アンカー:異能保持者
アンカー(能力者)
アンカー(Anchor)とは、Λ計画によって誕生した特殊細胞「Λ細胞」の影響を受けた人類の一部が獲得する異能保持者の総称である。
「異能という不安定な現象を、この現実世界に“固定”する錨」としての役割を担うことから、その呼称が広まった。
■ 発現条件と素因
アンカーは誰もがなれるわけではなく、発現には以下の条件が複合的に関わるとされている。
1. 遺伝的素因:Λ細胞との親和性を持つ家系では、能力者が比較的高確率で誕生する。
2. 突然変異:極めて稀に、非能力者の家系から突発的にアンカーが生まれる例も確認されている。
3. 心理的要因:強い欲望・恐怖・執念など、極限状態で“心象”が固定化され、異能として顕現する事例が多い。
4. 環境的要因:都市圏やΛ細胞汚染地域での出生者ほど発現率が高い。
■ 能力の基本特性
アンカーの能力は、単なる“魔法”や“超能力”とは異なり、現実法則と異能の境界を媒介する作用によって成立する。
そのため異能は「不安定な現象」だが、アンカーを介在することで「一貫した再現性」を持つ。
・固定化(Anchoring):異能をこの世界に縫い止める作用。アンカーの精神が弱れば力は暴走・崩壊する。
・リソース:能力行使には、精神力・身体負荷・Λ細胞の活性が必要。過剰使用は「異能酔い」や肉体崩壊を招く。
・契約性:多くの能力は「代償」や「条件付け」を必要とする。これにより安定性と威力が両立される。
■ 系統分類
アンカーは大きく 6系統 に分類される。これは“能力の発生原理”に基づいたものであり、各系統の適性は遺伝や性格に依存する。
1. 物理干渉型
炎・氷・重力・風といった自然現象を直接制御する系統。
・利点:派手かつ破壊力が高い。戦闘や災害救助に適する。
・欠点:消耗が激しく、制御を誤ると周囲に甚大な被害を及ぼす。
・代表例:火炎操作、重力圧縮、雷撃の生成。
2. 認識操作型
知覚や記憶、精神そのものを操作する。
・利点:隠密・諜報・尋問など非戦闘分野に強い。
・欠点:対象の精神抵抗に大きく依存し、強靭な意志を持つ者には通じにくい。
・代表例:幻覚投射、洗脳、記憶改竄。
3. 媒介感応型
物質・空間・生物など「媒介」を通じて力を発揮する。
・利点:汎用性が高く、能力の応用範囲が広い。
・欠点:媒介を失うと力を発揮できない。
・代表例:魂付与(主人公)、武器への能力付与、式神召喚。
4. 身体変容型
自らの肉体を変化させる。
・利点:シンプルかつ安定。常に高い戦闘力を発揮できる。
・欠点:回復・持続に負担が大きく、寿命を縮める事例も多い。
・代表例:超再生、硬質化、獣化。
5. 環境適応型
自然や人工環境と同調し、その場の特性を力に変える。
・利点:特定の環境下で圧倒的優位を取れる。
・欠点:環境に依存するため汎用性が低い。
・代表例:水中呼吸、嵐のエネルギー吸収、都市機構の制御。
6. 情報干渉型
電磁波・量子現象・数値的秩序といった「情報の層」に作用する。
・利点:近代社会で最も強力。電子戦・未来予測に直結。
・欠点:未解明要素が多く、暴走すれば世界規模の被害を招く危険性がある。
・代表例:電子機器の支配、確率操作、時間断片化。
■ 能力強度の指標
アンカーの実力は、能力そのものの潜在性能と使い手の訓練度の両面で評価される。
・ランク制:S・A・B・C・D・E の六段階。
S級は都市防衛レベル、A級は戦術兵器に匹敵、B級は実戦部隊要員、C以下は補助的存在とされる。
・安定度指数(Stability Index):能力が暴走せず、再現性を持って発揮できるかを数値化。
・協調性指標:チーム戦や複合任務における適応力。能力相性によっては「1+1=10」となる例もある。
■ 訓練体系
学術都市においては、アンカーは 基礎訓練 → 応用実験 → 実地任務 の三段階で育成される。
1. 基礎段階:能力発現の安定化、肉体強化、精神耐性。
2. 応用段階:能力条件の把握、制約の設計、連携戦術の訓練。
3. 実地段階:模擬戦闘、治安維持活動、対陽性変異体戦。
特に「条件付け」(制約)を工夫することで、能力の威力や精度が飛躍的に高まる。
■ 社会的認知
・敬意と恐怖:アンカーは社会から「必要悪」として扱われる。
・管理と自由:国家は彼らを監視下に置くが、一部はヒーローのように人気を集める。
・差別と憧憬:非能力者からの羨望と同時に、恐怖や排斥の対象ともなる。
■ まとめ
アンカーとは、Λ細胞が生んだ新しい人類の在り方である。
彼らは 「異能を世界に縫い止める錨」 であり、その存在は人類社会における最大の革新であり、同時に最大の脅威でもある。




