……何とか、嵐をやり過ごしたー!
不安は、払拭されないと消えない。
……はあ。 奴隷を買っちまったよ。
「ジーク……」
クリス達に、どう言い訳しよう?
「……分かったわ。 私はジークを信じるわ」
「私もだよ」
「であります!」
「ジーク様が決められたのなら、私に「否」はありません」
「ありがとう、皆」
さて、手続きを済ますか。
「それでは……」
先ずは、奴隷商人アングレムは、貫頭衣の美少女を正式に奴隷にし、その後、奴隷の主人変更の手続きをした。
料金は、金貨18枚となったが、これは奴隷としての教育が済んだ後なら、通常は金貨12枚を超える事は無いらしい。
理由は、商会の娘とはいえ、普通の平民だからだ。
それで、本来なら「名付け」をするのだが……
「俺の命令があるまで、会話を禁ずる」
「……はい」
クリス達が俺を信じたなら、俺もクリス達を信じないとな。
宿屋に戻ると、先ずは2人きりになって聞いた。
「転移と転生のどちらだ?」
「……転移」
「その髪は地毛か?」
彼女、髪の色が茶色なんだよな。
「はい」
「その瞳が碧眼なのは?」
「クォーターだから」
「戸籍は?」
「日本」
「生まれも育ちも?」
「はい」
「料理や掃除は?」
「一通り出来ます」
「分かった。 死にたくなかったら、余計な事は言わない様に」
「……分かりました」
クリス達を部屋に入れた後、外部に声が漏れない様に遮音魔法を掛ける。
「音声遮断」
「……余程のようね」
「まあ、そうだな」
「ジーク、説明して」
「分かった」
俺は、女神サンシェーラ様の事以外を話した。
「……そう、だったの」
「クリス。 今まで黙っていてごめんな」
「ううん。 それはいいのよ」
「私もだよ」
「であります!」
「ジーク様に仕える事には、変わりありません」
「サラ達も、ありがとう」
「それで、どうするの?」
「暫くは、この世界の常識を教えながら、俺達の旅での料理番をして貰う」
「料理、出来るの?」
「一通り出来るらしいが、確認はするよ」
「分かったわ。 サラ達も良いかしら?」
「ジーク君とクリスが良いのなら、反対はしない」
「であります!」
「私もです」
「ありがとう。 それじゃあ、買い物に行こうか」
「「「「賛成!」」」」
彼女の身の回りの物を買いに行こうとしたら待ったが掛かった。
「私の名前は!」
「そうだったな」
「日本でのフルネームは?」
クォーターだと言っていたしな。
「恵茉・オリヴィア・赤羽」
「それなら、名前は……エマだ」
「分かりました。 今から、私の名前はエマです」
「エマ。 多少の我が儘を許すから、しっかり選んで来い」
「ありがとうございます、ご主人様」
「……マスターで」
「分かりました、マスター」
「クリス。 任せるよ」
「分かったわ、ジーク」
「サラ達も頼むな」
「お任せー」
「であります!」
「お任せください」
……何とか、嵐をやり過ごしたー!
……ん?
……この世界の言葉は、何時、何処で、誰が、教えたんだ?
「帰ったら聞くか」
……約2時間後にクリス達は帰って来た。
エマに聞いてみたら、この世界に転移したのは6歳を過ぎた頃で、救けてくれた養父に教えてくれたらしいが、10年後に、その養父が急死して商会を継いだ養父の弟に、夜の相手を強要されて拒否したら、貴族との件も有り、奴隷に売られたみたいだ。
因みに、外見は茶髪の綾○レイ似だ。
「クリス達から聞いたかもしれないが、俺達は冒険者だ。
それで、エマには肉壁にするつもりは無いし、発見した薬草の被験者にする気も無いし、夜の相手を強要しないから安心してくれ」
「……分かりました、マスター」
「ほら、言った通りでしょう」
「はい、クリス様」
どうやら、女同士だったから、不安を聞いていたみたいだな。
「エマ、他に何が出来る?」
「養父の後を継ぐ気でいましたから、それなりには」
「それは良かった」
仮にも王都で、10年間も商会を続けていたのなら充分に信用出来るから、将来的には領主館の事務員をして貰おう。
……あ!?
「戦闘は?」
「……出来ません」
「ちょっと行ってくる」
「行ってらっしゃい、ジーク」
俺は、奴隷商館アングレムの扉を開けた。
「冒険者ランクでいうCランク以上で、年齢が20代前半までの護衛が出来る女性だ」
「畏まりました」
また来た事実を突っ込ませない為に、向こうが何か言う前に、俺の要求を伝えた。
代金が金貨28枚の、元冒険者でBランクの女性を買った。
因みに、左腕のみの隻腕だ。
右腕が無事なら金貨50枚は超えていた。
「隻腕では充分な働きが出来ませんが、精一杯ご奉仕いたします」
「まあ、仕事内容は後で話すな」
「はい」
「名前は……セロンな」
「……ありがとうございます!」
これも、実は彼女の本名な。
奴隷になる前の名前を自身では名乗れないが、他者に呼ばれていた名前なら言う事が出来るからな。
セロンを馬車に乗せて適当な路地裏に止めると馬車の中に入る。
「マスター?」
「良いから黙って」
「……はい」
そう言ってセロンは目を閉じると、顔を赤くして上向きにした。
「……完全治癒」
「……え!?」
セロンの喪われた右腕を再生させた。
「俺が完全治癒を使える事は秘密な。 これは命令だ」
「……はい」
何故か、セロンはがっかりしていた。
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