を把握していないハーウェイが、

「どうかしましたか?」

 と首を傾げる。

 クロトが顔から手を離した。

 クロトは文字通りにっこりと笑っていた。

 その顔を確認した瞬間、

「逃げろー」

 とルークが叫びながら、部屋に一つだけあるドアへ走る。

 ドアノブを回し、外へ出る。

 その姿はお世辞にもかっこよくはなかった。

 ルークの後の続き、ルリ、レストも一目散にドアから飛び出す。

 クロトはゆっくりとドアへ向かう。

 ドアノブを回しドアを引く。

 ベッドに座っているハーウェイを一度振り返る。

 コンコンと二回優しくノックし部屋の外へ出た。

 ハーウェイは、

「みんな行っちゃったか」

 と一人つぶやいた。

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