……笑わない?
王都で、出会ったのは……
ダナスとアザミは、旧友との再会に花を咲かす。
「何時、王都に来たんだ?」
「2日前だ。 ドランも元気だったか?」
「ご覧の通りだ」
「ドラン、奥さんは?」
「奥で事務をしている」
「良いかしら?」
「構わん」
ドランに言われて、アザミは1人で工房の奥へと向かった。
「工房の方はどうだ?」
「普通だ」
「良く言うぜ! ドワーフ族の直伝だろうが!」
説明しよう!
ドランは、ドワーフ族と人族のハーフで、ダナス達との冒険者パーティを解散した後、隣接するドワーフ族の都市に行き、鍛冶の修行をしたのだ!
「ジーク、見て回ってみな」
「分かった」
ダナスside
「ダナス、あの子は?」
「ジーナの子ジークハルトだよ」
「……大きくなったな」
「まあな。 それに強さも、今ではオレと互角だ」
「あの年で……末恐ろしいな」
「ああ。 将来が楽しみだ」
「それで、何か用件が有るのか?」
「いいや。 友人に会いに来ただけだ」
「そうか。 子のイリナは元気か?」
「元気だ」
「それは良かった」
「そういうドランの方も、去年生まれた娘ミランはどうなんだ?」
「毎日が悪戦苦闘だよ」
「頑張れ」
「言われるまでもない」
ジークハルトside
……もう、良いかな?
「ダナス! 流石の品揃えだな」
「そりゃあ、当たり前だ。 ドワーフ族直伝だ!」
「……そうだ!」
「どうした、ジーク」
「ドラン。 記念に一本、打ってくれないか?」
「……ああ! 任せろ!」
「それで、何にするんだ?」
「袖や靴に忍ばせる大きさで、実用本位なやつ!」
「分かった」
「ドラン、何時頃出来る?」
「そうだな……5日後だ」
「分かった。 5日後だな」
「ああ」
「ドラン、楽しみにしているよ」
「任せろ。 期待以上にしてやる!」
この後、ママ会をしていたアザミを無理矢理引き摺り出して、観光を再開した。
因みにだが、俺達が王都に来た理由である貴族の子息令嬢が10歳になった(なる)記念の「披露宴」が、王城で開かれるのは1週間後だ。
「た、救けてください!」
適当に散策していると、如何にも「身分や素性を隠しています」な格好をした女の子が、3人のチンピラに追い掛けられていて、俺達を見ると一直線に向かって来て、俺の後ろに回りながら、先程の言葉だ。
……テンプレだろうなぁ。
……伯爵以下なら、楽なんだけどなぁ。
「そのガキを寄越しな」
「何故だ?」
「そのガキがぶつかって、仲間が怪我をしたんだ。
治療費を払って貰わないとなぁ」
「ぶつかっていません!」
この後、チンピラと後ろの女の子が言い合いになったが、内容を精査すると、当然ながらチンピラがギルティだ。
……っていうか、チンピラの方が論破されて負けているしな。
ダナスとアザミを見ると頷いた。
俺は三歩、前に出て、女の子の間に出来た隙間にダナスが入る。
「ぐぬぬぬ……」
「見逃してやるから、消えろ」
「何だと!」
「見苦しいから早くしろ」
「……ぶっ殺す!」
だから、何で、この手のチンピラなモブは沸点が低いんだー!
とりあえず……無双。
「がっ!」
「ぐふっ!」
「ごばっ!」
軽く身体強化を掛けて、1人目はガゼルパンチを、2人目にはリバーブローを、3人目にはライダーキックをお見舞いした。
通り掛かった衛兵を呼び、親父から預かった貴族証を見せて、処理を任せた。
増援された衛兵達によって、3人のチンピラが連行されると、俺達にチンピラトレインをした女の子が口を開いた。
「救けて頂いてありがとうございます」
「誰……とは聞かないけど、お供は?」
「……」
「居ないのか?」
「……撒いてきました」
テヘペロで言いやがったよ。
「「「……はぁ」」」
「中央通りの噴水広場に行こう」
「「賛成」」
先程、通り過ぎた場所だから、数分後に到着した。
「とりあえず、軽く食べようか」
「アザミ」
「行ってきます」
……ネタが思い浮かばない!
これが、ニーナだったらポンポンと話題が浮かぶんだけどなぁ。
「……お待たせ」
アザミが、貴族令嬢にも優しい屋台料理を買ってきてから4人で食べた。
俺は食べながらも、頭の中では「話題話題話題話題話題話題」……と考えていた。
結果は……
「何故、お供を撒いたんだ?」
これしか、思い浮かばなかったー!
「……笑わない?」
「笑わない」
「……約束してくれる?」
「約束する」
意を決して言った言葉が……
「……迷子」
「……あははははは!」
「笑わないって約束したのに!」
「悪い悪い。 ほら、お詫びに」
そう言いながら、ニーナ用に常備している飴玉袋の口を開ける。
「これは?」
「口の中で転がしながら味わうお菓子」
「お菓子!」
「そう。 1つどうぞ」
「じゃあ……これ!」
「分かった」
選んだ飴玉を「俺」の口の中に入れる。
「え!?」
「毒味」
俺は、口内で飴玉を転がして、わざと内側から飴玉を当てて頬を膨らます。
「今度は、あげるから選んで」
「分かったわ……これにする」
「これね……はい」
「ん」
ニーナは喜ぶけど、どうかな?
「……甘ーい!」
「良かった」
計画通り! ……済みません、ハッタリです。
飴玉が口の中に有る=会話の強制停止となる。
これで、時間を稼ぐ。
思っていたよりも気に入ったのか、ゆっくり口の中で転がしていたみたいだが、残りが少なくなったみたいだ。
すると……
「居た! フェリシ……フェリ様!」
「マイヤ!」
「探しましたよ」
「ごめんなさい、マイヤ」
「お供の方ですね?」
「貴方達は?」
「ジークハルト=フォン=ランフィリアです」
「ランフィリア辺境伯の!」
「はい。 後ろの2人は、私の護衛です」
俺が、そう言うとダナスとアザミは会釈をした。
「私は……申し訳ありません。 名や身分を明かす訳にはいかないのです」
「分かっています」
「ありがとうございます」
「そちらの都合もあるでしょう。 お返します」
俺達3人は、5歩後ろに下がる。
「さあ、帰りましょう」
「分かったわ。 また会えるわよね?」
「お互いのご両親から許可を頂けたら、お会いする事が出来ると思います」
「絶対よ」
「はい」
こうして、彼女はお供と帰っていった。
……が、魔力探知したら周りに10人隠れ控えていたよ。
名前の3文字と隠れていた人達から、彼女の身分とかは確定だな。
……はぁ。 俺は、身分的な成り上がりを願っていないんだけどなぁ。
厳しくも温かいメッセージを待っています!
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