……今だ!
シリアスさんが、頑張っています。
ナハランカに近付けば近付く程に、上空に見える黒煙の数が増えていた。
そして外壁が見える所まで近付くと、俺達が視認出来る外壁だけでも至る所が破壊されていたし、赤黒い液体が付着していた。
それに風下になると、鉄錆の匂いや盗賊共を焼却処分する時のと同じ匂いがした。
「……クリス」
「私も行きます!」
「……分かった。 それならエマとセロンは、此処で待機だ。 ベルは2人を守ってくれ」
「分かりました」
「分かったわ」
「ウォン!」
エマ達を残して俺達は、ナハランカに向かって移動を開始した。
ナハランカに入った俺は思った。
……賢者な孫の帝国が壊滅した時と似た感じだな。
赤鱗竜が原因だからだろうか、焼けた建物や焼死体が多いが、それ以外は賢者な孫と変わりなかった。
「クリス、大丈夫か?」
「大丈夫よ」
どうやら、クリスの強がりじゃなくて本当に大丈夫みたいだな。
「サラ達も大丈夫か?」
「大丈夫だよ」
「大丈夫であります!」
「問題ありません」
「それなら先に進もう」
俺達は、状況の解明よりも被害を抑える為に、先に破壊活動を続けている赤鱗竜共の討伐を優先した。
……まあ、背後から急襲されては敵わんからな。
最初に、赤鱗竜を発見すると、クリスやサラ達が赤鱗竜の意識を自分達に向けさせて隙が出来た瞬間に、身体と刀に雷属性の強化付与を施した俺が首切りの瞬殺にした。
現実では、王道系主人公がする様な正々堂々の戦いなんて無意味に近い。
現実は結果が優先される。
戦いが長引けば長引く程、主人公側は消費するし、周りの建物は破壊されるからだ。
約2時間程で、俺達は赤鱗竜共4匹を討伐したが、念の為に魔力探知で5匹目が居ないか確認したが居なかった。
「残りは、街の中央に居る黒鱗竜だけだな」
「行きましょう!」
「ああ、クリス!」
サラ達も頷いた。
俺達は、魔力探知で黒鱗竜が居るだろうと思っている場所に向かっているが、その場所は領主館だ。
この街の特徴の1つとして、領主館だけは堀に囲まれている。
つまり、堀に掛かっている橋を上げられると領主館に行けれない訳だ。
そんな唯一の橋の前に黒鱗竜が鎮座していた。
「ジーク、どうするの?」
「同じ戦法で殺る」
「大丈夫なの?」
「確かに、黒鱗竜の方が赤鱗竜共よりも強いが、桁違いと言える程の差は無い筈だ」
「それはそうだけど……」
「だから、限界まで強化して一気にやる」
「……分かったわ。 サラ達も良いわね?」
「勿論だよ」
「分かったであります!」
「承知しました」
話し合いが終わると、ポーションを使い体力や魔力を万全の状態にして、クリス達は黒鱗竜の前に立つ。
「黒いトカゲちゃん。 お家に帰ろうね」
「Gaaaーーー!」
「……くっ」
「大丈夫ですか、クリス」
「大丈夫よ、リン」
「流石に黒鱗竜だね」
「そうね、サラ」
「それでも、行くであります!」
「その通りよ、カレン!」
「行こう!」
「ええ、サラ」
そんな会話をしてクリス達は、黒鱗竜に立ち向かった。
「……大丈夫そうだな」
俺は、クリス達だけで黒鱗竜の相手が出来るか確認したが、大丈夫みたいだ。
「それなら……」
俺は、黒鱗竜から見て死角の位置に移動して、体外に魔力が溢れない様にしながら、静かに刀と身体に雷属性の強化付与を始めた。
「サラ!」
「シッ!」
「GaAaaaーーー!」
「カレン! リン!」
「おりゃあぁであります!」
「……行きます」
「GaAaaaーーー!」
「「「……クリス!」」」
「ハァ!」
「GaAaaaーーー!」
「ジーク!」
……今だ!
「ダメじゃないですか。 4人の小娘に翻弄されるなんて、嘆かわしい」
……誰だ?
俺が出ようとする寸前で、魔人族の男が現れた。
「……誰?」
「小娘に名乗れる程度の安い名ではありませんが、冥土の土産に教えてさしあげましょう。
私の名は『アギルガス』と言います。
直ぐに無意味になりますが、覚えて貰えたら光栄ですね」
そう言いながら黒鱗竜に近付き触れると、アギルガスは魔力を与えた。
「GaAaaaーーー!」
黒鱗竜が雄叫びを上げながら、その姿が変容した。
より黒く光を反射しない黒鱗となり、体躯は5割増しになり、額に角が生え、顔面はより凶悪になった。
「漆黒鱗竜王よ、暴れなさい」
「GoAaaaーーー!」
……アギルガスが消えた。
「……ちぃ」
俺は、飛び出し首切りを敢行したが、硬い鱗に阻まれ浅かった。
「GoAaaaーーー!」
この後、俺もクリス達に加わり、漆黒鱗竜王と戦った。
「……硬い!」
「……ジーク」
「……時間を稼いでくれ」
「分かったわ」
覚悟を決めた俺は、精神を集中して魔力の純度を上げながら高めた。
……黒鱗竜から進化したと思われる漆黒鱗竜王は強く、クリス達も先程とは違い余裕が無く、幾つかの傷を負いながらも時間を稼いでくれた。
「……あ!」
「「「クリス!?」」」
……今だ!
「竜滅閃光覇刃!」
……ギィン!
……ボト!
……ズゥン!
「……ハァハァ」
「ジーク!?」
「ジーク君!?」
「ジーク殿!?」
「ジーク様!?」
「……だ、大丈夫だ」
「でも……」
「単純に、負荷が大きい技を使ったからだ」
「……分かったわ」
「小治癒」
俺がしたのは、身体には3倍界○拳を、刀には竜滅閃光覇を付与をした。
今の俺では、気の代わりに魔力を使った3倍界王○は対ベジ○タ戦の様に負担が大きい……が、俺の最強の切り札だ!
「……ふぅ」
技の反動が収まった俺は、漆黒鱗竜王を「倉庫」に仕舞い、クリス達の傷を癒やすと、上がっていた桟橋を支える鎖を魔法で断ち切り、降りた橋を渡り領主館に侵入した。
どう見ても、黒鱗竜は、門番だったからだ。
「嫌ぁああーーー!」
厳しくも温かいメッセージを待っています!
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