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契約完了

「このような男を城内にいれるなど言語道断!アルバート殿下のお世話は我々騎士団が務めます!」


 アイザックと名乗る騎士は怨敵が如く俺を睨み付ける。


(てか、五月蝿いなぁこの人。王子とアイリス王女が若干怖がってるじゃん。お姉様方は年の功なのか落ち着いているが)


「ふむ。我が息子アルバートたっての願いを無下にすると?」

「そ、それは」

「騎士団にはそれぞれ役割を与えておる。城の警備やここ王都の治安維持、緊急時の戦闘に我々王族の警護。その他諸々はどれも重要な役割だ。息子のお世話役まで願うのは忍びない。そんな私の気遣いも不要だと?」

「い、いえ」

「私がカインに王命してまで与えた役割は愚行だと貴殿は申すのだな?」


(国王陛下怒ってます?朝早くに馬鹿デカイ声を聞かされて)


「そ、そのようなことは。ですが!一介の冒険者に貴き王族方のお世話が務まるとはとても」

「違う!」

「ア、アルバート様!?」


 唐突に大声を出した王子に驚くアイザック。

 王子は俺を庇うように立ち、アイザックに告げる。


「カインはお世話役じゃない!僕の護衛で、遊び相手なんだ!世話ならランドルフ達がしてくれるもん!」


 少し目に涙を滲ませてアイザックに宣言する王子。


(10歳故に未だ幼さが残るが、王族としての威厳の片鱗が見えてカッコいいぞ王子!)


 俺は心の中で万雷の喝采を贈る。


「貴様!王族を誑かすとは不届き千万!どのような妖術を使ったのか知れぬが、このアイザックが手打ちにしてくれる!」


 アイザックは国王陛下との問答を勝手に中断して、更に大声を上げて腰から剣を抜いた。

 アイザックは怨敵許すまじ!といった形相で俺目掛けて斬りかかって来る。


(マジかよ。俺とあんたの間に王子がいるんだぞ?)


 俺は急いでマジックバッグから一番上等な大盾を取り出して王子の前に配置。

 そして王子とアイザックの間に入って、袖に隠していた剣をアイザックの手甲に当てて、握っていた剣を放させる。

 怯んだアイザックに俺は右手を開いて突き出す。


「ぶっ飛べ、クソヤロウ」


 俺は静かな口調だが、怒りを露にする。

 すると、執務室の扉が独りでに開放される。そしてアイザックは何かに吹き飛ばされた様に、執務室の向かいの廊下の壁に激突する。

 アイザックは気を失ったのか、壁からずるずると床に崩れ落ちる。


 何が起こったのか未だ理解できてない空気の中、俺は執務室から廊下に出て、床に転がるアイザックを一瞥し、門番に指示を出す。


「門番。その朝っぱらから五月蝿い馬鹿野郎を救護室にでも連れていけ。目障りだ」


 俺の怒気を孕んだ声音に、門番は2人は素直に従ってくれた。

 とそこで我に返る俺。


(やべ、王族の前で素の喋り方しちゃった)


 俺は執務室の扉を魔法で閉じて、射出した剣をマジックバッグに納めて、王族の皆様を振り返る。

 俺はテヘへ、といった感じで提言する。


「えっとー、堅苦しい喋り方苦手なんで、素の喋り方でも良いですか?」


 静まる室内に俺の言葉が響く。

 そして直後に笑い声が室内を満たす。

 何故か国王陛下大爆笑。女王陛下もクスクスと口に手を当てて笑ってらっしゃる。


「良い。アルバートに悪影響が無い範囲での砕けた話し方を許可しよう。しかし、先ほどの魔法はなんだ?中々豪快に人が飛んでいったが?」

「あれは汎用魔法ですね。物を動かす汎用魔法です。俺の戦闘スタイルは汎用魔法ありきですから」

「やはりか!ランドルフから聞いていたが、本当に汎用魔法で戦うのだな!」

「ええ、まあ。何分片腕で汎用魔法は必須ですし、魔力量も大して多くは無いので、属性魔法よりも汎用魔法の方が消費魔力も少ないので上手く戦闘に転用してますね」

「ふむ。今度一緒に魔物狩りにでも行くとしよう。生活魔法とも言われる汎用魔法でどう戦うのか見てみたい!先ほどチラリと見えたが、刀剣を浮かせたり、飛ばしたりしていたな?もっと見てみたい!」


 国王陛下は執務机から身を乗り出しかねない程高揚している。


(国王陛下、キャラ変わった?)


「あなた?魔法オタクも大概にしてくださいね?」

「も、勿論だとも」


 女王陛下が優しく国王陛下に言ったのに、国王陛下は気まずそうに咳払いをして、椅子に座り直す。威厳が戻っていく。


「まあ、休みの日に気分転換に魔物狩りするのは、構いませんよ?でもまずは王子との絆を深めないとですね」


 俺は王子の前に配置した大盾をマジックバッグに回収して、王子の前にしゃがみこむ。


「王子。さっきはありがとうございます。凄く格好良かったでした。王子が無事成人されるように頑張ります。改めてよろしくお願いいたします」


 王子は俺と目が合うと嬉しそうに笑うのだった。

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