解体場の方々、驚いていましたね
エマが、主人公達の日常を……
「貴族の……」
「黙っていて、ごめんなさい」
確か、グェシーラ子爵は……
「大丈夫よ、ジーク。 グェシーラ子爵家は身内よ」
「思い出した!」
「……ジーク様?」
「それなら、此方も改めて自己紹介しないとな」
「そうね」
「改めて。 私の名前はジークハルト=フォン=ランフィリア。
ランフィリア辺境伯の次期後継者です」
「改めて。 私の名前はクリスティーネ=フォン=ランフィリアです。
ジークハルト様の正室です」
「……え!?」
まあ、気持ちは分かるがな。
「ファリお嬢様」
「し、失礼しました」
「気にしなくても良いよ。 今の俺達は冒険者なんだからな」
「でも……」
「ファリお嬢様」
「……そうね。 それでは我が屋敷にどうぞ」
きちんと自己紹介したお陰なのか、応接室に通されたものの、俺達が座ったのは「上座」だった。
そして、応接室に入ってきたグェシーラ子爵とファリは当然の様に「下座」に座った。
「ようこそ、ジークハルト殿」
「俺は冒険者だと言ったが?」
「それは承知しております。
しかし、だからと言って、ランフィリア辺境伯の次期後継者となる者を、下座に座って頂く訳にはいきません」
「そうですわ」
この後は、他愛のない雑談をして、グェシーラ子爵の馬車で送って貰い、ランフィリア辺境伯邸に到着した俺達は、屋敷でゆっくりする事にした。
翌日は、身体を動かす為に皆と近辺の森に行く事にした。
「ベル、留守番よろしくな」
「ウォン!」
ベルは馬車と一緒に留守番だ。
「エマには冒険者は、どんな事をしているか知って貰うからな」
「分かったわ」
「セロン。 しっかりエマを守れよ」
「任せてよ」
「お願いね、セロン」
「ああ、エマ」
この後は、遭遇したゴブリンやフォレストウルフを狩ったり、見付けた薬草を採取したりした。
「……結構、簡単なのね」
「エマ。 マスター達がやっているのは、低級の冒険者がやる事なんだ」
「そうなの?」
「ええ」
セロンの説明から俺達は少し森の奥に進む。
「Pugiーーー!」
俺達に襲い掛かってきたオークを一刀の首刈りで瞬殺する。
「あんなモンスターを一撃で……」
セロンが解説する。
「今回も、マスターがあっさりとオークを討伐したけど、普通のCランク冒険者3人以上が必要だからね」
「……え!?」
「Gaーーー!」
「雷撃弾」
「Ga……」
「……は!?」
解説セロンが仕事を始めた。
「今、急に出て来たオーガなら、Cランク冒険者が5人は必要だし、攻撃魔法の一発で討伐出来ないから」
「そ、そうなのね」
先程までは、冒険者の仕事は簡単だと思っていた節が有るエマだが、流石にオーガを一撃で瞬殺した事で、俺が普通と比べて強過ぎるのだと理解したみたいだ。
……この際だから、元Bランク冒険者であるセロンの狩場も見せておくか。
そんな理由から、俺達は更に森の奥に進む。
「マスター?」
「この際だから……な」
「?」
「……はい」
「セロン、どういう事なの?」
「……見ていれば分かるわ」
「セロン?」
今度は魔力探知等を使いながら、獲物を探した。
……見付けた!
「……マスター!?」
「流石は元とはいえ、Bランク冒険者だ」
「マスター! これはBランクでも無謀です!」
「……セロン?」
「大丈夫だ」
俺の、この言葉が合図かの様に、Aランクモンスターの「赤牙虎」が現れた。
身体の大きさはアルファードが隠れるくらいで、名前の由来である赤い牙は立派なものだ。
「GAaaaーーー!」
「腕が鳴るわね」
「悪いが、俺だけでやる」
「……分かったわ、ジーク」
「済まないな、クリス」
「夫を立てるのは妻の嗜みよ」
「そうだった……な!」
「GAaaaーーー!」
最初は殴る蹴るから、次第に魔法も使い出す。
「……す、凄い!」
「マスターはCランクと聞いていたけど、この強さはBランクすら超えているわ!」
「……!?」
セロンの台詞が終わるのを聞いて、俺は小治癒を掛けて、赤牙虎が驚愕した隙に雷撃弾を眉間に放つ。
「Ga……」
「ほい、終わり」
「「……」」
ちょっとした地響きを起こして赤牙虎が倒れた。
「マスター」
「何だ、セロン」
「最後に、マスターが赤牙虎に小治癒を掛けたのは何故ですか?」
「傷の有無で買取金が変わるだろ」
「……マスター」
「セロン。 コレがジークよ」
「そうだよ、セロン」
「そうであります!」
「流石はジーク様!」
……リンはブレて無かった。
俺は赤牙虎を「倉庫」に仕舞うと言った。
「これが冒険者の日常だ」
「「「「「「ウソだ!」」」」」」
……アレ?
君達は、鉈が凶器の美少女だったかな?
こうして、行きは俺の独壇場だったが、帰りはクリスやサラ達が頑張った。
勿論、セロンも元Bランク冒険者として、活躍した。
俺達は王都の冒険者ギルドに行き、赤牙虎等を売り、狙い通りに高額買取となった。
それと、偶には……な感じで、ベルにあげる為に左半分の肉と魔石は持ち帰った。
「解体場の方々、驚いていましたね」
「……そうね、エマ」
冒険者ギルドを後にした俺達は、屋敷に帰るとゆっくりした。
……まあ、鍛練は毎日続けているけどな。
翌日、俺は皆に言った。
「冒険の旅に出ようと思う」
「私は賛成よ」
「私も賛成だよ」
「賛成であります!」
「賛成です」
「私達も異存はありません」
「同じく」
そんな訳で、日用品や調味料や食材を購入した翌日に冒険の旅へと出発した。
「偶には帰ってこい」
「分かった」
親父に言われて返事を出すと、ベルは動き出した。
厳しくも温かいメッセージを待っています!
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