幽愁暗恨、油断をするな。
前回のあらすじ
S
八雲家は、昔の記憶と変わらず、森の中にひっそりと佇んでいた。
風景を頼りに、それっぽい所をシラミつぶしに探して、ようやく見つけた。時には木の上から現在位置を把握、時には運に身を任せ、薄暗くなる頃に到着した。
家からはオレンジの光が漏れ出し、小さな煙突からはケムリが立ち上っている。ちゃんとヒトがいるようだ。
玄関の扉を軽く叩き、出迎えたのは八雲藍。藍先生だ。
「遅かったな」
「お久しぶりー」
「紫様が昼頃、緑が来るってね」
縄張りに入った時点で、大体バレるのだ。知ってたなら近道作ってくれればいいのに。
「その紫様はどちらに?」
「今は外出なさっている。ま、晩ご飯用意したから、食べて待っているといい」
あら以外。もっと不遇な扱いを受けるかと思った。寝てろ、とか。来ると分かっていて主人が出掛けるから、変に構えたりされていないんだ。きっと。どうでもいいとか思われているんじゃない。
扉を開けっ放しにして、藍先生は台所へ。火を使っている最中だったらしい。
生活感溢れる純日本家屋は、天狗の旅館と違って落ち着く。金持ちは敵である私からしてみると、ここ最近の建物で、一番過ごしやすい場所だと評価する。温泉はよかったけど、住むならやっぱりこういう所でしょー。
なんだか楽しくなってきて、目についたフスマを全部開けてみる。台所兼玄関兼食事部屋と、他三つの部屋でできた正方形の家は、私の手によって一つの大きな部屋となった。
「ちゃんと閉めて。怒られるぞ!」
怒られるぞと、怒られてしまったので、渋々部屋をもとの形に。している途中、部屋の隅っこにスキマを見つけてしまった。空間のスキマの中は無数の目ん玉がせわしなく動き、相変わらずであった。
「できたぞー」
私に近づいてくる藍先生。
「何見てるんだ?」
「スキマがある」
二人してスキマの中を覗き込む。でも連結先は見えず、目ん玉達とにらめっこすることに。
進展がないと見ると、藍先生が我に返ったように、私の肩をつかんだ。
「ほら、紫様仕事中だから! 迷惑掛けちゃダメだ!」
肩を引っ張られ、私の体は後ろに持って行かれる。
すると不幸にも、畳みに直置きにされていたナイトキャップが足下に。変な重心の私は抵抗する術もなく、そのナイトキャップに足を滑らせ、すっ転んでしまう。
転んだ拍子に飛んで行ったナイトキャップは、天井近くまで舞い上がり、タンスの上に偶然置かれていたツボに直撃。
ツボが確実に落ちる程揺れるのを見て、慌てて藍先生は落下地点へ。なんとかツボはキャッチできたが、ツボに引っ掛かっていたナイトキャップが藍先生の顔にのる。
いきなり視界が消えて「んおー!」と、ドタバタし始めた藍先生を止めようと、私が立ち上がる。
だが、私が行く前にナイトキャップは外れて、藍先生が落ち着く。するとツボの中から、黒い虫がカサカサと這い出てきて、驚いた藍先生はツボを私に投げてくる。
虫はそのときはがれ落ちたが見えたので、迷わずキャッチ。そして床に置く。一方で、どうやら虫が藍先生の尻尾に入り込んでしまったらしく、藍先生がクルクルと回り出した。
自分の尻尾しか見ていない藍先生は、もう私のことなんてアタマにない。
もっさりと重量を持った尻尾が、私の体に直撃して、今度は私が吹っ飛んだ。ヒトの体重を尻尾で受けた藍先生も、姿勢を保てず、回転を失ったコマのように倒れ込む。
私が吹っ飛んだ先、藍先生が倒れ込んだ先には、スキマがあった。
人間式ループ・ゴールドバーグ・マシン。
・・・・・・・・・・・
「お前のせいだぞ!」
「藍先生がそんなでっかい尻尾もってるからじゃん!」
「大体、お前がひとんちの中歩き回るから!」
「細かいこと気にするねえ!」
スキマは大きな屋敷につながっていた。とは言え、いきなりど真ん中に出たのではなく、敷地の外である。高い塀に阻まれて、中の様子は分からない。
すぐに帰ろうとしたけど、何故かスキマはなくなっていて、見知らぬ場所に残された私達は、ケンカしかすることがなかった。
「どうしてくれるんだ! 絶対怒られるぞ!」
「元はと言えばあんな所にスキマ置いとく紫さんが悪い!」
「えっ」
「触られたくなかったら仕舞うでしょ!」
「……」
「ね?」
「……そ、そうだな。紫様が悪い! うん。最近だらしないからな!」
あっさり懐柔できたのは意外だった。色々と大変らしい。
「この辺に紫さんいるでしょ。まず探し出さないと」
スキマの主が出口にいなかったら、ここに出た意味がなくなってしまう。単に私達を落とすための罠だったとしても、何の特にもならない。式神の藍先生をどっかに飛ばしたら、むしろ損だ。
でもあのヒトなら絶対やらないとは言い切れない。面白そうだからと、こういう所に飛ばし、帰ってくるまでの時間を計って遊ぶのだ。
そうじゃないといいな。屋敷の中にいるだろうと見当をつけ、藍先生と一緒に長い外壁を回る。辺AB上を一定の速さで動く点Pである。
左に一回曲がっても入り口は見つけられなかった。なので次の角でもう一度左に曲がろうとしたとき。
「しっ。なにかいる」
藍先生が何者かの気配を感じて、私の服を引っ張った。
「(さっきそれで事故ったんだからね!)」
「(うっさい!)」
角Cから少しだけアタマを出して覗き込む。入り口らしきものは確認できないので、ここが四角形の屋敷なら、私達は遠回りをしてしまったのかもしれない。でも、なんかいるのは見える。
「んほー。かわゆいのう。ヌシもそう思うだろう」
「いえ見えませんから」
いい歳した老人と、それを肩車する若い男。
「あ、ほら笑っとる。何か来たんだろうか」
「そろそろ降りてください」
ノゾキである。極めて悪質なる一連の行為に、私達はアタマを引っ込めて小会議を開く。悪は成敗しなければ。
「(アレはマズいよね)」
「(そうだな。畜生道に落とすべき悪行だ)」
「(行こうか)」
「(勿論)」
二人に気配を察知されないように、気持ち回り込んで、静かに接近する。相変わらず覗き行為を継続する変態には、天罰を下さねばならない。
「ん! あれは誰だ!」
覗きジイさんがいきなり大声を出したので、見つかってしまったと危惧したが、大丈夫であった。屋敷の中の様子を、ただ実況しているようである。
覗き魔の真後ろで待機する私は、藍先生にゴーサインを出す。藍先生が首を振ったので、手で三秒間カウントして。
「奇妙な装いのアヤツは……、もしや妖——」
『ナァニやってんだ!』
二人に向かって大きな声で、声高らかに、自信を持って叫ぶ。藍先生とのタイミングは見事に一致し、その威力は倍に。
「ぬわっ」
肩車をしている方が驚き、前のめりになって崩れ劣る。しかし老人の方は至って冷静で、数秒間外壁の屋根にしがみ付く。屋敷の中と私達を見比べて、唸ってから着地。
「しっかりせんか未熟者!」
「申し訳ないっ!」
「刀を貸せっ!」
体勢を立て直した若者をよく見ると、大小二本の刀を腰に差していたのが認識できる。暗い中、黒い鞘に収められた刀は見えにくい。
老人は小さい方の刀を抜き取ると、屋敷の入り口方面に走って行く。
「なんで貴女達がいるのよ」
角を曲がろうとした老人の前に、紫さんがスキマを開いて現れる。スキマから下りる紫さんは、老人に構わず、冷たい視線を私達に向る。老人が刀を抜く傍らで、私達は後ずさってしまった。
「おのれ妖怪! その穢れた命、刈り取ってくれるわ!」
覗き魔が何言ってんだ! ていうかおまえら人間か!
老人が紫さんに犯行を声明すると、紫さんはようやく老人に目を向けた。そっちはそっちでいいけど、こっちにも一人いる。
「貴様らも妖怪か!」
若者が藍先生の尻尾を見ると、刀を抜いて、私達に向かってくる。この覗き幇助罪! やってて恥ずかしくないのか!
私に下がっていろ、と藍先生が前に立つ。その際、私の体を押しやるものだから、バランスを崩して転んでしまう。またかよ!
「人間風情が! 妖怪に牙を剥くとは!」
藍先生も戦闘モードに突入。
手が空いたので、私は両方の観察ができる。
『不浄な存在め! 我が刀にて浄化してくれる!』
『浅はかな人間! 魑魅魍魎の糧となるが良い!』
若者と老人、紫さんと藍先生から、それぞれ同じ言葉が上がる。以心伝心状態なのだろうか。それとも決まり文句なのだろうか。
若者は一気に間合いを詰め、藍先生の脳天目掛けて切り掛かる。
老人は見慣れない歩き方で、気が付くと紫さんの目の前に。手に持った小刀で、紫さんの喉笛を掻っ切ろうとする。
しかし相手は妖怪。九尾の妖獣と、それを従える大妖怪だ。奇術幻術の前で接近戦など意味を為さない。
藍先生がその大振りの一撃を軽々とかわすと、若者は明後日の方向を見て顔を歪める。何もない場所を、まるで何かがあるかのように振る舞う。そこにない「それ」を斬りつけようと構えるが、振り下ろすのかという瞬間に、手に持った刀を自分で後ろに投げてしまった。
そして絶叫。
若者は力なく腕を垂らし、何もない場所から目を離さない。一歩、二歩、後退して、最終的に逃げ出してしまった。
同じとき、紫さんは、素早く斬り込んでくる老人を、スキマを使って蹂躙していた。紫さんがいる所を斬りつければ、紫さんは後ろから出現する。それに気付いて斬りつくと、紫さんは地面にスキマを開き、手だけ出して足を掛ける。転びそうな老人の前にスキマを開き、笑顔で手を振りすぐ閉じる。
子供のように扱われ怒った老人は、体勢を立て直し、天に向かって刀を突き刺す。
丁度そこにスキマが開き、紫さんに鼻先に刀が迫る。一瞬、驚いたような表情をするが、すぐに胡散臭い笑みを浮かべ。
小刀の刀身にスキマを作り、刀を音もなく、真っ二つに折った。
そこに、先ほど若者が投げた刀が転がってくる。老人はすかさず拾い上げ、戦闘を続けようとする。
しかし、若者の悲鳴が聞こえ、若者は老人の横を走り去る。それを確認すると。
「あの娘には、手を出すな」
老人は小さく舌打ちをして、若者を追って行った。
覗き魔の言うことじゃない!!
無事に覗き魔を追い払ったけど、問題はそれだけではない。私達はその場に正座させられ、紫さんに見下される。
「……で、貴女達。なんでここにいるのよ」
いかにも不機嫌そうな声色で、静かな怒りを私達に振り掛けている。
「その、紫様のお部屋にスキマが開いていて、緑が勝手に」
「はあ? 藍先生が暴れた拍子に吹っ飛ばされて!」
「緑がタンスの上のツボなんて落とすから!」
「藍先生が私の肩を引っ張るからでしょ」
「お前がそれでつまずくからだ!」
「あんな所に帽子を置くのが悪い!」
「そうだ! 部屋を片付けない紫様が悪い!!」
「スキマ開きっぱの紫さんが悪い!!」
勢いで言っちゃったよ!
「……そう。随分と仲がいいじゃない」
怒りを通り越して、ワラッテいるッ! あれは、風見幽香の笑み!
「世界の隙間で仲良く反省してなさい!」
紫さんがスキマを使って、どこかにワープすると、今度は私達の足下にスキマが生まれる。二人の体を飲み込むために、速やかに開くスキマ。それはもはや世界の隙間なんかではなく、ただの穴である。
地面に触れている足の感触がなくなると、後は重力に持って行かれるだけであった。
・・・・・・・・・・・
世界の「隙間」は体に悪い。
落ちる際に瞑っていた目を開くと、今まで経験したことのないような頭痛に襲われた。目を開けたのはほんの一瞬。ミリ単位の秒数だったであろう。それなのにアタマが割れそうな程の痛み。目を開けていられる余裕もなく、アタマを抱えて叫ばないと壊れてしまいそうになる。
自分では叫んでいるつもりなのに、その音は全く聞こえない。アタマを抱えるのと同時に、耳も塞いでいたことに気付く。塞いでいたからと言って、自分の声が聞こえないということはありえない。普段ならそれに気付いたが、このときは分からなかった。力強く押さえている手を、少しずらすと。
息が止まった。激痛を越えた何か。瞬時に意識を持って行かれそうになるが、私の生命維持機構がそれを許さない。このまま手を離してしまったら、どこかがオカシクなってしまう。反射的に、手は元の位置に戻され、世界から全てをシャットアウトする。
視覚聴覚味覚は遮断できても、のこる触角と嗅覚はどうしようもない。
私の腕に、足に、顔にナニカが触れる。すると私は回転し、運動した気になり、楽しくて悲しくてむかついて好きになって嫌になって、驚いて快感を得る。私は喋った気になり、考えて理解して計画を立てて、記憶して忘れる。
何がなんだか分からないのだ。あらゆることを同時に行って、あらゆる感覚を得ている。でも私はアタマを抱えているだけだ。本当にそうなのだろうか。それすらも分からない。
呼吸をする度に、鼻の奥に触れる空気は、酸っぱくて苦くてしょっぱくて甘くて、辛くて旨くて熱くて冷たい匂い。もう何も分からない。とにかく全部なんだ。
他のことを考える余裕などない。意識を手放せばオワリ。自分が動いているのか、立っているのか、何も分からない。全部分かっている。なので、どうすることもできない。
世界の隙間は、イキモノが知覚してはならない世界なのだ。
・・・・・・・・・・・
体に重力がかかる。懐かしい地面の感覚。
「ほら、もう済んだわよ」
目を開けると、木と塀で狭められた星空。と、紫さんの顔。どうやら覗き魔がいた所と同じ場所で、仰向きに寝ているようだ。
私の目からは、大量の涙が。人生最大と言えるその量は、こめかみを伝って耳を通り、髪を濡らしても飽き足らず、地面を水浸しにしていた。
深呼吸して生きる喜びを確認する。起き上がって、動けることに感動する。
「死んだらどうするんだ!」
いくらお仕置きと言っても加減があるでしょ!
「死なないわよ。また行きたい?」
「嫌だっ」
かなり本気で否定する。
「あそこではそもそも生物が定義されない。つまり生きても死んでもいない状態よ。そこから貴女達を引っ張り上げると再定義される。面白いわよ?」
「面白くない! ……です」
また落とされたら堪ったもんじゃない。藍先生も隣で大の字になっている。目は虚ろで、このまま歩かせたら飛び降り自殺しちゃうんじゃないかな。酷くやつれていた。
「藍はあんななのに。貴女、図太いわね」
「ごめんなさい。図太いからってもう一回とかしないでください。ごめんなさい」
「反省した?」
「もうしません。紫さんは善良なお姉さんです」
だから二度とあんなことしないで。
紫さんは長い髪が揺れる程の溜め息をつく。
「……今回は私もうっかりしてたし。もうしないわよ」
やったああああああ!! 表情には出さない。
「ちょっと慌てて。スキマそのままにしてた。後で気付いて閉じたけど、貴女達その間に入ったわね」
「はい。私の不注意で入ってしまいました」
「私が気付かないで帰ってたらどうするのよもう。私がいない所ではスキマに近づかない。いい?」
「はいっ」
心ここにあらず、であった藍先生が飛び起き、敬礼をする。
「はい! 今後こういうことがないように細心の注意を払うであります!」
「……もういいわ。今ので懲りたでしょう。貴女達は何も悪いことをしなかった。だから普通にして」
本当に大丈夫かな。触れただけで爆発とかしないかな。
「えっと、紫さんはどうして、ここに……? 差し支えなければ教えて頂きたいのですが……」
勇気を出して聞いてみる。紫さんが慌てるようなこととは何か。
「ちょっと、厄介な問題がね」
紫さんが後ろを向く。屋敷の塀越しに、住人の姿を見ているかのようだった。
「人間が、能力を持ってしまったのよ」
「え、ダメなんですか?」
早苗は特殊能力を持っていたし、私も人間だった頃に能力を使えるようになった。
「別にダメではないけど。このままだと妖怪に、なるわよね?」
変な力を使えば、手軽に妖怪になれるこのご時世。少し時間が経って科学が発展すれば、能力の発現は起きなくなるだろう。同時に、新たな妖怪も生まれにくくなる。
「幻想郷に連れて行きたいところだけど、相手はまだ人間で、しかも子供なのよ。不用意に連れて行ったら、きっと無駄死にさせてしまう。自分の身を守る力は持っていないし」
この時点ではまだ、妖怪に襲われる体だ。誰にも知られずに死んでしまったら、妖怪にはなれない。
「ちょくちょく出向いて、様子を見ないと。まだ大丈夫だったけど、いつ最悪な事態が起こるか予想がつかない」
一番いいのは、能力がずっとバレずに一生を遂げることだ。
「——彼女は無意識に死霊を操るから、いつかは絶対見つかってしまう」
・・・・・・・・・・・
暗い雰囲気になったので、晩ご飯にして気分転換を試みる。紫さんがスキマを開いて、藍先生が先に入る。続いて私。また変な所に行くのではないかと、恐る恐るだったが、ちゃんと地に足がついて安心した。
しかし、顔を出した瞬間、安心は胃痛に変わった。
八雲家が、燃えている。
先に行った藍先生は呆然と立ち尽くし、私はどうしていいか分からなくなる。スキマの前で慌てる私を押して、紫さんがこちらにやってきた。
「何よこれ!!」
数秒動かなかった紫さん。意を決したように、大きなスキマを作って、燃えている家全体を落とす。ビル破壊のごとく沈み行く家を、紫さんは泣きそうな目で眺めていた。
徐々に姿を消す家を見て、藍先生が膝をつく。木が燃える音と共に、藍先生のうわごとが聞こえてきた。
「火、消してなかった……。ちゃんと火を消してから呼べばよかった。どうしよう。もう生きていけない」
最後に屋根が沈み、スキマが閉じられる。幸いにも、森に飛び火はしていなかったようで、辺りに静寂が戻った。
紫さんは全ての感情を通り越したのか、屋敷に通ずるスキマの前で、ただただ呆けている。
「家、なくなっちゃったじゃない……」
そうだ。帰ろう。
☆秋姉妹的ノゾキ
「穣子です」
「……」
「見られています!」
「……」
「めっちゃ不快です!」
「……」
「出てこいよ!」
「どうもーこんにちはー」
「誰だおまえ!!」
「どうも、橙です」
「どう見たって違うでしょ!」
「てんこでーす」
「そうだよ。それでいいんだよ」
「じゃあみんな! 今日はこれで終わりだよー!」
「……」
「さあみんな一緒にー!」
「……」
「じゃんけんぽん!」
「……」
「うふふふふふ」
「お姉ちゃーん。こいつ邪魔ー」
あとがき
↑はもう次回予告する気ゼロですね。
阿求のスペックを調べてみました。
試しに作った、画面サイズ1280×720で一秒間の動画が1.4MBありました。それを基にして計算します。
阿求は一度見たものは忘れませんが、転生により、以前の記憶を80%失っているとします。
阿礼乙女の寿命を30年として、一生のうちに記憶する映像は10359576000000MBで、それが八回繰り返されます。
80%損失させると、阿求は16575321600000MBの記憶を持って生まれたことになります。
阿求の歳を10として合計すると、16575636960000MB。
すなわち16575637TBです。
脳では記憶以外に200TBを使っているので、阿求の脳の容量は17エクサバイトとなりました。1700京バイトです。
でも、そもそも人の脳はデータ換算できません。