その5「内政チート・紙編」
編集「はい、始まりました企画もの第5弾。皆様いかがお過ごしでしょうか?」
白河「どうも、二流作家の白河夜舟です。よろしくお願いします」
編集「で、今回。なんで“紙”なんですか?」
白河「内政と言えば事務作業。事務作業と言えば、紙とインクだからですよ」
編集「別に、それでいいじゃありませんか」
白河「もちろんです。で、ナーロッパの紙と言えば、羊皮紙ですよね」
編集「ですね。違和感ないですね」
白河「で、あれ、一枚いくらするんでしょうね?
編集「さあ。でも、原料は家畜の皮ですよね。羊の皮の紙、っていう位だし」
白河「はい。羊皮紙がたくさんある世界って言う事は」
編集「家畜がたくさんいる世界、ということですか」
白河「そうです。で、家畜がたくさんいる世界ということは」
編集「人口もそれなりにいる」
白河「あと、家畜が飼いやすいか、家畜しか飼えない世界ということも」
編集「なるほど」
白河「組み合わせで、家畜がたくさん飼える地域があって」
編集「そこから材料を輸入できる事も考えられますね」
白河「なので、ある程度の量なら、羊皮紙がたくさんある世界はありです」
編集「はいはい。ただし、そういう裏付けはある、ということですね」
白河「そうですね」
編集「で、なんでこんな話を?」
白河「事務処理に追われる国王とか王子とか事務官とか」
編集「いますね。けっこういますね」
白河「山積みの書類って現代ではありですが、ナーロッパでもありだな、と」
編集「ふむふむ」
白河「で、内政チートするなら、紙の開発が必要だと考える人もいるわけです」
編集「ああ、まあ、それはそれで、いいんじゃないですか?」
白河「で、羊皮紙作るのも、紙を作るのも、どっちも手間暇は掛かるんですよ」
編集「そうなんですか?」
白河「羊皮紙は、皮をはいで石灰水に漬けて、毛をそいでもう一回漬けて」
編集「めんどくさいですね」
白河「はい。後はシワにならないように伸ばしながら乾燥させます」
編集「それ、たくさん作るんですか」
白河「専門の職人が必要ですよね」
編集「ですよね」
白河「ただ、革製品みたいに“なめし”の作業がいらないんですけどね」
編集「なるほど。それでも作業工程は結構なものですね」
白河「材料代と職人の工賃が、製品の値段に反映されますので」
編集「お安いものではない、と」
白河「ですね。ところで“紙”も、結構似たような工程で作りますね」
編集「機械で大量生産、とはいかないんですか?」
白河「ナーロッパですからね」
編集「ですよね」
白河「木を切って細かく削ってパルプにして、ドロドロに煮詰めて漉いて」
編集「均一になるようにして、乾かすんですね」
白河「これも、専門の職人さんが必要になりそうですね」
編集「材料の木はともかく、職人の工賃がどうなるかですね」
白河「そう。どっちも手間暇がかかる。あとは需要の問題」
編集「ん-機械で大量生産できれば解決、ですが」
白河「まあ、紙の方がはるかに機械化できそうですけどね」
編集「はい」
白河「でも、まだそこまで出来ないなら、紙って作る意味、ありますかね」
編集「ん-なんとも」
白河「事務仕事が羊皮紙で間に合っている世界なら、無理に紙をつくる?」
編集「作らない、というか、発想しないですね」
白河「こういう発想は、現代人だからですよ」
編集「確かに。それで内政チートですか」
白河「はい。ちなみに感想でこの手の事を言い出すのは」
編集「言い出すのは?」
白河「間違いなく“本好き”です」
編集「ああ、なるほど、ね」
白河「間違いないですね。ちなみにおれは、二周しました」
編集「他に読むものあるでしょ」
白河「それでも読み返しちゃいましたね。あれはスゴイです」
編集「で、白河さんは、かなり影響を受けているという訳ですね」
白河「自分で紙について書くなら、また別の方法を考えますけどね」
編集「たとえば?」
白河「あぁ、それはこっちの商売道具なんで。おいそれとは明かしませんよ」
編集「さて、お時間が来たようです。また次回、お会い致しましょう」
白河「また聴いてくださいね。ではまた―」
(続く)