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さいころ
空の茶碗を手に持って手前に置くと機嫌が悪いなぁと、錬金術師はぶつぶつ言いながら3個のサイコロを振って茶碗の中に放り込みました。カラーンと賽子が鳴り目が出ると、彼は不機嫌な顔をしました。
箒乗りも発明家も錬金術師の弟子もずっと出目がでないまま周り続けているのです。
そしてこの回も、揃いませんでした。
「もうやめようよ」箒乗りが悲鳴に近い声をあげました。
「おれも嫌だ」錬金術師も同意しました。
「私もです」錬金術師の弟子も続きました。
「で・・でもせ・・折角作ったサイコロだし」と発明家がしょんぼりしました。
「正20面体のサイコロでちんちろりんが出来るかってんだ」
箒乗りは、サイコロを茶碗から取るとぽーんと放りなげてしまいました。