その12「創作と感想」
25年前にも、同じテーマで同じ事を書いた記憶があります。
あの時も、今も、自分の中での方針は、一切変わっていないようです。
編集「はい、始まりました企画もの第12弾。皆様いかがお過ごしでしょうか?」
白河「どうも、二流作家の白河夜舟です。よろしくお願いします」
編集「今回のテーマは、第1回目のものと似てますね」
白河「ああ、そう言えば、似てるかもね。中身は全然違うけどね」
編集「その違い、とは?」
白河「第1回目は、とにかく何でもいいから感想書きませんか?です」
編集「今回は?」
白河「どうやって書いたらいいの?です」
編集「なるほど」
白河「そもそも創作は、太陽なんですよ」
編集「太陽?」
白河「はい。自分の力で光り輝ける恒星なんです」
編集「なるほど。では、感想は?」
白河「自分では輝けないので、月、ですね」
編集「月ですか」
白河「太陽という創作作品を読み取って映し出す光、つまり月なんですよ」
編集「んー、もう少し説明して頂いても?」
白河「創作の場合は、構成、キャラクター、ストーリー、世界観など、全部自分で用意する必要があります」
編集「そうですね」
白河「感想は、読んだものをどう感じたか書くだけなので、用意がいらない」
編集「まあ、そうですね」
白河「なので、文芸としては簡単な部類に入るんですよ」
編集「そんなもんですかね?」
白河「読書感想文ってありますよね」
編集「ありますね」
白河「文芸大好きな人種にとっては、あれってチョロイですよね?」
編集「ん-どうかなぁ」
白河「おれは、書き過ぎて原稿用紙が無くなったりしました」
編集「アホですね」
白河「いや、それ位、簡単でしょ?ということで」
編集「普通は、何枚までとか制約があるでしょ?」
白河「よく見てなかったか、そういうのが無かったか」
編集「まあ、そういう人にとっては、感想を書くのは簡単なんでしょうね」
白河「ただ、読むのが辛くなる作品への感想が大変」
編集「内容?」
白河「いや、文章や構成が下手くそで、矛盾だらけだったりして」
編集「も、もすこしオブラートに包んで…(コラコラ)」
白河「なので、そういう場合は静かにブラウザを閉じたりしますね」
編集「そうした方がいいですね」
白河「でもたまに、文句をつけるような感想になることもあるので」
編集「マズイですね」
白河「少し時間を置いて、頭を冷やして、優しく修正したりします」
編集「そうして下さい」
白河「作家は感受性が大切と、以前に書いた気がしますが」
編集「ありましたね」
白河「その感受性にキツイ感想が刺さったりすると、痛くて悶えちゃう」
編集「経験があるんですね」
白河「…(無言)」
編集「いや、いいです。分かってるなら、いいんですよ」
白河「自分で何もない所から作品を生み出していく創作は、思ってるよりもパワーが必要なんですよ」
編集「はい」
白河「なので、感想は、応援の気持ちが大切」
編集「なるほど。決まりましたね」
白河「その上で、書かれている事柄を反射する月のような感想を、これからも書きたいですね」
編集「内容が厳しく感じたら?」
白河「オブラートには包みますが、言っちゃいますね」
編集「(言うのかよ)そうですか」
白河「指摘するのも、作家さんへの応援の一つの現れなんですよ」
編集「(言ってることが矛盾してる気もするけど)なるほど」
白河「あと、感想への返信が創作の妨げになるようなら、返信は必要ないですね」
編集「返信がないと、不審に思ったりしないんですか?」
白河「思わないですね。それより、本編を進めて欲しいです」
編集「折角、長い感想を書いたのに、返事がないだなんで不届きだとか思わない?」
白河「本編さえ面白ければ、何とも思いません。そもそも、感想なんて勝手に書いているだけなので」
編集「そういうもんですか」
白河「面白い本編を読めば分かります。期待するのは返信じゃなくて本編の内容が面白いか、そうでもないのか、です。そういうもんです」
編集「なるほど」
白河「感想は、所詮は月。創作という太陽が、淡い月の輝きなど気にしてはいけないのですよ」
編集「さて、お時間が来たようです。また次回、お会い致しましょう」
白河「また聴いてくださいね。ではまた―」
(続く)
創作する苦労を知っているので、多少の矛盾は寛容に観ている自分がいます。面白くなるなら、別にいいじゃん!
一方で、傍目から見て、これはオカシイよ、こんな風に読めちゃうよ、と言ってしまいたくなる自分もいます。ダメだろうこれじゃ…
そんな風に、脳内に巣くう多重人格が会議や論争を繰り返す日々を送っております。
感想のさじ加減が難しいのは、昔も今も変わらないですね。