如雨露
ぐっすりと皆が寝ている間に、お月さんは小惑星帯をのんびりと徘徊していました。
手には如雨露を持ち、小惑星の中でも大きいセレスを訪ねてきたのです。
「やぁ」お月さんは、お久しぶりと言いました。
「ああ・・」セレスは、のんびりと漂いながら応えました。「どうしたんだい、こんな辺鄙なところに」そして如雨露を横目で見ました。「なんだい?その如雨露」
「重さの元だよ」とお月さんは如雨露を掲げるようにしてみせました。
「なにすんの?」
「そんなの使い方は決まっているでしょ」とお月さんは、にやっと笑って如雨露の
中身をセレスにかけてしまいました。
「おいこら!何をすんだ」セレスは避ける暇もなく光のようなものを降り注がれてしまいました。
「さて、あとは仕上げをご覧あれ」やがて、一個の小さな小惑星が近づいてセレスにぶつかって吸収されてしまいました。
「おー、もう効果てき面」お月さんは喜びの声をあげました。
「・・っていうか、痛いよ」とセレスが悲鳴をあげました。
「いやいや、これで小惑星の軌道領域でセレスと他の小惑星の総質量の比が100ぐらいになったら晴れて惑星に昇格だよ」
「そんな人の小ざかしい知識なんかどうでもいいよ。僕はここでひっそりとしてたいの」
「まぁまぁ・・いいじゃん、大丈夫大丈夫」そして、今度はもっと遠くに向かいました
「おいおい、どこにゆくんだ」と言うセレスにまた小惑星が当たりました
「当然、嘗ての惑星である冥王星さ」
「ああ、なまじっか、人間がエリスなんか見つけたせいで惑星から降格されたやつか」
「そうそう、ついでに慰めに行ってやるんだ」