第34話 合成獣との戦いだよね。
お待たせしました。戦闘シーンです。
合成獣は山羊の頭に馬のような体格の四本足、そして尻尾は獅子という何とも奇妙な形で後ろ足を何回も蹴って突進してくる様子を見せていた。
「がああああああああああ!!」
合成獣はものすごい勢いで突進を始めた。だがその動きを読んでいたガラルとオババは後ろに回り込んでいる。
僕も突進を回避しながら、白銀に輝く魔鎧から侍が使うような白銀の刀を作りだし、すれ違いざまに合成獣の足を切りつける!
「ハアッ!!」
馬のような足は切れなかったが、魔聖気から作り出した刀は毒獣に相性が良かったみたいだ。
「ぐおおおおおおおお!!」
魔気は本来攻撃に転用できるものではない。そのため、切れ味はそこまでないが合成獣の切りつけた足から先が体毛が馬の黒い自然な毛並みに戻っていた。切りつけた足を毒ごと浄化してしまったみたいだ。
「がああ??」
合成獣は少し戸惑っているようだ。
その隙を見逃さず、ガラルが後ろから駆け込み無骨な大石から削り出したような大剣で横なぎにする。今度は4本足の僕が切りつけた足とは違う一本を切り取れた!
合成獣の4本の足の一つが吹き飛び、血が流れる!!
「があああああああああああああああ!!」
合成獣はバランスを崩し、痛みに悶えながら血を流して倒れこむ。
その間にオババは漆黒の鞭に魔法をエンチャントしたみたいだった。
「哀れな獣に浄化の施しを与えるために、神よこの鞭に光を与えたまえ!」
オババの漆黒の鞭に金色に輝く光が空から舞い降りて眩い輝きを放つ金色の鞭に色が変わる!!
「この鞭はね、エンチャントした属性によって色が変わるの、よっ!!」
オババは解説をしながらも鞭を合成獣に振り下ろす。羊の角に金色の鞭が空気を切り裂きながら命中した!!
「ぐがあああああああああ!!」
合成獣は鋭い鞭の痛みに苦しんでいるようだ。よく見れば角にひびが入っている。これならいけると僕が思って追撃しようとしたところで異変が起きる!
「トオル君!! 合成獣から離れて!!」
僕はオババの言葉に従って、バックステップで合成獣から離れた。
すると合成獣の切り取った足から毒の煙があふれて、合成獣を覆い隠したのだ。それは濃霧と合わさり、紫色の毒々しい霧になった。
合成獣の姿が見えなくなり、不穏な空気が流れる。
「やばいな、どうやって奴さんを見つける?」
「ガラル、あなた闘気の斬撃で霧を晴らせられないかしら?」
「あのなあ、無茶言うな。どれだけ霧が深いと思ってるんだ」
「それなら仕方ないわね、私の香気術で合成獣をおびき寄せるわ」
「オババ! それは無茶だよ!」
「そこはトオル君の錬菌術で突進を何とかしてね」
「何とかって言われても……」
会話をしながらも、合成獣の気配を探っていたが濃霧と毒の霧のコンボでまったく合成獣の気配がわからない。
「ガハアッ!!」
急にガラルが血を吐いて、膝をつく。僕が駆け寄ろうとするも、後ろから急に気配がした!!
「トオル君、よけて!!」
オババの緊迫した声が響く!!
僕は気配の元を避けようとするも、避けきれず羊の角のような合成獣の突進を食らってしまった。
トラックの突進を食らったような衝撃を受けて、5メートルほど吹き飛ばされる。僕はゴン太との稽古を思い出してとっさに転がりながらも受け身を取ったよ。
「トオル!!」
「トオル君!!」
濃霧の中に二人の声が響くが、トオルの姿は濃霧の中に消えてしまった。
三人は二人と一人に分断されてしまった。
――ガラルとオババ視点――
「まずいわね、トオル君がやられたら毒の霧でこっちもやられてじり貧だわ」
「ぐうっ、そうだな、ドドンゴの毒は即効性はないはずだがこの毒の霧の濃さだとそうも言っちゃいられねえか……」
ガラルが血を吐いたのは、ドドンゴの毒から生成された毒獣の合成獣の毒が濃すぎたため、魔物の体でも耐えきれないくらいの毒になっているためだった。オババも薬師として色々と毒を調合することもあるため耐性があるがそれでもぎりぎりだった。
トオルの魔聖気なら毒を浄化できるが、それをかけてもらう前に吹き飛ばされたのは痛かった。
「……私とガラルで何とかする方法は……」
――トオル視点――
何とか魔鎧を維持して、魔聖気で毒を浄化しているが状況は芳しくなかった。腹には衝撃を受けて、内出血を起こしている節があるし、魔力も魔鎧の維持で3分の1ほど減っていた。
合成獣はまたトオルが死んでいないと見るや、体から毒の煙を放出して消えてしまった。一瞬見えた姿は4本足だったため、足は再生したのだろう。
だがトオルが切りつけた足だけ毛並みが毒々しくなかったことやオババが角に入れたひびは治っていないようだった。
「ただ、霧を何とかしないとな……」
トオルはまだ気配察知はそこまでできない。そのため、魔鎧で防げるとは言え突進を受け続ければ魔聖気の回復が追い付かなくなってしまう。
「うーん、霧のせいですごいじめじめするな」
顔に霧がまとわりついてうっとうしい。毒は片っ端から浄化しているが魔力の減りはすさまじい。はっきり言って絶望的だ。
「うーん、ミリアお姉ちゃんも念話に出てくれないし……いやさっきミリアお姉ちゃんは何と言っていたっけ?」
「がああああああああああ!!」
濃霧の中に合成獣の声が響き、霧を切り裂く音がする!!
「くそっ!! いやこうすれば!!」
トオルは、とっさに錬金術で土の壁を作り出す!! 合成獣の突進が一瞬止まり壁をぶち抜いてきた時にはトオルは回避していた。
トオルの中でミリアの言った内容と今の状況がつながる。ミリアは能力をすべて生かすことを考えろと言っていた。最近は錬菌術ばかり使ってきたが錬金術も使えるではないか!
霧の中をひゅうっと切り裂く音がしてどこかで嗅いだ覚えのある香りが届いた。
この香りは……!! トオルを探していた合成獣が香りをかいだ瞬間、探すのをやめて香りの方におびき寄せられていった。
今がチャンスだ!! トオルはパンっと手を叩き、残った魔力を練り上げる。
白銀の魔鎧を最小限にして魔力の消費を抑え、ハ〇レン式錬金術の基本を思い出す。
「理解、分解、再構築だ!! 霧も水に変わりはないから……」
手を広げ、空中に手を向けて魔力を放出する!!
魔力が空気中になじんだところで、錬金術を発動する。
「再構築! 偉大なる地の神よ、雨の恵みを与えたまえ!!」
なんとなく、ノリで詠唱しながら、錬金術を毒で汚染された森一帯に放出する。白銀の魔力が森中に広がる。トオルの魔力で使える錬金術の規模よりも明らかに多いため、地の神も味方してくれたのかもしれない。
ぽつぽつと水滴が落ちてきた。そしてザーッと音がして毒で汚染された森一帯に雨が降り出した。それは霧をも洗い流して落としていく。視界が開けて、合成獣とひらりひらりと逃げながら囮になっているオババと虎視眈々と隙を狙うガラルの様子が見えた。
そして、闘気を高めていたガラルがふっと消えて、紅いオーラを纏いながら、紅の斬撃を飛ばす!! それは合成獣の腹をえぐり、真っ二つとはいかないものの確実に致命傷を負わせた。
その時、トオルにある考えが浮かんだ。一目散に飛び出し、とどめを刺そうとしているガラルと合成獣の間に滑り込み、魔鎧から刀を作り出し、ガラルの重い攻撃を何とか受け止めた。
「おい! あぶねえだろ、何のつもりだ!!」
「ガラル、ごめん。でも試したいことがあって」
「何をするつもりなの?」
「それはね……」
ごにょごにょとトオルの考えを話すと、はあッと二人にため息をつかれる。
だが好きにしろと言われ、それを実行することに決めたのだ。
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どうでしたか?テンポよく戦闘を書けたと思います。
作者の一言コメント




