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第7話

「このお屋敷のバラは規模は小さいですけど、婦人が手塩を掛けてらっしゃいますのよ」

「そうなんですね」

「ええ。品種改良もされておられるとか」


 案外にティンドル夫人は、のめり込んだら突き進むタイプなのかもしれない。さて、ここからどうやって話しを広げるか。一番てっとり早い方法をアリシアは取ることにした。


「凄いですわ。私には真似ができません。ティンドル伯爵も、きっと夫人を応援されておられるのでしょう。素敵なご夫婦ですわ」

「そうですわね。羨ましいですわ」

「そう言えばテレザロー様は、確か」

「ええ。離縁しましたの」


 驚きと哀しいという感じの表情を作ってアリシアは、眉を下げた。釣れたかな。未婚という自分の立場を利用すれば、話しを引き出さる事はできるはずだと、会話の道筋を作っていく。


「せっかくのご縁でしたのに。やはり決められた結婚で、愛を育むのは難しいのでしょうか?」

「――そうでもございませんわよ、アリシア様。確かにスタートは決められたものですが、一緒に過ごすうちに、お互いの心は通うものですの」


 テレローザは、わずかに苦しそうな表情をした。彼女の言葉から政略結婚であっても、モークリー男爵とはそれなりに心を通わせて結婚生活を送っていたともとれる。

 離縁状を叩きつけたと聞いていたのに、彼女はモークリー男爵を愛していた? そんなふうに感じてしまう。アリシアは続けた。


「雰囲気からテレローザ様は、モークリー男爵をお慕いされていたのですね。それなのに……もしかして、不貞でも」

「いえ。そうではありません。あの方は、そんな人ではありませんわ。ただ――いい人で、そして人として弱いのです。私ではあの方をお支えする事ができなかったのです」


 夫婦円満だったけど、モークリー男爵が弱いせいで亀裂が生じた。そういう事だろう。一体なにがきっかけだったのか。

 アリシアが「いい殿方でも、弱かった。そこがテレローザ様には許せなくて、離縁されたのですね」と男爵を下げた発言をしてみた。


「違います! あの方は騙されたのです。それで借金が雪だるま式に増えて」


 ハッ! と彼女が口を覆った。

 元夫婦だったとはいえ、もう今は関係がない。不要な事を口にすれば、貴族社会ではアッという間に広まる。でも自分にはあまり関係がない。なぜなら病弱であまり社交界に顔を出さないからだ。公爵家の仕事をしやすくするために、作られた設定。センスを広げて口元を隠したアリシアの口は弧を描いていた。


「モークリー男爵は、誰に騙されたのですか?」

「――」

「テレローザ様。わたくしはご存じの通り、あまり社交界に顔出す事がありません。ですから人生の勉強もままならいのです。決して口外は致しませんわ」


 さあ、どう出る? テレローザの迷っている様子がうかがえる。話すのは良くないと分かっていても、思っている事を吐き出したと思っているはず。しかし、とアリシアは考えた。

 彼女の口ぶりから、心底嫌って離縁した訳でもなさそうだった。気が強いと有名な人だ。不満などあれば、きっとお茶会などで愚痴って社交界でも広まっているはず。でも調べてみても、そんな噂があった報告はなかった。しばらくしてテレローザが語り始めた。

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