お父様に言ってやるんだから!
くまクマ熊ベアーの王都は、東西南北に何kmだろうか?
さて。 昼食が終わると、大人は大人で、子供は子供で、分かれて雑談する事になった。
「どうでしたか?」
「とても美味しかったです」
「それは良かったです」
……あっ!
言い忘れていたが、俺の母親は鬼籍とかに入っていないし、サナトリウムに療養中じゃないからな!
母さんは、隣国のエルフ国に領主代行で公務中で、数日遅れで王都に到着する予定だ。
普通は貴族の夫人が、外交に領主の同行無しではしないもんだが、内容が夫人服……正確に言えば下着だから、親父はあまり出番が無いからだ。
母さんのメロンな肩凝りから、俺が口出した結果、近代寄りの中世ヨーロッパ文化に現代地球の物を出した。
あっという間に、流行となり3つの隣国にも広がった。
そして、流行の発端者にして最高責任者を正妻アルセリア夫人、代理人を第3夫人の母さんとなった。
それに、辺境伯の夫人とはいえ生まれは平民だから、万が一でも大丈夫という政治的な判断も有る。
勿論、親父は嫌がったが、母さんは冒険者を引退しても鍛練は毎日しているんだよな。
しかも、母さんは元Aランク冒険者だ。
下手な王国騎士よりも強いから、逃げの一択なら自分の身1つなら守れる訳だ。
まあ、大丈夫だと思うけどな。
その夫人服で最初の交渉の時に、誤解とすれ違いが原因で、交渉先のエルフ族の都市で、死亡者と重傷者は居ないが、軽傷者が都市の半分を占める事件が起きた。
……はい。 母さんに怪我を負わされてブチ切れた俺が暴れたのが原因だ。
あれ以降、都市のエルフ達は、俺に対して恐怖の念を持つ様になった。
致命傷や重傷を負わせなかったが、相対したエルフ族の首筋には爪で横線を引いたからな。
つまり、俺の「殺そうと思えば殺していた」という意思表示な訳だ。
これに恐怖を抱いた結果、エルフ族側の白旗からの原因究明で仲直りをしたが、人族の、しかも年齢1桁のガキに制圧された事実は、ランフィリア辺境伯……正確には俺達母子に対して、かなり友好的な対応をしてくれる様になった。
そんな事もあって、引き続き母さんが公務に行っている。
~閑話休題~
「ねえ、ジークハルト様」
「何でしょうか、ヴィルナーグ公爵令嬢」
「ベルって呼んでください」
「いや……」
「ベルです!」
「分かりました、ベル嬢」
「……まあ、今はそれで良いでしょう」
「それで……」
「ねえ、ジークハルト様。 私はどうですか?」
「どうとは?」
「私を婚約者にしませんか?」
「お断りします」
「……何故?」
「まだ公式に発表していないが、婚約者がいますからお断りします」
「……信じられない!」
断れると思っていなかったんだろうな。
「私は、ヴィルナーグ公爵家の娘なのよ!
お父様に言ってやるんだから!」
格式高い公爵家の令嬢でも、まだ10歳前後だと、こんなもんか。
……10分ぐらい経つと、ヴィルナーグ公爵と親父が入って来た。
「さて、娘が泣いていた説明をしてくれるかな?」
親父を見ると頷いたから、俺が言っても良いと判断して説明した。
「実は、僕には両家の承諾の上で、内々ですが婚約者がいます。
そして、ヴィルナーグ公爵令嬢から、婚約の打診を受けました。
しかし、僕には内々といえ婚約者がいます。
ですので、お断りさせて頂きました」
「……そうか」
「お父様?」
ヴィルナーグ公爵の後ろに隠れていたベルティナ嬢が、心配そうに父である公爵を見た。
「ベルティア、諦めなさい」
「え!?」
「ご理解、ありがとうございます」
「娘の我が儘で迷惑を掛けた」
「いえ」
「ランフィリア辺境伯。 後日、改めて謝罪に行かせて貰う」
「分かりました」
「ガリク。 ランフィリア辺境伯とジークハルト君のお帰りだ」
「畏まりました」
「お父様!?」
俺達はヴィルナーグ公爵家を後にした。
馬車の中で、俺は親父に謝った。
「申し訳ありません、父上」
「気にするな」
「しかし……」
「ジークハルト自身が言った言葉を忘れたのか?」
「……?」
「ジークハルトは、まだ10歳の子供だ。
後の事は大人で、父親で、当主である私に任せなさい」
「分かりました。 父上、よろしくお願いします」
「ああ、任せなさい」
……丸く収まりそうで、良かった。
「ジークハルト」
「はい、父上」
「明日は、王都を見て回ってはどうだ?」
「良いのですか?」
「勿論、ダナスとアザミの護衛付きだ」
「ありがとうございます」
親父の好意に甘えて、明日は王都を観光するか。
翌日、親父の言った通り、ダナスとアザミが護衛に就いたので王都を観光している。
「……しかし、流石は王都だな」
「そうだろう」
「名所みたいな所は有るか?」
「そうね。 えっと……」
やっぱり、モンスター蔓延る剣と魔法の世界には、観光という余裕は無いか。
「それなら、ドランはどうだ?」
「良いな!」
「それなら案内出来るわ」
今更だが、ダナスやアザミの仲間が、王都で鍛冶工房を開いたのを思い出したから提案してみたが、ダナス達も行ってみたかったみたいだな。
「いらっしゃいませ」
「ドランは居るか?」
「どちら様でしょうか?」
「ダナスが来たと伝えてくれ」
「……分かりました」
カウンターに居た受付嬢にダナスが伝えた。
「ダナスにアザミ! 久し振りだな!」
「久し振りだな、ドラン」
「久し振りね、ドラン」
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