雑談
モクレン 「このグラマスなボディは魅力的でしょう」
コブシ 「この尻デカがなにを言う、見るからに華奢で可憐な私が最高」
シデコブシ 「なーにが華奢で可憐だ、田舎くさいだけじゃん
見なさいよこの花びらの多さ、絢爛豪華でしょう。
これで男の目もイチコロよ」
タイサンボク「ガキども煩い静かにしろ」
モクレン 「ガキとは何よガキとは、コブシと一緒にしないで」
コブシ 「そうそう、私だって好きでこんな童顔やっていないのだからね」
シデコブシ 「何が童顔だ、田舎娘」
コブシ 「田舎とはなによ田舎とは」
モクレン 「確かに田舎ねぇ、この高貴な私の紫の装いからみれば
ダサダサですわね」
ハクモクレン「じゃあ私は高貴じゃないとでも言うのぉ？」
モクレン 「いや、そんなつもりでは」
ハクモクレン「白は高貴じゃないのですかぁ？」
モクレン 「だからつい口がすべって」
ハクモクレン「田舎いいじゃないのぉ、白のどこが悪いのですかぁ言ってみなさい」
コブシ 「そうだそうだ、言ってやれ」
モクレン 「あれ、やだ、だれか私の根元を掘ってるわ」
コブシ 「あ、私もやられているみたい」
ハクモクレン「私は、まだ大丈夫みたいだけどぉ、あいたぁ」
シデコブシ 「私は今、抜かれたようです」
僕 「あれ、庭師さん公園の春の木コーナーの木を抜いて
しまうのですか？」
庭師 「んだ、んだ、こんなせせこましい所に植えるものだから
みんなストレスで気が短くなりおって
どうも花の散るのが早い気がするだな
たまには、田舎に戻して元気が出るまで置いて
みるべと思ってな、まぁタイサンボクはでかすぎて無理
だけどな」
僕 「なんか寂しくなりますね」
モクレン 「でしょ！でしょ！だから止めさせて」
庭師 「なに、ここにはハナミズキとヤマボウシを植えるだよ」
僕 「あれって綺麗ですよね、桜が終わったあとの楽しみですし」
モクレン 「ひどーい」
季節が進んで暑さが増したころ、すっかり木々が抜かれた跡に
タイサンボクの大きな花びらが
ぽつりと落ちてきた。ちょっと寂しそうに見えた。
