城狐社鼠、出かけたいの。
前回のあらすじ。
聖さんがキレたらムラサが入信した。
仲間が一人増え、にぎやかになったお寺。
旅行から帰ってきて数日が過ぎ、ムラサも大分馴染んできた。本人は最初から馴染んでいるけど、こっちからムラサへの感情は置いてきぼりだったからね。
ムラサを勧誘するー、と張り切っていた私はもうやる気がない。立派に聖さんの家族となったムラサを単体で幻想郷に移すことは不可能だろうし、そんなことはしたくない。
しかも風邪ひいた。あの時海に落ちたのが効いたのか。妖怪の身体能力は人間と比べると凄まじいものだけど、細菌類には関係無いんだ。帰ってきた当日は元気だったけど、日に日に喉が痛くなったり咳が出たりと風邪の症状が現れ、今は寝ていないと辛い程のピーク状態。お願いだから免疫働いてください。
私は今、外から聞こえる人々の声を暇つぶしにして横たわっている。ここはお寺なのに、ここに来た人々の目的は妖怪退治の依頼なのだろう。
星さんが頭にのっけてくれた新品のぬれぞうきん(手ぬぐいと間違えて持ってきた)が体温で温まり、段々と邪魔になりつつある。
夏なのに布団被ってだるさで身動きとれなくて暇で暇で。うぐ、意識が朦朧と……。
ガラ。
「やっほー! 元気かなー!? ん? ん?」
いきなり襖が開き、呼び戻された。隣の部屋、雲居さんの部屋と私の部屋である「客間六」の間に割り振られたムラサが襖を開けて絡んできたのである。
私を助けてくれたのは嬉しいがそれ以上はめんどくさい。ただ、それを指摘する元気とお見舞いを断る勇気がなく、私はムラサにされるがままになる。
「…………だるー」
「そーいう時はコレ! わーかーめー!」
ムラサは元気よく黒いぬめぬめを頭上に掲げているのが薄目で見えた。
それって風邪に効くやつじゃないでしょ。どちらかというと毛が……。
残念ながら気力が尽きているため、そのツッコミは声に出せない。食欲もないから貰っても困るな。
「…………いらなふごっ」
「ほら! しっかり食べなきゃ治らないぞ!」
私が最後の力を振り絞って拒否したら、言葉の途中でわかめを顔にのせられた。私の意識を掛けた渾身の一言が泡のように弾けた。
…………あ、これ、ひんやりしてて気持ちいい。
「じゃ!」
そう言ってムラサは襖を閉めて部屋を仕切った。ありがた迷惑? 私の顔にはわかめが乗ったままだ。
どけるために手を動かすのもめんどくさくて、そのまま外で繰り広げられている人々のお話に耳を傾ける。
十人以上の気配がする。人が多くて客間に入らないから、聖さん自身が外に出て対応しているようだ。
「(ですから、明日にでも東へ発って欲しいのです)」
「(しかし、こちらにも準備というものが……)」
代表者らしき人と聖さんの会話。妖怪の脅威が大き過ぎて、聖さんに一刻も早く来て欲しいんだと推測する。
「(貴女も土蜘蛛の恐ろしさが分かるでしょう。このままでは人々がどんどんやられていってしまいます!)」
「(でも、土蜘蛛が出たっていうのは初耳なのですが……)」
「(でももだってもありません! 現に周辺住民は苦しんでいるのですから! どうにかお願いしますよ!)」
「(うう……)」
……東に土蜘蛛? あれ、なんか頭の中にお団子な人が浮かんできた。
でも、戦う意味を失くしているお団子はパルスィと一緒に大人しく暮らしているハズだ。妖怪だからという理由で退治されるのは分かるが、そもそもお団子は人に見つかりにくい所にいるハズだし、妖怪だと気付かれない性格の持ち主なので、ここまで大きな問題にはならないと思うんだけど……。
もしかしてここ百何年かで凶暴化した? 平安京版土蜘蛛みたいに巨大グモに変身しちゃった? それなら大変だ。パルスィを保護しなきゃ。
「(明日、再びお迎えに来ますので、準備をしていてくださいね)」
「(……わかりました)」
話し声が止んだと思うと、団体さんの気配は遠のいていく。
結局、話し合いは聖さんが折れる形で落ち着いたようだ。断り切れない性格って大変。まあ相手の気配は十数人のまとまりだったし、数の暴力効果もあったのだろう。私だったらすぐに頷きそうだし。
「(姐さん、いいんですか? あんな強引な依頼)」
少し距離を置いていたらしい雲居さんの声が聖さんに近付く。
「(もう受けるって言っちゃいましたしねぇ……)」
「(はぁ……。最近の人間はちょっと強引すぎますね。姐さんもいい加減厳しい対応をした方が今後ためになりますよ)」
「(そんなことはしたくないんですけど……)」
お客様は神様だからね。神様の前では機械でいなければならないんだ。何を言われてもはいと答えて我慢するしかない。くぅ……!
と、私の部屋の前に人の気配が二つ。聖さんと雲居さんが動いた気配はないので、残るは星さんとナズーリン。
障子を聞く音がして、なんだかおめでたいオーラとずる賢そうなオーラが漂ってくる。星さんとナズーリンで確定だ。
「緑ー! おかゆ作ってきま、し、た……?」
「……何やっているんだい」
二人とも入り口で硬直してしまった。視界が塞がっていて表情は読みとれない。
「わかめ、ですか……?」
「顔毛が欲しいのか?」
わかめを顔に乗せている病人。見られる側じゃなくて見る側だったら面自かっただろうに。
私はだるい口をもぞもぞ動かして、顔のわかめを食べる。ほどよく塩味があっておいしい。
(…………手汗?)
ムラサはコレを素手で掴んでいたので悪い妄想が生まれたが、それは事実無根のムダ知識だ。
幻想に侵されたのではなくて調子が悪いから、わかめを飲み込んだ時に吐き気を催した。これじゃあ星さんに作ってもらったお粥は食べられそうにないな。
「…………星さん。食欲、ない……」
「え? 焼香、愛ですか? そ、そんなこと私に言われても……」
「ご主人、きっと風邪で頭がおかしくなってしまったんだ。早く食べさせて、楽にしてあげよう」
「そうですね。それが一番です!」
おいこらなんて聞き間違いをしているんだ。私が上手く話せないのをいい事に、焼香好きの変態にするんじゃない。
色々と反論をしたいが、残っている僅かな体力で迫る二人を止めるのは不可能だ。体力だけじゃなくて妖力もめりめり減っている気がしていて、妖力を体力に交換するなんて応急処置もできない。私の中で暴れる非細胞生物強すぎ。
さっきから頭の中ではしっかり考えられるのに動けない。端から見れば私は虚ろな目でぼーっと天井を望めている無底抗な病人なのだ。
つまり私は、とうとう真横に座ってしまった星さんが持つ、恐怖の木の匙を避けられない。湯気がたっていて、見るからに熱そうなお粥を口元に近付けられているこの状況で、私は命の危機を感じている。うっかりで人をころすんじゃない!
「ほら、あーんしてください」
どどどどうしよう。今お粥がのった匙は私の口の真上で止まっている……! 冷ますには、風を送るしかない!
口を開けたら流し込まれる。それならばもう一つの通気孔を使ってやる。
(スーッ! スーッ!)
星さんとナズーリンがものすごい見てくるが、私は鼻息でお粥を冷ますのをやめない。非常事態なんだ!
でも! 体の構造的に鼻は私の胸の方に向いている! あっつあつのお粥には全く当たってない!
……動けない私に丁寧語な加害者。この光景、見覚えがあるぞ! 遠い昔にもアイツにやられた気がする! あの時は……、あの時も抵抗できないまま負けたんだった!
「ご主人、緑は今息を荒くして病気と闘っている! 私達も食事という形で応援しなくては!」
「そうですね! 緑! 少しで良いですからお口を……!」
ナズーリンはなんで私を苦めようとするの!? 星さんじゃないんだし、これが危険だって分かってるでしょ!?
「ハハッ!」
ナズーリンが星さんに見えないようにして笑顔を向けてくる。私、ナズーリンに危害を加えたことは一度もないよ? 単にいたずらっ子なだけなの!?
「緑、早く食べないと冷めちゃいますよ」
冷めていいんだよ! それを待ってるんだから!
「ご主人、緑には口を開ける力が残っていないんだ。こうなったら私達が全面的に補ってやるしかない」
「分かりました! 緑、私が口を開けてあげますから……あ、こぼした」
「ぶふっっっっ!!」
――部屋に舞散る白銀の流星達。
あゝ、お笑い芸人ってこの苦しみを笑いに変えているんだ。自ら進んでこんな目に遭わなきゃいけない時もあるんだよね。すごいなあ。
私は芸人じゃないからリアクションはとらない。とれないとも言う。
……というかさ、病人で遊ばないでよ。
・・・・・・・・・・・
昔から風邪のピークは一日で治ることが多い気がする。苦しいのは本格的にだるくなったと感じた朝からその夜寝るまで。次の朝に目が覚め、まだ少しだるいと思って安静にしていると昼頃にはすっかり元気になっていて、夜ごはんまで時間を持て余すのだ。
元気になったからといって普段通りの生活に戻ろうとすると、家族や友達や近所の人に「念の為もうしばらく休んでおけ」と言われる。
で、しぶしぶ布団に入っても眠気はなくなっていて目は開きっ放し、周りは静かすぎて時間の経過が遅く感じる。風邪っぴきの二日目は別の意味で辛い。
今の私がそんな状況だ。
動きたいのにそれを許してくれなくて、昨日みたいに外の音をひたすら聞くのみ。
「それじゃあ星、お留守番頼みましたよ」
「はーい。おつとめご苦労様でーす」
聖さんは東の山へ妖怪退治に、星さんは寺で私の看病。そして聖さんには雲居さんとムラサが、星さんにはナズーリンがくっついている。私が風邪をひいていなかったら皆で出かけたのだけど、残念ながら叶わなかった。聖さんが有無を言わさぬ勢いでメンバー割りを決定してしまい、今の状態ができあがっている。もうね、さっき私は元気になったって主張したのに、「油断してるともっと酷くなりますよ」を始めに体を大切にするのがいかに大切かを長々と説明された。聖さんに長話をされるとと南無三の刑を思い出し、恐怖が込みあがってきて負けるんだよ。
「帰りが少し遅くなるかもしれません。相手がどんな方なのか分からないので……」
「だいじょーぶです! どこも壊しません!」
星さんは暮らしているだけで家をぶっこわす人なのか。
「……ははは、で、では、行ってきますね」
聖さんの心配事が一つ増えてしまったじゃないか。
「いってらっしゃーい!」
聖さんの気配が離れ、星さんの気配が近付く。雲居さん達は先に行って乗り物の準備をしているらしい。聖さんの持つ飛倉という物で作った船だそうだ。
全力疾走で現われるのは絵にならないということで、丁度ムラサ船長が加わったことだし、聖さんが空飛ぶ不思議な船を開発したのだ。聖さんの力――法力によって構成されている為、製作に時間はかからなかった。インスタント飛空挺である。乗ってみたいなあ。
そんなことを考えていると、私の部屋の前にナズーリンの影が出現した。一人で来るなんて珍しい。
あの小動物には昨日のウラミがある。どこかに隠れて驚かせてやろう。
布団から這い出て襖から隣の部屋へ。ナズーリンを後ろから不意打ちしてやるつもりだ。計画を立てて隣の部屋に移るまでに要した時間、二秒。大丈夫、バレてない。
ナズーリンが障子を開けて中に入ると同時に、私は隣の部屋から廊下に出る。忍び足で開きっ放しの戸に近付き、顔を半分だけ出してナズーリンの様子を見てみる。
目が合った。
な、なぜだ。最初からこっちを向いてるなんて……。私がどこにいるか知っていたみたいじゃないか。
「私に物隠しは通用しない。そう、対象が生き『物』であっても、だ」
うわっ、唇を片方つり上げた表情でカッコつけられた。
「べ、べつに驚かそうとしてた訳じゃないしー。少し散歩したかっただけだしー」
「まあそういう事にしておいてやろう」
この実験動物、にくたらしぃ! 遺伝子組み換えたろか!? えげつない魔獣にしたい。
「こらー、緑、寝てなきゃダメですよ」
星さんが戻ってきた……! ここまでか……。今の私には布団に戻って黙って半日過ごす運命しか残っていない。
「だからもう元気なんだって。歩いててもフラフラしないよ」
「でもあと一日は安静に。聖に言われてるんですから」
「やーだーそーとーでーたーいー」
「はいはい。明日お買い物に連れてってあげますから今は寝てくださいね」
私の僅かな底抗も無駄となり、星さんに肩を押されて部屋の中に入る。聖さんがいなくなった途端、星さんが頼もしくなった気がする。ただの幸せそうな人ではなかったんだね。
「あれ? ナズ、どうしたんですか?」
星さんが部屋の隅にどいたナズーリンを発見した。私もまだナズーリンの要件を聞いていない。逃げられる前に質問してくれてよかった。
ナズーリンは爽やかな笑顔を星さんに向けた。
「お見舞いをしに来ただけさ! 一人じゃ寂しいだろうしね!」
「さすがナズ! 気配り上手ですね!」
「だけどご主人が来たのなら私がいなくても大丈夫だろう。失礼させてもらうよ」
明らかに猫を被ったような物言いをしていたが、確たる信頼関係が出来上がっている星さんは疑おうともしない。ネズミが猫を被るなと言いたくなったところで、ナズーリンが私の横を通り抜けようと迫ってきた。
「緑! お大事にねうわっ!」
猫の仮面をつけたままの、普段と違う精神状態で進むものだから、畳と畳の間のちっこい隙間につまづいて盛大にすっころんだ。それと同時に右の袖口から筆、左の袖口から墨汁が入った小ビンが部屋の外に飛んだ。障子によって星さんからは死角になる位置まで上手い具合に発射された。
したがって星さんはナズーリンの所持品を把握できない。このまま私が大声でナズーリンに追求すると、何も分かっていない星さんに幼女をいじめていると思われる。でも話は聞きたい。早くしないとナズーリンが逃げてしまうため、私はその場でしゃがんで大きいお耳にそっと囁く。
「(……おい。ナズーリン、あの筆は何に使うつもりだったのかなー)」
「(暑いから少し絵を描こうと思ってね。紙の代わりとなるものを探していたんだ)」
「(暑いから? 理由になってません。あとこの部屋に紙は置いてません)」
「(芸術とは、暇が生み出す内面の世界なんだよ。そしてそれを表現する媒体は、紙じゃなくてもいいのさ)」
またもやカッコつけられた。まあ君が言いたい事は君が言う前から分かっているさ。
「(私の顔に落書きしに来たんでしょ)」
「(さあ。それは仏のみ知る因果だ。俗にまみれている私達には想像し得ないことだと思わないか?)」
「(どう言おうがナズーリンがやろうとしていたことはお見通しだ)」
この小さい声での会話にかかった時間、僅か五秒。
初めの一秒で星さんがナズーリンの転倒音に気付く。二秒目で振り返り、三秒目でナズーリンが倒れているのを発見。四秒目で言うべき言葉が浮かび、五秒目の終わりで私が立ち上がると同時に、星さんは頭の中で練った言葉を紡ぐ。
「ナズ! 怪我はないですか!?」
なんだこの秒単位の駆け引き。私とナズーリンの頭脳戦だ。
ナズーリンは異常がないとアピールするかのように平然と立ち上がり、再び顔に猫を貼り付ける。私はその隙にふっ飛んだ墨と筆を取りに移動。
「ちょっと余所見してた……。でも何ともないよ。心配してくれて有り難う」
「もう、気を付けてくださいよ? ナズまで動けなくなったら私がすっごい大変なんですからね」
「たとえ私が動けなくなってもご主人一人に家事をやらせるなんてことは絶対にさせないよ。止めをさされたら困るから。子分の鼠達にご主人の補助を頼むだろう」
「そこまでして私を助けてくれるんですか!? やっぱナズは思いやりに溢れてます!」
部屋の中で会話のドッジボールをしている二人を無視して、私は拾い上げた筆にたっぷり墨を吸い込ませる。ナズーリンが私にやろうとしたことを思い知らせて、後悔させてやるのだ。
ナズーリンが筆を拾いに近付いてきたタイミングで突撃する。鼻を黒く塗って、さらに口が長く見えるように線を追加できたら上出来。
「……あれ? 緑はどこに消えたんでしょう……?」
「さっき廊下に逃げ出していたね。私が捕まえてこよう」
よし。足音が寄ってくるぞ。今度は瞬間の勝負だ。さっき以上の集中力と精密操作が要求される。落ち着け私……!
のっそのっそと音を立てないように歩いている敵の気配が接近する。
残り三歩。直接見ている訳ではないが直感的にそうだと分かる。
残り二歩。手元にある筆に目をやり、墨汁がついていることを確認。
残り一歩。心を平坦にして、敵の顔に刻み込む図形に集中。
そしてついに、私の目に標的が映る。
「てぇい!」
「ひゃっ!」
真っ先に、顔の中心に筆を置く。びちゃっ、と気持ちの良い音は、どれだけ筆が墨を吸い込んでいたのかを物語る。
鼻に置いた筆を少しだけ離し、真横にある右頬の所で筆と肌を再会させる。そこから唇経由で、孤を描くように左頬へ筆を歩かせる。私の洗練された一瞬の技に、相手は反応できない。
たださあ、冷静な私には筆を口元に運んだ辺りからコトの重大さが分かっちゃったんだよね。
「な、なにをするんですか!」
現れたのは星さんだった。
「な、なんで?」
「それはこっちの台詞です! やっていいことと駄目なことがあるんですからね!」
うわ。星さんに黒っ鼻でか口は似合わない。珍しく怒っていらっしゃるのに全然怖くない。
「な、ぜ、だ」
「だからそれは私の台詞ですって! どうしてそんないたずらをするんですか!?」
私には星さんが見えていない。
だってその後ろに、私が使った手口を真似して、隣の部屋から出てきたナズーリンが見えるのだから……!
最後に奴は、不敵な笑みを浮かべながら口を動かした。
――私に物隠しは通用しないと言っただろう?
それに君とご主人の行動パターンは全てお見通しさ。
☆秋姉妹的頭脳戦
「静葉です!」
「穣子です!」
「うおーーーー! 海行きたいーーーー!」
「でも幻想郷には海がない!」
「ということで穣子、紫さんに頼んできなさい」
「え、そんなに行きたいの? さむいよ?」
「穣子、世の中には寒中水泳という行事があってね」
「そんなの苦行じゃん。神様がやることじゃないよ」
「見事成し遂げると海の漢達の信仰が得られるわ」
「え、すごい……、って海の漢達には豊作祈願なんて必要ないよ? 信仰増えないと思う」
「稔子、言うこと聞かないと稔子って呼ぶわよ」
「変わっているようには聞こえないけど……。なんだろう、ものすごくきもちわるい感じがする」
「分かったら紫さんの所に行ってらっしゃい」
「やだ」
「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
「……稔子」
「……やっぱり違和感が」
あとがき。
約二十日振りの投稿です。
この間にあった出来事は、五つ位の大学受験と十二コ位の合格発表。まずい、歳がバレる。
投稿を絶やさないように頑張っていたのですが、屈してしまいました。
まあセンター試験当日に投稿するという隠れた目標は達成できたからいいかな。
……受験が迫るにつれて投稿頻度が増えていたかぜみそでした。




