番外之弐、カッコいいは正義!
番外編ではやりたいことをやる。
基本的になんでもアリですぜ。
何事も許容する広い心をお持ちになって。
「緑、ちょっと改造しゅじゅちゅされて来てください!」
朝一に発令された、早苗の噛み言葉。
幻想郷から帰った私と早苗は、何が起こったのか、過去の世界にタイムスリップしてきてしまった。
目が覚めると、早苗は何故かアサルトライフル(弾数無限)を持っており、やりたい放題にぶっ放して歩き回った。度々出てくる怪物なんて屁でもなく、遠くに見える高層ビル街を目指して突き進む。
「何者だぁあんたー!」
と言ったのは、この街の権力者の娘、八意永琳。なんと最先端科学の第一人者であり、これは良い機会だと彼女の家に居候する。
そんなこの時に改造しゅじゅちゅのお話だ。
「改造しゅじゅちゅー!? んなもん、わたすに任してけろ!」
永琳さんは天才なのだ。私の意見など聞かずに、しゅじゅちゅ台に運び込んでいく!
「やーめーてー!」
「だいじょーぶ! 痛いのは一瞬じゃけん」
「緑が強くなるためなんです!」
色んなチューブを巻き付けられ、私の意識は闇に消えた!
≫ PASS!! ≫
時は紀元前。まだ神々が領土争いをしている時代。
私達が訪れたこの土地でも、争いは起こっていた。
「ぬおー! 洩矢の土地渡せー、まんがな!」
「うがー! 誰が渡すかー、やねん!」
洩矢神と八坂神による、諏訪大戦の真っ最中に、私達は来てしまったのだった。
「そこの転生者! ちょっと私に力を貸しなさい、やねん!」
神である洩矢諏訪子に頼まれては断れない。私達は明らかに劣勢である、諏訪子の陣営に加勢することになった。
「早苗、雑魚は任せたよ!」
「朝飯前です!」
私は改造しゅじゅちゅによって体を作りかえられた。一度念じると、何もない空間から一本の剣が生じる。
私がそれを取ると、妖力と剣が共鳴し合って第三の力が解放される。
——等価交換の制限を消去。
それはすでに、等価交換ではない。万物を無理矢理交換する能力だ。
私は敵陣営の持つ神力を使い、我が身を空中に浮かせる。絶好の的となった私に向かって、幾千もの矢が一斉に放たれる。
私は矢が持っている運動力を、全てある向きに変換する。八坂神に向けて、だ。
「ふ、おもしろい、まんがな!」
八坂神は御柱を軽々と振り回し、四方八方から迫る矢を容易く払い落とす。そして最後に、御柱を私に向かって投げる。
轟、と音を立てて迫る御柱だが、私にそんな攻撃が通用する訳もなく。
「……もういいよ」
私の立っている位置と、八坂神の立っている位置を交換する。八坂神は、自分で繰り出した攻撃を自分で受けなければならなくなった。
「——ッ! まんがな!」
流石神と言った所か、咄嗟の判断で御柱を避け切る。
しかしここは戦場。一つのことに集中して、周りの警戒を怠ってしまえば、終わりなのである。
「かくごやねん!」
勝負は一瞬だった。
洩矢神が、隙だらけになった八坂神の背中に、痛恨の一撃を見舞わせる。たまらず八坂神は、地面に向かって落下していった。
「——ありがとやねん。どこかの旅人さん」
なに、私達は暇をつぶしにきただけさ。
「行こう、早苗。風の向くまま気の向くままに」
「ええ。私のアサルトライフルがあれば怖いものなしです」
——時は紀元前。神々が領土争いをする時代。
「って言うのがね、したいんだよ」
諏訪子、神奈子、私の三人でのんびりトランプをしながら、私の密かな野望を話した。
「わたし勝っちゃったし! なんかいいトコだけとって勝っちゃったし!」
「大体早苗ってなんだい。緑の脳内人物かい?」
あなた方の家族ですから。
「ねえ神奈子ー。8止めてるでしょー。早く出せよぅ」
「止めてるの緑でしょう」
「え? あ、ホントだ。気付かなかった」
まあ、くだらないことばっか話して、日々を過ごしているのである。
時系列的には「人心収攬、神様は友達です」辺り。
主人公無双がしたくなってさっと書きました。
でもあんまり無双してません。