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はい。 ……私が行きます

珍しくリンが……

 


 ガラガラガラガラガラガラ……


 俺達は、王都から南に向かって出発してから他の馬車と同じくらいの速度で移動しているのだが、狼グランヴォルフであるベルの存在のお陰で、雑魚モンスターが出現しない件について。


「暇だな」

「暇ね」

「暇だよ」

「暇であります!」

「暇ですね」

「モンスターが現れない方が良いと思うよ」

「暇だわ」

「セロンに裏切られた!?」


 そんな会話をしていたが……


「やっぱり、ベルに赤牙虎レッドファングタイガーの肉と魔石を食べさせたのが、いけなかったのかしら?」

「……そうかもな」


 ベルが、赤牙虎レッドファングタイガーの肉と魔石を食べたら「満期終了」と言わんばかりに、ベルが進化した。

 どっかの美少女魔王に籠絡しかけたウルフ系みたいに、ベルの額には星型に見える毛並みになり、身体も2割増しになり、強さも倍近くになった。


「まあ、強くなる事自体は良い事だ」

「そうよね」


 確かに、雑魚モンスターは現れなくなったが、アレまで出現しなくなった訳ではなかった。


「命が惜しかったら、服と靴以外を置いて消えな、ガキ!」


 ……盗賊共が現れた。


 暇だったから、エマ以外の全員で盗賊共を討伐した。

 勿論、アジトを吐かせた後でな。


 それでアジトへは俺だけで行ったが、特に目立つ金銀財宝おたからは無く、あっさりと全てを回収した後は、留守番の盗賊共を処理をして、アジトに使われた洞窟を土属性魔法で物理的に潰した。


「ただいま」

「お帰り、ジーク。 どうだったの?」

「大した事は無かったよ」

「それじゃあ、出発しましょう」

「ああ、そうだな」


 馬車の移動を再開した俺達は、今日の目的地の野営場所に到着した。

 既に1組の馬車が野営の準備を終わらせていたから準備をクリス達にお願いして、俺は挨拶に向かった。


「どうも」

「今、到着かい?」

「ええ」

「何か手伝おうか?」

「大丈夫だ。 それより耳寄りな情報は有るか?」


 この後、軽く雑談をして切り上げた。


「ジーク、どうだった?」

「アレで、尻尾を出す様な3流以下は居なかった」

「分かったわ。 ベル、お願いね」

「ウォン!」

「ご飯が出来ました!」

「分かった」


 エマの料理の腕は確実に上がっていて、とても美味しい晩御飯だった。


「ご馳走さま。 美味しかった!」

「美味しかったわ」

「美味しかったよ」

「美味しかったであります!」

「美味しかったですよ」

「エマ、美味かったよ」

「それなら良かったわ」


 皆で、晩御飯の後片付けをすると、ベルとセロンに見張り番を任せて、俺達は就寝した。


 翌朝、もう1組がベルの前足に押さえられて伸びていた……という事は無く、朝ご飯の片付けをしていた。


「当たり前だよ。 例え、ボク達が盗賊だとしても、そんな見張り番が居たら、手を出すもんか」

「それはそうだな」


 時間が押しているのか、素早く片付けを済ませて、俺達が通った街道の移動を開始した。


「また縁が有ったら!」

「おう! また縁が有ったら!」


 俺達もエマ特製の朝ご飯を頂くと、片付けを済ませて出発した。


 ……やっぱり、モンスターが現れない。


 いや、別に問題は無いのだが、手持ち無沙汰になるのだ。


「GaAaaaーーー!」

「……と、思っていたら『られる前にってやる!』なモンスターが現れたぞ!」

「アレは、漆黒狼ダークネスウルフ!」

「リン、知っているのか?」

「はい。 ……私が行きます」

「任せた」

「お任せください!」


 珍しく、リンが「私が!」になったので行かせた。


 戦闘の状況は一進一退で、リンも少なからず怪我を負っているが……


「Gyaun……」


 リンの勝利だ!


「お待たせしました」

「リン、説明を」


 そう言いながら、俺はリンに小治癒ヒールを掛けて漆黒狼ダークネスウルフを「倉庫」に仕舞う。


「ありがとうございます、ジーク様。 

 あの漆黒狼ダークネスウルフは、私達黒猫人族にとっては天敵とも言える存在です」

「なる程な。 リンの国から離れているとはいえ、そんな存在が目の前に現れたから……か」

「はい」


 リンのちょっとした一面を知りながら、俺達は移動を再開した。


 因みに、リンと対決した漆黒狼ダークネスウルフは、Bランクモンスターの中位ぐらいらしい。


 さて、今日の目的地である街の「ダルジアル」に到着したのだが、特に街に入る前のテンプレに遭遇する事なく、街の中に入れた。


「……アレ、すげぇーな! 馬車にウルフを使ってやがるぜ!」

「そうだな。 ……どんなに低くみても、グレイトウルフの亜種だろうな」

「ヒュー!」


 そんな台詞せりふが聞こえる中で、俺達は宿屋を探そうとしたら、外で無かったテンプレが中で発生した。

 身綺麗な冒険者5人が立ち塞がり、真ん中に居た男が一歩前に出て言った。


「素晴らしい従魔だ!」

「それはどうも」

「金貨1枚でどうだ?」

「……何が?」

「そんなの決まっている。 その従魔の値段だ」

「そういう事なら断る」

「それなら、金貨5枚ならどうだ?」

「断る」

「商売上手だね。 それなら、大金貨5枚なら君達も納得するだろ?」


 周りで聞いていた連中は、大金貨5枚に湧き立つが、俺の答えは同じだ。


「断る」

「このボクが、ここまでの事をしたんだよ?」

「知らん奴から、何を言われようと答えは変わらんから無駄だ」

「……そうかい。 それなら!」


 ビシャ!


 左手の手袋を投げ当てられた。


「決闘だ!」


 俺は、地面に落ちた手袋を無視して手綱を引き宿屋を探す為に移動を始める。


「無視する気か!」

「知らん」

「馬車から顔を覗かせている彼女達が、危険な目に合っても?」


 ……俺は慈悲深いから、自殺志願者の希望を叶えてやろう。




厳しくも温かいメッセージを待っています!

そして、星の加点とブックマークをお願いします。


因みに、セロンが夜の見張り番をする場合は、朝食が終わり、移動を開始してからが、セロンの睡眠時間になります。

馬車の扉の向こう側に、専用の部屋が有るので夜の見張り番をしたセロンが、その部屋で睡眠を取ります。

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