第3章 【丑の釘】 設定 & 第4章 【真理の塔】 0話 姉妹喧嘩 【ネタバレ注意!】
この話の前半は第3章における設定のまとめです。
第3章未読の方はご注意ください。
なお、他の章に既に登場した人物の設定も追加されます。
後半は第4章の予告のようなものです。
物語の内容に大きく触れませんが、物語のカギとなる言葉は少しあるかもしれません。読まなくてもOK、直接物語を読み進めたい方は飛ばしてください。
~~登場人物~~
【旅人】 ~『魔宝』を求めて旅する男~
・年齢:? ・性別:男 ・好きなもの:自分、魔宝 ・嫌いなもの:酷い扱い
◎本作品の主人公(?)
今回はクロの過去のお話。クロと出会った時は既にその魔宝『独裁者の経典』を持っていた。陽気に振舞うが、意外と思う事も多いらしい。
*所有魔宝:『独裁者の経典』
【クロ】 ~痛みと共に歩む少女~
・年齢:19 ・性別:女 ・好きなもの:読書 ・嫌いなもの:苦いもの
◎旅人に付き添う、黒髪黒目黒服の真黒少女。
名門貴族の家の生まれ。生まれた時から広い部屋の中だけで育ち、『ある事件』が起こる前までは外に出た事が全く無かった。かなりの読書家で大量にあった家の本を読破している。魔法に関する才能に優れており、本から習得し記憶している魔法は数えきれないほど。クロは旅人につけられた名前。『丑の釘』の力により、外見は12歳の時と変わっていない。それがコンプレックスでもある。その過去は本編で。
*所有魔宝:『丑の釘』
【ロザ】 ~今回はほとんど出番なし~
・年齢:19 ・性別:女 ・好きなもの:友達、その他色々 ・嫌いなもの:『負の感情』
◎『十三呪宝』の『赤黒い靴』の所有者。
クロの過去編という事もあって、今回はほとんど出番なし。
*所有魔宝:『赤黒い靴』
【クロの父】 ~あの男~
・年齢:? ・性別:男 ・好きなもの:娘、妻 ・嫌いなもの:娘、妻以外の全ての人間
◎クロの父親。
娘を異常なまでに愛する男。先に亡くなった妻の分までその愛情を注いでいるように思われていた。
名門に生まれたプレッシャーや、父の背中、周囲の目が原因で黒い感情を抱くようになる。彼の歪みは他の異常者達から見ても明らかに異常なものだったらしい。最終的には悲劇的な最後を迎えることになる。
*所有魔宝:『丑の釘』
【レーベ】 ~クロの従者~
・年齢:当時24歳 ・性別:女 ・好きなもの:? ・嫌いなもの:?
◎クロの世話係だった従者。
明るい性格で堅苦しいのは苦手。生まれた時から暗い人生を歩んできたが、それも笑い話にするほど明るい。「悲劇は笑い飛ばすもの」が口癖。ずっと部屋にこもりきりのクロを心配し、心の底からクロを大事に思っていた。
*所有魔宝:なし
【門】 ~魔宝愛好家~
・年齢:? ・性別:男 ・好きなもの:魔宝 ・嫌いなもの:旅人、他2人の人間
◎魔宝を集める謎の男。
クロの父に『丑の釘』を渡した張本人。魔宝を収集するが、よりよい持ち主にそれを渡して、魔宝を有効に動かす事を楽しんでいる。非情で不気味な男だが、彼でさえも、クロの父の抱えていた『負の感情』には、恐ろしいモノを感じていた。
*所有魔宝:『次元門』
~~魔宝・関連用語~~
【丑の釘】 ~怨恨の鎖、呪い殺すモノ~
◎黒く太く長い大きな釘。邪悪な魔法『呪詛』を扱える最強の魔宝『十三呪宝』の一つ。その儀式の実行方法は、『愛する者に呪いの対象者をイメージしながら突き刺すこと』。生贄に対する『愛』がなければ釘は刺さらない。対象者に『激痛』を与え、ショック死させる。生贄となった人間は、死ぬまで釘を抜けず、その痛みから逃れるために『人形』のように心を失う。釘が刺さりきった時、生贄は命を落とす。示せこそしないが、明確な意思を持っており、自らの力を嫌悪している。
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第4章 【真理の塔】 0話 姉妹喧嘩
「ねね様の意地悪!何でそんな意地悪するの!」
「うるさい」
幼い子供が2人。2人は姉妹。
いつものように喧嘩を繰り返す2人。
「お前が研究の邪魔するからだ。あっち行け」
「やだ!」
「いいからあっちであそんでろ」
「うるさいバーカ!」
「うるさいのはお前……」
「バーカ!バーカ!バーカ!バーカ!バーカ!バーカ!」
「こんにゃろ!」
「痛い!ねね様のバカー!」
最後はいつも取っ組み合いの喧嘩。
どうしてこんなに仲が悪いのやら。
両親はいつも困った顔で2人を見ていた。
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「所長、起きてください」
「ん?」
どうやら私は眠っていたらしい。懐かしい夢を見た。
「済まない。最近疲れているのかもな」
「お体には気を付けてください。貴女の頭脳は国の宝なんですから」
「大袈裟だ。お前も休んでいいぞ」
部下を追い払い、私は一息つく為に煙草をくわえた。
「ふぅ」
机に散らばる研究資料を眺める。
「さて、もうちょい踏ん張るかね」
私は背筋を伸ばし、もう少し研究資料をまとめる事にした
まあ、でも少しは休んでおかないとな
「1ヵ月を切ったか……」
カレンダーにつけられたバツ印を見て、ため息をつく。
あいつは今、どうしてるかな?
さほど楽しみでもない再開を思い、私は煙草を蒸かした。
「『真理の塔』はどちらに微笑むか……フフ、見ていろ」
それはいつもの姉妹喧嘩
しかし、喧嘩というには少し行き過ぎた『力』を姉妹は手に入れてしまっていた。
―――――――――――2人の両親も呆れる、世界最大の姉妹喧嘩が始まろうとしていた