空谷跫音、村に行くのです
今日、自分の能力と向き合ってみました。
「妖力を使って火を出せ!」
出た。人差し指の先っぽに小さな火。これは出来て当然だ。火が出なきゃおかしい指が熱い! 火傷した! 消火しなきゃ!
念じることで、出した火を消す。念じなくても妖力が尽きるか一定時間経つと勝手に消えるが、熱過ぎて我慢するのは不可能だ。ここでだれてても意味が無いので次の作業へ。
「重力を使って火を出せ!」
出ない。これは前やって出来なかったことだから、予想の範囲内。もし成功していたら、火を出している分の重力が減って体が軽くなり、月面移動ごっこでもできたんじゃないの。
そして次からは初の試み。初めての事はやはり恐い。
「カロリーを使って火を出せぐぁぁ……」
思い付いた事を言ってみたら一瞬だけ火が出て、同時に寒気が襲い私の体から力が抜ける。カロリーで火を出すなんて事をするからだ。でもこれ、上手く使えばダイエットにならない?
こんな風に急に力が抜ける事など、しょっちゅう起こるので慣れた。さあ続けるぞ。
「太陽光を使って火を出せ!」
太陽光は光のエネルギー。この力は太陽光発電とか虫メガネを使って黒い紙を焼いたりするのに使われるからいけるんじゃないかと思ったが、結果は駄目だった。
下手な鉄砲も数打てば当たるんだ。まだまだ終わらんよ。
「寿命を使って火を出せ!」
流石に寿命は無いだろう――って火点いちゃったよ! あ、え、どうしよう! 寿命がちぢむ! 現在進行形でちぢんでる! 死ぬぅ!
自分の寿命がどれ位あるのか分からないが、早死にしたくないのでとっさに息を吹きかけて鎮火する。
「ふぅ。……水の妖力を使って火を出せ!」
「空気中の酸素を使って火を出せ!」
「血液中の酸素を使って火を出せぅぐっ……!」
「何も使わないで火を出せ!」
「何か使って火を出せ!」
「筋肉を使って火を出せあれ腕に力が入らなくなった」
「髪の毛を使――いや危ない予感がする」
「秋姉妹のペンダントに宿る神力を使って火を出せ!」
「火出ろよ!」
と、この調子で続けていったのであった。私の身に何か起こっている時は大体点いた。
最終的に分かったのは、成功する時は毎回私にとって不利な対価が必要とされている事。『等価交換』によって得られる利益は、自分が完全に所有しているモノを対価にしなければならないようだ。手離そうと思えば手離せるモノや、空気のようにいくらでも手に入るモノは対象外だ。自分が使える力の中で、最も使いやすいモノが妖力だというのを、数々の実験の中から身を以て学んだ。
・・・・・・・・・・・
少し休憩をとり、水が寝っ転がってぺーえすぺーをしている横で、自分について考えてみる。
「私は強くなれない」
「……おっ! 魔神腱をマスターしたぞ!」
「妖力が増えないと何も出来ない」
「……あん? 飛焔連脚もマスターしなきゃ駄目なのか?」
「でも妖力を増やす方法は分からない」
「……よし! 適当にエンカウント……ぅぁ、HPもTPも金も道具も近くに町も無い……」
「妖力以外の力は使う気になれない」
「あ、ああああ……仲間も三人死んどる……」
「詰んだ……」
「詰んだ……」
滝の音が響く洞窟の中で、私と水は同時に詰んでしまった。
「水、どうしたらいいと思う?」
「……うむ。調子に乗ってえんかうんとし過ぎなければ良いじゃろう」
当たり前のようにゲーム用語で返す水。もうすっかり染まっているよね。
「いや、避けられない戦いもあるでしょ。強いヤツとかに出会ったら逃げられないよ」
「そこはあきらめて全滅するしかないじゃろう」
「全滅!? 死ぬじゃん!」
「大丈夫じゃ。何度でもやり直せばいつか勝てる」
「やり直せないよ! 人生は一度きりだよ!」
「何じゃ。緑は縛りぷれいでもしておるのか?」
「縛ってないよ! 皆命は一つだけだって!」
「ならばこまめにせーぶをする事じゃな」
「セーブなんて出来る訳無いでしょ! ゲームじゃないんだから!」
「え?」
「何なのその今始めて分かったような顔は」
「げーむの話では無かったのか……」
「…………」
最初から会話が噛み合っていなかったようだ。このまま続けていたら現実と虚構の区別がついていない子との会話になっただろう。
「で? もう一度最初から言ってくれないか?」
水はぺーえすぺーの電源を切り、私に向き直った。詰んでいたので、セーブせずに電源を切ることには未練がないようだ。
「妖力の増やし方についてだけど……」
「妖力の増やし方?」
「私がもっと強くなるにはこれしかないと思って……」
「もっと他にもあると思うのじゃが……。まあ良い。妖力を増やしたいのなら人間でも脅して来い」
随分簡単な方法ですこと。
「でも無理です」
「……あのな、そもそも妖怪とは人間が理」
人の恐怖心がそのまま私達妖怪の力となるので、私が人を脅かせば脅かす程強くなるらしい。これだけの情報の為に何故か三十分位説教をされた。全く近頃の老人は……。
「――だから無理と言ってる暇があったら人里にでも行ってろ、と言いたいのじゃ」
「いないいない婆!」
「うわっ!」
いきなり過ぎる私の行動に驚いて飛び上がる水。こういう仕草は子供っぽくて良い。
「こんな風にやればいいの?」
「……良いんじゃないか? 出てけ」
またまたキツイお言葉を。まあ行くだけ行ってみるか。能力の使い過ぎで疲れたから、今日はゆっくり休んで明日行こう。
・・・・・・・・・・・
次の日の朝を寝過ごし昼頃に、私は水に簡単な別れを告げて洞窟を発った。
遠足気分で山を下り森を抜け人里を探索する。獣道を歩くのはもう慣れたこと。慣れ過ぎて困る。
で、今はこんな状態。
「嫌だねぇこうも失敗ばかりしていると本当にやる気無くなるわー私は馬鹿かっ!」
要するに、またも道に迷ったのだ。獣道に慣れたのは、この極度な方向音痴が原因なのを忘れていた。
時刻は夜。現在地は一寸先も見えない程真っ暗な森の中で、私はその場に座り込み途方にくれている。人里がどこにも見当たらないのが悪いんだ。どこにあるか分かりやすいように異常発光していればいいのに。……って、それは懐かしき『現代』の有り様じゃないか。そう考えると素直にいいって思えないね。星見えなくなるし。
座りながら記憶の中の街を探検している途中、前方がガサガサと音が鳴っているのに気付く。こんな時に、こんな状況で敵さん襲来か。
「…………」
いつでも動けるように立ち上がり、身構える。戦うという選択肢などある訳が無い。仮に戦う気があったとしても、こんな真っ暗闇では為す術が無い。私はか弱い18歳だから、一生懸命逃げるしかないのだ。
ガサガサ音は徐々にこちらに近付いて来る。それは私のすぐ近くに来た時に止んだ。
「…………」
静寂が訪れる。音の主は私に狙いを澄ましているのだろうか。
「……………………!」
来た。
「覚悟ぉぉっっ!」
(妖力を使って結界を張れっ!)
何者かが大声を出して飛びかかってきたので、すかさず能力で防ぐ。キッ、と鉄とガラスがぶつかったような音がした。何者かの攻撃が結界に阻まれた音だ。
結界とは言うものの、実際は妖力で作ったただの壁であり、何のありがたみも意味も無い障害物だ。格好良く言いたかっただけ。
「うっ! 防がれた……ってあれ? 人間?」
この真っ暗闇の中で私の姿が完全に見えているのか、何者かの動きは止まった。しかし私は相手の姿が見えない。視力が良いのと夜目が利くのとは別。
何者か――犯人Ψと名付けよう――が飛びかかってきた時に上げた声は高かった。それだけで判断すると、相手は女性か子供なのだろう。今までの経験からするに、きっと幼女だ。
「いきなり攻撃して悪かったよ。君、こんな所でどうしたんだい?」
「み、道に迷って、そしたら夜になってしまって……」
見えない相手に人見知りと警戒心と恐怖心が発動し、言葉が途切れ途切れになる。そんな私の態度を気にすることもなく、犯人Ψは口を開く。
「あらまあ。よく妖怪におそわれなかったねぇ。私の攻撃を防ぐ位だし、少し位は出来るのかな?」
「え、ええ。まあ」
犯人Ψはフレンドリーな調子で話してくるが、私の警戒心は揺るがない。いきなり襲い掛かってきた相手に対して警戒しないというのも可笑しな話だ。
「いきなり襲ったお詫びと言っては何だけど、外まで送ろうか? もしも行く当てが無いんだったら私の村まで案内するよ」
「はあ。よ、よろしくお願いします」
警戒はするが、相手の提案が魅力的だ。このままここにいても危険なだけなので、とりあえず同行させてもらう。もし犯人Ψが途中で襲ってくるならば、妖力を存分に使って全力で逃げ出そう。
「よし決まり! 私について来て!」
そして犯人Ψが歩き出す音が聞こえる。闇の中、音だけを頼りについて行くのは無理だよね。
「待って!」
「ん? どこを見てるの? 私はこっちだよ。……あれ、もしかして私が見えてない?」
「暗くて……」
「夜目が利かないんだね」
「はい……」
足手まといになっているようで申し訳ない気持ちになる。すると私の手が何者かに握られた。何者かと言ってもこの場にいるのは犯人Ψしかいないが。
「引っ張ってあげるよ」
「ありがとう……ございます」
初対面でここまでしてくれるなんて、優しい人だ。だが、私は最初に妖力をあからさまに使っていたのだ。なのに犯人Ψは怪しむ素振りも見せずに私を人間だと判断した。犯人Ψはただ鈍くて面白い人なのか、それともあの友好的な態度の裏側にはどす黒くねっとりした思惑が渦を巻いているのか、どちらが真実かは分からないので警戒を緩められない。
「そう固くならなくて良いよ。気軽に、ね」
「そうですね。あなたの村が楽しみです 」
「ぅぅ……。その丁寧な言葉に心の壁を感じずにはいられないよ」
犯人Ψのように最初から壁を作っていない人はすごいと思う。
・・・・・・・・・・・
犯人Ψに手を引かれて歩いていると、森が段々薄くなり、月明かりが差し込んで来るようになった。そんな訳で、相手の顔も見える明るさにはなったのだが……。
「……! 幼女じゃ、ない……!?」
突然出会う生物は幼女であるという決まりが自分の中ではあったので、相手のある程度成長している姿を見て驚いた。
犯人Ψの年齢は私(18歳ですよ)と同じ位で、金色の髪を黒いリボンでまとめてお団子にしているのが分かった。
「ん? ようじょ?」
「い、いや、何でもありませんよ」
「まあいいや。まだ名前を聞いてなかったよね。私はヤマメ。黒谷ヤマメだよ。君は?」
「私は……そうですね、富山柴左衛門でどうでしょう」
簡単に名前を教えてしまうと、とあるノートに名前を書かれて死んでしまう可能性がある。黒谷さんには悪いが、ここは偽名で行かせてもらう。
「どうでしょうって……」
「気軽に富山って呼んでね」
「……はぁ。どうしてだろう。自己紹介をしたのに心の距離が開きつつある感じがするよ」
こうして会話している内にも森は薄くなってきている。木の本数は変わらないが、高さが低くなり葉の数も減っているのでそう感じるのだ。こうなると出口は近い。長年の経験から得た知識だ。
「あ、手……」
辺りが見えるようになっても、黒谷さんはずっと私の手を握っていた。熱くなってきたのでここいらで離してもらえると嬉しい。
「富山は心だけじゃ飽き足らず、物理的にも距離をとりたいんだね。許さん」
そう言って黒谷さんは、私の手をより強く握り直す。手が熱い。
そのまま歩くこと数分。心なしか、黒谷さんの歩行速度が上がっている。前方に出口らしきものが見えているせいか、それとももっと奥に発光体があるせいか。
「富山! もうすぐ村に着くよ! ワクワクしちゃってもいいんだよ!」
「その心は」
「えっ? あ……、ええっ!?」
私の無茶振りに黒谷さんは一瞬考える表情を見せるが、結局答えは出なかった。
「だ、だから、もうすぐ村だって。ほら、見えるでしょ」
「ほんとだねー」
黒谷さんが繋いでいない方の手で差す方向には、ゆらゆらとゆれる赤い光が二点。さっきから見えていた発光体だ。するとあれは村の入り口に灯しておく篝火の類かな。
「手を離してください」
「駄目だ。これは私に残された唯一の富山との接点なんだ。ここで離してしまったら私は……!」
手を繋いでいる姿を村人に見られたら色々と危ないと思うのに、黒谷さんは絶対離さないつもりだ。
私を困らせた森をあっけなく抜け、村が目前に迫って来る。もう村まであと50センチだ。村は簡素な柵で囲まれていて、入り口には門が無い為、門番が二人立っている。村に勝手に入ろうとする者を撃退するのであろう。現に二人は近付いて来る私達を狙って槍を構えている。
「門番さーん。ヤマメですよー」
黒谷さんが言うが門番は警戒を緩めることなく、静かに口を開いた。
「……一応規則だ。アレをやるぞ」
「私アレ嫌いなんだよ。規則だし、ちゃんとやるけどさ……」
黒谷さんは深呼吸を始める。私の手を握ったまま。
深呼吸を終えると黒谷さんは、真っ直ぐ門番の方を向く。
「今日はいい天気ですね」
「……そうか」
「調子はどうです?」
「……まあまあだ」
「ちゃんと食べなきゃ駄目ですよ」
「……うん」
「こ」
「…………」
「…………」
「……通って良し」
真っ赤になる黒谷さんを他所に、門番は槍を横に置いて警戒を解く。この一連のやり取りが合い言葉なの? ……まあ、ノーコメントで。
「ヤマメが帰って来たぞーーっ!」
隣の門番が村人に知らせる為に叫ぶ。すると、村の中にある数々の木造建築物から人がどんどん出て、こっちに来る。
「ヤマメ! どうだった!」
「今日の晩ごはんは何かな!」
「何匹とれた!?」
「お疲れ様!」
「早く早く!」
老若男女様々な声がヤマメに浴びせられた。しばらくすると、急に声が止み人々が左右に分かれる。中心には一人の老婆が。
「……ヤマメ。今日の収獲は何だ」
威圧感たっぷりに言う老婆。黒谷さんは俯いてしまう。
「……えっと、何て言ったら良いか……」
「森の神に見放された日だったか」
「……狩りするの忘れてた……」
申し訳けなさそうに小声で話す黒谷さん。老婆はそれを聞くと目を見開き、超速度でこちらに迫る。
「すいませんすいませんすいませんすいま」
「こんの、ド阿呆がーーっっっ!!!」
「うああぁぁぁぁあぁ!!」
ハイスペック婆さんはスピードを殺さず、黒谷さんにパンチを繰り出した。俯いて早口で謝っていた黒谷さんは、反応出来ずに吹っ飛ばされる。私の手を握ったまま。
「巻き込まれたぁぁぁぁぁ!」
私と黒谷さんは老婆の一撃で垂直に飛び、体勢が整わないまま落下し、追加ダメージを受ける。
「げふっ」
「ふぐっ」
大勢の村人に見守られる中、苦痛に顔を歪ませている私の前に老婆が立ち、つまらなさそうな目でこちらを見下す。
「ヤマメ。この男は何だ」
「はい富山柴左衛門と名乗る者です森で迷っていたようなので保護しましたそれで狩りを忘てしまったのですごめんなさいごめんなさいごめんなさいいいい」
すっかり怯えた様子で老婆に報告をする黒谷さんがいるがそんな事は関係無い。男だと!? 久しぶりだよこう言われたのは! あれか、偽名使ったのが悪いのか? いや違うこの老婆は私の偽名を聞く前に男って言った。つまり外見で判断した訳だ。人は外見で判断しちゃいけないんだぞ! くそう。
「そうか。ヤマメには罰として三日間交代無しで狩りをしてもらう。……して富山」
「……あぁん?」
おおいけない。うっかり強い調子で返事をしてしまった。こんな喋り方では一層誤解を解きにくくなってしまう。もっとお淑やかに。
「貴様は街の人間か」
「はい? 街の人間でございまするか?」
口調がおかしい気がする。
「街から来たのかと聞いている」
「いえいえ私は旅の者です。各地を転々としています☆」
星とか自分で言ってて気持ち悪い。
「そうか。ならばここに留まる気はあるのか」
「えっと、もし宜しければ……なんて(はぁと)」
ここまでしなきゃ女を取り戻せないのならいっその事男でも……何でもない。
「貴様が街の人間で無いのなら滞在を許可しよう。ただし妙な真似はするな。もし怪しい行動をしたら……」
「な、なにをするのですか……? 私、怖いですぅ♪」
もう男でいいや。
「……その時は、ばちょん、だ」
「ひぃぃぃぃぃぃぃ!」
「ば、ばちょん?」
隣にいる黒谷さんはその言葉を聞いた瞬間、うずくまって震えてしまう。一体何が起こると言うのだ。すごい気になる。
「そうだ。そうなりたくなければこの村の掟に従うことだ」
「は、はあ……」
よく分からないけど、目立った行動をしなければ大丈夫だろう。
「ヤマメ」
「ははははい何でしょうか村長様ままま」
「この男はお前が連れて来たんだ。最後まで面倒を見てやれ」
「はいいい! 了解です!」
話し終えた老婆――村長らしい――は振り返り、村の中に戻って行った。それにつられるようにギャラリー達もそれぞれの家に戻る。若者の一人が「ヤマメに手を出したらただじゃ置かねぇ」と言っていたが私は女だ。
集まっていた人達がいなくなり、残されたのは私と黒谷さんと門番二人。嵐が通り過ぎたような静寂さが訪れ、門番の前で二人して背伸びして落ち着く。
「――さて」
脅威が去り自分を取り戻した黒谷さんが口を開く。
「じゃあ行こうか。私の家に」
☆秋姉妹的ばちょん
「静葉です!」
「穣子です!」
「うおーーー! 秋じゃーーーー!」
「お姉ちゃんお姉ちゃん! 今は秋なんだよね! わたし、信じるよ……! あははははははははははははははは!」
「さて。穣子が洗脳されたところで予言を始めるわ」
「わたしの秋はわたしの許可無しに勝手に終わらないもんね? だってわたしの自慢の秋なんだから。この前冬がやって来ようとしてたけどわたしが追い返してあげたんだ。偉いでしょ! この世界に冬なんていらないもんね! ……そういえば先週、すっごく寒い日があったけどあれは何だったのかな? まさかとは思うけど、一瞬冬になった訳じゃないよね。うんそうだよね! 秋が途切れるはずが無いもんね! あ、そうだ。ここ最近寒い日が続いているようだけど……。冬になりつつあるんじゃないでしょうね! え? 風邪気味で調子がでない? た、大変! 安静にしてなきゃ! わたしのお布団を貸してあげるから、ちゃんと寝てるんだよ! ……え? 自分の布団で寝る? ……だめだよ。わたし、見ちゃったんだから。秋の部屋に枯れ葉が落ちているのを。うん。わたしは信じてるよ。紅葉が偶然枯れちゃっただけなんだよね。決して冬が訪れた訳じゃ無いんだよね! ……大丈夫だよ。秋はわたしが守ってあげるんだから。冬なんかに秋は奪わせない! もし危なくなったらわたしに言ってね? 地球温暖化させたりオゾン層を破壊したりして、冬を消してあげるからね。安心して稔らせてていいんだよ。秋はわたしがいないと何も出来ないんだから。それじゃあ今日はもう遅いから、わたしと一緒に寝ようね。とっておきの拘束具があるからね。あはははははははははははははははははははは……」
「……穣子が壊れすぎて予言ができないわ」
「あははははははははははははははははははは」
「……予言を終わるわ」
「あはははははははははははははは……」
「……今日は帰ってみかんを食べよう……」
ごめんなさい。