明後日の太陽を拝めると良いな。
一度刻まれた傷は簡単には消えない。
「倒したぞ! ……ぐふぅ!?」
……サラ魚雷を喰らった。
「良かったよー」
「良かったであります!」
「良かったです」
この後は、3人が落ち着くまで好きなようにさせたのだが……サラが寝た。
……こんな事もあろうかと、野外用ベッドを出してサラを寝転がすと俺達もベッドに座った。
「ジーク殿が、赤牙虎に殴る蹴るをした時は、あの最後の鍛練の時みたいな感じであります!」
「そうですね」
「まあ、俺は貴族でもあるからな。 それなりの『見栄』が必要なんだ」
カレンとリンと他愛のない雑談をしていると、サラが起きた。
「私の500gのドラゴンステーキは?」
「寝言は寝ている時に言うもんだぞ」
「そうであります!」
「サラ、涎」
「……!? ありがとう、リン」
紳士な俺は、サラの涎を視認した瞬間にサラの反対側を向きながら言った。
サラが、ベッドから降りると、野外用ベッドを「倉庫」に仕舞い、俺達は都市ミズガルドに向かったのだった。
……約4時間後、都市ミズガルドとの正式な取り決めが終わり、都市ミズガルドの領主館で、俺達は歓迎を受けていた。
「ありがとうございます!」
「ミズガルドが無事で良かったです」
あの時に、都市ミズガルドに居なかったエルフ達からは、笑顔でお礼を言ってくる。
あの時に居たエルフ達からは、感謝の気持ちは伝わるが、表情は固く顔色が悪い。
……まあ、自業自得だから仕方ないよな。
流石に、自分の母親を「売女」呼ばわりされたらキレるよな?
……俺は、生まれて3年後に、前世の記憶と自我が目覚めたから覚えている訳だ。
自分の母親が恥ずかしそうに、でも凄い輝いた笑顔で親父に言っていたんだ。
母さんが「好きになったのも、愛したのもラーグ、貴方が初めてよ」と。
ブチ切れたのは、そういう訳だ。
そんな感じの挨拶が終わり、ビュッフェ式で料理が並べられていたから、少しずつ取り口に含む。
余りにも美味しい料理に舌鼓を打った。
「美味い!」
「美味しい!」
「美味しいであります!」
「美味しいわ」
……そして、歓迎会も終わり、俺達は割り当てられた部屋に移動した。
「無事に解決して良かったよ」
「そうだな、サラ」
「そうでありますな!」
「……そうですね」
「どうした、リン」
「はい、ジーク様。 エルフ側の情報を集めてみましたが、エルフ側も原因不明のようです」
「そうか」
エルフ側にとっては自分の庭とも言える「森」を調べても分からないのなら、人族である俺が調べても、何も出ない可能性が高い。
未来に於いては、繋がる事も有るかもしれないが、現時点では終了だな。
翌日、大勢のエルフ達の見送りの中、俺達は都市ランフィリアに向かって出発した。
行きと同じ場所で野営をし、翌日の午前10時頃に都市ランフィリアに到着した。
俺達は公務用の馬車から降りて、冒険者ギルドに向かった。
スタンピードでの取分を売る為だが、オークは全て俺達側で、オーガはエルフ側になった。
理由は、この世界のゴブリンとオークは人型女性を種族を増やす為の苗床にしか見てないからだ。
だから、この世界の何処かで、知性あるオークが、女騎士に「く、殺せ!」とか、言わせているかもしれない。
そんな訳で、大量のオークを捌く為に冒険者ギルドに向かっている。
あ、ゴブリンは魔石だけ頂き、残りは焼却した。
ゴブリンの魔石は、流し付きトイレに使う予定だ。
「3日毎に30匹までだ」
「分かった」
流石に、一度にオーク93匹は捌けないみたいだ。
まあ、端数の3匹は領主館の料理長に渡そう。
冒険者ギルドでの用事が終わり、帰ろうとすると、現れるテンプレ。
「待ちな。 良い女を連れているじゃねえか。
着ている服以外を置いて消えな」
このテンプレは、前世のラノベでも良く見掛けるが分かっているのだろうか?
盗賊共と同じ台詞を言っている事に。
「……貴様が消えろ」
「へ? ……ぎぃ!」
「受付嬢、盗賊を捕縛したわ」
「……ありがとうございます、リンさん」
俺達が「誰」かを知っている冒険者達は……
「出たのはリンさんだ。 賭け金は幾らだ?」
「やった! 銀貨5枚になった!」
「やりぃ! オレは大銀貨1枚だ!」
「ちくしょう! 銀貨3枚が!」
「……生活費が!」
「明日の彼女の誕生日代が!」
後ろの2人!?
特に最後!
明後日の太陽を拝めると良いな。
……冒険者に偽装した盗賊は、銀貨8枚となった。
俺達は帰ろうとしたら、ギルドマスターに捕まってドナドナされた。
エルフ達の都市ミズガルドのスタンピードの件の説明を要求されたから答えた。
「赤牙虎は売ってくれないのか?」
「これ以上の素材が手に入ったら考えるよ」
「売る気無しか」
「当然だろ。 そう簡単にAランク上位のモンスターなんて、手に入るもんじゃないからな」
「……そうだな」
「以上か?」
「以上だ」
ギルドマスターから退室の許可を得て、俺達は遂に冒険者ギルドを後にした。
……2回も「待て!」を喰らったからな。
領主館に帰ると、母さんを始め主要人物を集めて説明会をした後、事の顛末を書いた手紙を親父に送る。
厳しくも温かいメッセージを待っています!
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