第三話
遅れて申し訳ないです。パソコンが天に召したので……orz これからは大丈夫だと思います。こんな駄文ですがこれからもよろしくお願いします。
どうするよ俺っ! ……ん?
ふと思ったのだが、あいつら強いのかな。
俺の周りにいたやつらが屈強すぎたので忘れていたが、よくよく考えればこいつらはただのゴロツキ共だ。俺は曲がりなりにも鍛錬はしてる。
…………あれ、勝てる!?
確証はないけど、まず勝てる。そう確信し、男達に接近する。勿論確証はないので一人は奇襲で倒す。幸いにも、男たちはカツアゲに夢中? なのかこちらに気づいていない。
一気に近づくと俺は青年を軽く押し、間合いから逃すと右側にいた男を鞘付きの刀で思いっきり殴った。ミキッと骨が少しはイったであろう手応えを刀から感じ取りながら、振り抜き、左側にいた男にも同様にして攻撃をする。
するとどうでしょう。あっという間に倒してしまいました。なんて弱いんだ。まぁ、確信はしてたから驚きはしないけど……悩んで損した気分だぜ。
少しばかり悔しく思いながらその場を去ろうとすると、先ほどの青年が声をかけてきた。
「なに?」
「助けていただき、ありがとうございます」
青年は深く頭を下げる。「お礼なんて……」と言いかけたところでふと思う。これは、俺の一度言ってみたかったセリフBEST20のセリフの一つを言えるシチュエーションだ!
なんとなく痛いが、言いたい。言ってみたい。俺は1つ小さく深呼吸をする。
「ふっ、お礼なんて。当然のことをしちゃ……したまでさ」
…………ああああああああああああ!!! 思いっきりカッコつけようとしてかんだ。はずい、恥ずすぎる!
内心、半端なく身悶えている俺に気づかないで青年は答える。
「いえ、本当にありがとうございます。よろしければお礼がしたいので、付いてきてもらっても?」
ふぉぉぉおおおおお! 何て恥ずかしいやつなんだ俺!……お礼? お礼かぁ。服もなかなかに高級感が漂ってる青年。お礼も……。別に、何も考えてないよ?
「そうですか? では、お言葉に甘えて」
「はい。では、行きましょう。おっと、自己紹介がまだでしたね。僕は、リオ・アレクシスです」
「俺はシンだ」
「シンさんですか。では、早速……」
「ちょい待ち! さんはいらない。俺もリオって呼ぶから」
シンさんとか。どこの貧乏旗本の三男坊ですか。
「分かりました。では、シン。改めて行きましょう」
「なぁ、リオ」
「はい。なんでしょう?」
歩き始めて十数分しか経過していないが、リオとはふるくからの友人のように仲良くなった。
「これ、お前の家?」
ここは上層区。あたりには豪邸だらけ。俺たちはその豪邸の中の1つの前に立っている。
「正確には僕の父の、家ですね。さ、立ち話もなんですし入ってください」
俺がこの時から借りてきた猫のようにおとなしくなったのは言うまでもないと思う。
中に通されたのはいいものの。廊下には高級感漂うツボやら絵画やらで、おまけに照明はシャンデリアときました。一歩踏み出すのにさえ勇気がいるわ! 歩くたびに「え、俺が歩いていいの? ねぇ、ほんとにいいの?」と思ってしまう。
しかし、そんな俺とは逆に気にした様子もなくあるくリオ。俺は仕方なく歩くことを余儀なくされた。
確かに、俺は貴族の生まれですよ。ダンスだって礼儀作法だってそれなりに覚えたさ。でも、実家にいた時間は一年にも満たない。確かに、生まれた時には人格形成は終わってるけど、全然なれなかったし。
すぐに親方のところに預けられた。礼儀とかは全部村に様子を見に来てくれた両親に教えてもらった。
「それで、何か欲しいものはありますか?」
リオに案内された部屋で、これまた高級そうな椅子にビビりながらも座った俺にリオは言った。
「……欲しいものか。別にないな」
「そうですか? そこのツボでもいいですよ?」
と、指をさした向こうには綺麗な蒼い壺があった。
「い、いらない。全然いらない」
「こまったなぁ。お礼するにしても何あげたらいいかわかんないや」
と、真剣に考え込むリオ氏。
とりあえずと思い、俺はリオに質問をした。
「そういえばリオのお父さんって、職業はなんだ?」
「父様ですか? 商人ですよ。アレクシス商会を経営してます」
なんと、経営者か。どうりで豪邸なはずだ……ん? 商人?」
「まぁ、僕も商会で働いてるんですけどね。父様は実力のない人間に商会を継がせる気はないと言ってましたから。かれこれ七歳の時から真似事をしてましたよ」
……なんという幸運だ。これは交渉してみる価値ありだな。リオなら信用はできる気がするし。
「なぁ、リオ。頼みを聞いてくれないか?」
「欲しいもの、決まったんですか?」
「いや、ものじゃないんだが……こいつを買い取ってくれないか?」
俺は今まで背負っていた袋をリオの目の前に置く。
「これは、なんですか?」
「モンスターの素材かな」
リオが「開けてみても?」と聞くので頷く。リオはいくつかを手に取り、状態を確認しているようで、確認し終わると顔を上げた。
「状態がかなりいいですね。これならウチで出してもいいかな。数もそれなりに揃ってるし……分かりました。いいですよ」
「本当か?」
「ええ、勿論。金額は……一万メルでどうでしょうか?」
「そんなにいいのか?」
これぐらいの量なら六千メルが買取相場だろう。
「いいですよ。稼ぎは十二分に出せると思いますし、これからも下ろしてくれると約束してくれるなら」
リオが商人の顔で微笑む。願ったり叶ったりだ。
「ああ、勿論だ」
俺は、リオと誓約書を記入し、渡したあと屋敷をあとにした。リオにお礼を言うと「こんなことでいいの?」と言われたが、もちろんと答え、上機嫌で帰り道を歩くのだった。