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第6話

 モークリー男爵家は、代替わりをしてからしばらくは何事もなく領地経営をしていた。

 隠居した先代のアッシュ・モークリー男爵が亡くなったあたりから、家を継いだデイミアンの金使いが荒くなり始め、妻だったテレザロー嬢と離縁した。

 表向きはデイミアンが離縁状を叩きつけた事にはなっているが、どうやらテレザロー嬢から離縁を叩きつけたそうだ。その辺りはまだ未調査で、詳細は分からない。となるとアリシアが動いたほうが早いかもしれない。そしてどうやらデイミアンは、違法賭博に嵌っているらしい。

 違法賭博に麻薬。なんともキナ臭いこの上ない。だいたい違法賭博を取り仕切っている人間は、帝国に住み着いた移民だったりする事が多い。しっかり手続きを踏んだ移民なら問題はないが、中には違法な手続きで入ってくる人間もいる。そうなると役人が絡んでくる。

 何度か似たような事があって対処をしてきたけど、甘い言葉と金儲けのために手を汚す役人は減らない。


「お父様。テレザロー嬢には、私が接触するね」

「頼む。男爵に動きはあったか?」

「蝶からは特に動きは無し、と報告があったけど、ついさっき気になる映像が送られてきたの」

「どんな映像だい?」


 兄のタレ目が、鋭く光っている。何か引っかかる事でもあるのかもしれない。でもまだ口にしないという事は、これと言った確信がないのだろう。アリシアは蝶の映像を食堂に流した。

 映像でモークリー男爵が、部屋の中で必死に何かを探している様子が流れている。


「彼は一体、何を探しているんだ?」

「さあ」


 アランとヴィンセントが、部屋を散らかしながら何かを探している男爵の様子を見ながら、映像に目を凝らしている。


「私も見たけど、何かを探しているのが間違いはないみたい」


 あんなに部屋を散らかして探すほどだから、よほど大事な物でそんなに大きくはない物だと考えている。


「お兄様。テレザロー嬢の実家の爵位って?」

「子爵だね」


 子爵令嬢が男爵家に嫁いだという事か。


「モークリー男爵家が、是非にというのでテレローザ嬢を迎えたようだよ。テレローザ嬢は結構キツイ性格みたいで、あまりいい話しがなく、男爵家に嫁いだんだ」


 ヴィンテージの話しを聞いて、そうだろうなあとアリアシアは思った。でないと女性から離縁状を叩きつけるなんてないだろう。でもそれなら案外、簡単に話しを聞けるかもしれない。


「お嬢様。テレローザ嬢が出席されるお茶を調べます」

「うん。お願いねリカルド」

「じゃあ、違法賭博も並行して調べて行く」


 アランの言葉で二人が食事を始めたが、既にアリシアは食べ終えていたから、一足先に部屋に戻る事にした。




 テレローザが出席するお茶会が、ちょうどティンドル伯爵家で二日後に開かれる話しを聞き、手を回して招待状を手にする事が出来た。

 出席者はアリシアを含めて五人。病弱であまり社交界に顔を出さず、お茶会にも出る事がないアリシアは、婦人たちから面倒くさい質問をいつも受ける。

 この年齢で婚約者がいないから、息子がいない夫人や自分と繋がりのある親戚の令息を進めて来る。本当にクソ面相臭い。

 会うべき年齢までに運命と出会ってない自分はその内、国王が選んだ相手と結婚する事になる。これはポロっとアランが漏らした。アラン本人は、アリアシアに聞かれていないと思っている。

 ルフィナ公爵家は特別だから、運命か国王が選んだ相手としか結婚はできない。でもこれは王族と公爵家しか知らない事。だから公爵家で婚約者がいない、プラスしてアリシアが公爵家を継ぐと周知されていて、病弱令嬢とくれば長子以外の令息にはこんな美味しい物件はない。病弱な妻の代わりに家の実権を握って、好きにできるのだから。


「アリシア嬢、お体は大丈夫ですの?」


 隣に座っていたハセサポ侯爵夫人が心配そうに声を掛けてきた。でもアリシアは分かっていた。ハセサポ家はルフィナ家がしている貿易会社と取引がしたいのだと。

 塩と砂糖の流通を握っているが、香辛料の輸入を帝国でしているのはルフィナ交易だけ。そのおこぼれを貰おうと、お茶会や夜会に行くと商売をしている家は、その方向に話しを持っていく貴族も多い。

 本当に面倒くさい。自分の仕事は帝国の憂いを消す事だけど、ルフィナ公爵家の人間という付加価値は、便利であり不便なのだ。それでもルフィナ家の血をアリシアは埃に思っていた。


「ええ。ここしばらくは、体の調子がいいのです。急にお茶会にお邪魔して申し訳ありまわせん」

「そんな! アリシア様が謝る必要なんてございませんわ」


 当たり前よバーーカと、心の中で悪態をつく。そのあと、いつものように、それでも進めて来るお見合い話しと、商売の話しをのらりくらりと躱していく。

 さて、どうやってテレローザと二人で話すか。アリシアの目に、綺麗に手入れされているバラ園が映っている。


「あの、少しバラ園を見てもよろしくて?」

「ええ、もちろんですわ。でもお一人だと心配ですわ。だから」

「ありがとうございます。テレローザ様、もしよろしければ、わたくしと二人でバラ園を見てみませんこと?」

「――そうですわね。是非、ご一緒にさせて頂きますわ」


 アリシアが二人でと牽制したから、他の婦人たちは口を噤んだ。きっと悔しいはず。それを顔に出さないのが流石に貴婦人だ。

 バラ園は手入れが行き届き、美しい花々が瑞々しく咲き誇っている。アリシアは白に少しだけピンクが混ざった花房にそっと触れた。そう言えば出された紅茶にもバラの花びらが浮いていた。

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