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ジークハルト様、お目覚めですか?

かなり重い出始めですが、新章です。

 


 ……あれから約1年経つのか。


「夢だと思いたいよ」


 あの時に届いた訃報とは、冒険者ギルド経由で、ランフィリア辺境伯の後継者であるアルベルト兄さんが、領地の視察中に崖から転落して死亡し、次男のアーロン兄さんは王城で文官をしていたが、勤務中に転倒して、その時に頭を強く打ち死亡した。

 更に、レティシアさんの長男レオカディオが、本来ならばランフィリア辺境伯の次期後継者となるのだが、その2か月後に後継者を正式に辞退した。


 ……実は、レオカディオはタウンハウスの屋敷の事故で、男の「アレ」を喪ったのだ。

 そして、レティシアさんの実家に籠もってしまった。

 この事で、レティシアさんに「レオの名誉の為にごめんなさい」って謝れたよ。


 ……俺に汚名を被せた様なものだからな。


 この発表で急遽、俺は王命で王立学園を卒業させられ辺境都市ランフィリアに移動する事になったのは、暫定的な次期後継者として。

 そして最悪な絶望に……俺は崩れ落ちた。


 ……それは、俺の最愛の婚約者ニーナだ。


 彼女もまた、半年前に俺が正式にランフィリア辺境伯の次期後継者と発表する3日前に、彼女の領地から俺が住む領主館に向かって移動中に事故に遭い死亡。


 こうなると重なりに重なって、滅茶苦茶な悪意ある噂が流れ、親父とアルセリアさんは、噂の火消しの為に王都に行き、俺は領主代行に就いた。

 そして、家族と、それぞれの実家総出で調べたが「白」だったよ。

 ヴィルナーグ公爵にも、親父は頭を下げて調査の協力をお願いしたにも関わらずだ!


 更に悪意ある見方をされる事が起こった。

 俺が、正式にランフィリア辺境伯の次期後継者と発表した4か月後に隣接するエルフ族・ドワーフ族・獣人族の、それぞれの国から「俺の従者にお使いください」と、1人ずつ送られて来た。


 エルフ族の「サラ」に、ドワーフ族の「カレン」に、獣人族の「リン」だ。

 それぞれが、国では家柄・人柄(外見含む)・実力が優秀だと認められた者達だ。


 ……どう見ても、ハニトラだよな。


 しかし、魔法誓約書で真偽を問うとハニトラでは無かった。

 ランフィリア辺境伯となる俺との個人的な関係の維持と、今後の都市間の交易を維持する為に贈られた。


 そして、俺の弟妹の双子の次男サンダリオと長女セラフィナは、俺がランフィリア辺境伯の正式な次期後継者となって1か月後に、この国の友好国「アウラディル」に留学しているが、これも俺が追い出したと思われている。


 そして、流石に1年もあれば、最愛のニーナを、心の1番綺麗な場所に置ける様になったが、同時に領主代行として途中から忙殺されていたからとも言えるな。

 勿論、トノエージ子爵と子爵夫人であるニーナの母親は分かってくれたが、ニーナの母方の実家は、俺を恨んでいる。


 ……この世界の神々に交信出来たら、問い正したい気分だ。


「ジークハルト様、お目覚めですか?」

「おはよう、シルヴィア」

「おはようございます、ジークハルト様」


 シルヴィアの来室でベッドから起きて、身嗜みを調えるのに手伝って貰い、朝食を頂きに食堂に向かう。


「おはよう、ジーク」

「おはよう、母さん」


 母さんも最初の頃は、哀しみに伏していたけど、比較的に早く立ち直った。

 多分、冒険者時代に理不尽な別れが有ったのだろうなと思っている。


 因みに、この領主館の女主人である正妻アルセリアさんは、俺の悪意満点の噂の火消しに親父と一緒に王都に出ていて、まだ帰っていない。

 その為に、母さんも俺と同じで、女主人の代行をしているし、領主代行としての俺の事務処理の一部を代わってくれている。

 元冒険者の母さんに、何故、事務処理が出来るかを聞いたら、母さんが「秘密よ」と言われ躱された。

 それ以降は聞いていない。


 朝食が2人共終わった所で、母さんが執事のアガスに聞いた。


「私達の今日の予定は?」

「はい。 先ずは、ジーナ様ですが、昨日に引き続き事務処理をお願いします」

「分かったわ」

「ただ、今日は少ないので午前中には終わる見込みですので、午後からは自由にお過ごしください」

「久し振りに、のんびり出来るわね」


 そう言いながら、胸部の2つのメロンを強調しながら伸びをしている。


「次に、ジークハルト様は、隣接するエルフ国の都市ミズガルドから書簡が届いております」

「分かった」


 こんな早くから、書簡を届けるなんて緊急事態かもしれないな。


 俺は、執務室で届けられた書簡を読むと、本当に緊急事態を報せるものだった。

 俺は直ぐに、各部署に指示を出して準備を急がせ、俺自身も準備する。


 ……1時間後。


「ジークハルト様! 全ての準備が整いました!」

「隣接するエルフ国の都市ミズガルドから、緊急の救援要請が届いた。

 契約に従い救援に向かう!」

「「「「「「「「「「「「は!!!」」」」」」」」」」」」

「母さん。 後方支援、お願いします」

「任せて!」

「アガス、俺の不在の間は任せる」

「微力ながらも全力を尽くします」

「頼む。 ……では、出発!」


 馬車の中で、俺は改めてミズガルドからの書簡を確認する。


「ジーク君、ミズガルドは大丈夫かな?」

「サラ。 心配する気持ちは分かるが、エルフが森での戦いに遅れを取るとは考え難いな」

「そうですよね、ジーク様」

「サラは心配性であります! ジーク殿の言う通りで、問題ないであります!」

「カレンの言う通りです。 ですが、心配する気持ちも分かります」

「ありがとう、リン」


 俺と一緒に乗っている3人は、以前、それぞれの国から俺の従者にと送られた者達だ。

 以前、魔法誓約書で真偽を問うた分を差し引いても、1つの作品で3人共、正ヒロインを張れる程のスペックを誇っている。



 

厳しくも温かいメッセージを待っています!

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